シフトカットとは、会社都合で従業員の勤務時間などを減らすことを言います。
シフトカットによって退職せざるを得なくなった場合、会社都合扱いになるかどうか気になる方もいるはずです。
結論から言いますと、会社都合扱いになるかどうかは、状況によって異なります。
労働契約の内容や、シフトカットの理由、退職のきっかけなどを考慮する必要があるでしょう。
本記事では、会社都合のシフトカットは違法なのかを中心に解説します。
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退職サポーターズ編集部
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シフトを減らされるのは「違法」?
会社都合によるシフトカットはそもそも合法なのか、それとも違法なのか、不思議に感じている方もいるのではないでしょうか。
結論から言いますと、違法か合法かは状況次第と言えます。
本項目では、どのようなケースで違法となるのかについてまとめました。
違法の場合
シフトカットが違法とされる基準として、以下のことが挙げられています。
- 契約で決められているはずの勤務条件などを、会社側が一方的に変えてしまう
- 事前に従業員と同意していないのに、一方的にシフトを減らす
- 生活ができないくらいにシフトを減らす事実上の解雇状態
上記のケースは労働基準法を始めとする法律に違反した形となるため、シフトカットが違法とされます。
つまり、労働に関する法律に違反するようなシフトカットを会社側が行うのはアウトと言えるでしょう。
合法の場合
一方で、シフトカットが合法とされるケースとして、以下のことが挙げられます。
- 閑散期や繁忙期などを理由に日ごろから調整が行われている
- 契約書にシフトの変動に関する記載があるなど、事前に説明がなされていて、従業員も同意している
- 自然災害などで営業が難しい
企業側は業務命令として自宅待機を命ずることができるなど、一定の権限が与えられています。
地震や水害など通常の業務が難しいケースにおいては、シフトカットを行っても違法とは言えません。
また、契約書に勤務日数が変化する旨の記載があり、前もって説明を受けていて同意もしていた場合においても、合法とみなされます。

シフトを減らされた退職理由は「会社都合」?

シフトカットで退職を決断した場合、会社都合扱いになるのでは?と思う方もいるでしょう。
会社都合扱いになる場合や特定理由離職者として扱われる場合もあります。
特定理由離職者とは、労働契約期間満了かつ契約更新がないことで離職した人や、疾病や妊娠などを理由に離職を余儀なくされた人などを指します。
シフトカットによって退職した場合、特定理由離職者に該当するケースがあるのです。
本項目では、会社都合扱いになるケースやそうでないケースなどをまとめました。
会社都合扱いになる場合
会社都合扱いになるケースとして以下のことが挙げられます。
- 事前に契約で定められていた勤務日数や勤務時間などが減らされた
- 契約更新の段階で、元々の労働条件からシフトを減らされた労働条件を提示されたことを受けて、更新を希望せずに退職した
- 会社側が従業員の職種転換などを行う際、従業員の生活継続に関して必要な配慮を行ってくれないために離職した
シフトカットに関して合理的な理由がないものや明らかに生活に支障が出るケースにおいては、会社都合扱いにになる場合があります。
一方的な変更によって契約更新を断らざるを得ない場合には会社都合扱いになりやすいと言えるでしょう。
特定理由離職者として扱われる場合
シフトカットを理由に退職を決断した場合、会社都合扱いになるケースでも紹介した基準に該当すれば、特定理由離職者として扱われます。
また、新型コロナウイルスの影響でシフトの減少や労働時間が確保されないことが明らかとなり、離職を経験した場合も特定理由離職者として認められます。
具体的な基準は以下の通りです。
- シフトが減少した結果、1か月以上下回る、もしくは下回ることが明らかになった
- シフトが減少した結果、労働時間が週20時間下回る、もしくは下回ることが明らかになった
上記を理由に離職した場合には、特定理由離職者として認められます。
特定理由離職者として扱われない場合
特定理由離職者として扱われないケースとして、シフトが減少したとしても、週20時間以上労働時間が確保されているケースなどが当てはまります。
一方、労働者側が労働時間の減少などを希望していた場合には、特定理由離職者として扱われなくなります。
あくまでも会社側が一方的に、労働者の同意なく行うことがポイントとなるでしょう。
会社都合のシフトを減らされた場合休業手当は貰える?

会社の都合でシフトカットが行われた場合、休業手当はもらえるのか、気になる方がほとんどではないでしょうか。
結論から言いますと、休業手当はもらえます。
本項目では、休業手当に関することについてまとめました。
休業手当の支給に関するポイント
会社都合によるシフトカットが行われた場合、労働基準法第26条に基づき、平均賃金の60%以上の休業手当を労働者側に支払う必要があります。
理由として、シフトカットが「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当することが挙げられます。
一方で、自然災害など企業側ではどうにもならない事態によって休業する場合には、休業手当の支払い義務は発生しません。
対象者
休業手当を受け取れる対象者は、会社都合のシフトカットなどで労働時間を減らされたり、休業を余儀なくされたすべての従業員です。
正社員はもちろん、契約社員やパート・アルバイトなども対象となります。
支給額
休業手当の支給額は、平均賃金の60%以上×休業日数となります。
あくまでも60%は最低の数値となり、企業によっては75%や100%などに設定して支払うケースもあるでしょう。
支給時期
休業手当の支給時期は法的に定められていないものの、給料と同じタイミングで支払うのが一般的です。
休業手当はあくまでも賃金の一部であるため、労働基準法24条に基づき、「毎月1回以上一定の期日を定めて」支払うことになります。
計算方法
休業手当の支給額は、以下の計算方法によって決まります。
- 休業期間直前の賃金締切日から遡って3か月間の賃金総額÷直前3か月間の総日数=平均賃金
- 平均賃金×0.6=1日あたりの休業手当
例えば、3か月間の賃金総額が90万円で、直前3か月間の総日数が90日だった場合、平均賃金は1万円となります。
1万円の60%は6,000円となり、6,000円が1日あたりの休業手当です。
あとは休業した日数分と1日あたりの休業手当を掛け算すれば、総支給額の計算が行えます。
休業手当の支払い義務があるにもかかわらず支払い場合
休業手当には支払い義務があるため、仮に義務を怠った際には、労働基準法違反として扱われます。
この場合、支払い義務を怠った使用者に対して30万円以下の罰金が科せられます。

シフトを会社都合で減らされるのはパワハラ?

会社都合のシフトカットがパワハラとみなされる場合があります。
例えば、従業員が希望した休みが全く考慮されない、不公平なシフトの組み方を行うといったことがあれば、パワハラとみなされます。
他にも、代わりとなる要員を見つけるよう指示したり、一方的にシフトカットをしたりする行為も、パワハラと判断される可能性があるでしょう。
まとめ
今回は、会社都合のシフトカットは違法なのかについて解説してきました。
最後に今回ご紹介した内容をまとめます。
- シフトカットが違法になるケースは、事前に契約した条件を会社側が一方的に変えてしまうケースなど
- シフトカットが合法になるのは、自然災害などが起きて会社側が自宅待機を命じるケースなど
- シフトカットでの退職によって、会社都合扱いや特定理由離職者として扱われることもある
- 休業手当の支給額は平均賃金の60%×休業日数
労働契約で示された労働条件を反故にする形でシフトカットが断行された場合、違法となります。
その行為によって退職を決断した場合は会社都合扱いとなり、失業手当も多めに受け取れる可能性が出てきます。
事前に交付された労働契約書などは必ず保管しておき、万が一に備えましょう。
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