肉体的・精神的疾患などから休職しようか迷っている方もいるのではないでしょうか。
一方で、世間では「休職したら終わり」という声もあり、本当に休職して大丈夫なのか不安に感じている方もいるはずです。
結論から言いますと、休職しても決して終わりではないほか、休職するメリットもあります。
本記事では、休職したら終わりと言われる理由を中心に解説していきます。
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退職サポーターズ編集部
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休職したら終わりと言われる4つの理由
世間一般で、「休職したら終わり」と言われる理由として、以下の4つが挙げられます。
- 復帰後に職場に居づらくなる
- キャリアを積んでいくことが難しくなる
- 社会復帰をする気力がなくなる
- 今後の将来の転職活動にも影響する
本項目では、「休職したら終わり」とされる理由について解説します。
復帰後に職場に居づらくなる
休職した後に、職場に復帰した際、職場に居づらくなることが理由に挙げられることがあります。
特に精神疾患を発症したケースなどは、職場環境が要因となった可能性があるため、腫れ物に触るような対応をされてしまう可能性もあるのです。
休職前とは違う雰囲気の中で仕事をすることになり、居心地が悪くなり、退職を余儀なくされるケースも出てくるでしょう。
キャリアを積んでいくことが難しくなる
休職をしてしまうことで、キャリアを積んでいくことが難しくなるケースも考えられます。
今までは大きな期待をかけられ、さまざまな仕事を頼まれていた中で、休職すると、「過度な期待をかけたらまた休職するかも…」と思われ、仕事が振られなくなることもあります。
結果的に誰でもできるような仕事ばかりが割り当てられ、キャリアを積んでいくことが難しくなることもあり得るでしょう。
社会復帰をする気力がなくなる
休職をしてしまうことで、社会復帰をする気力が失われる可能性も十分に考えられます。
数か月程度の休職をすることで、働くための気力・体力が失われてしまい、社会復帰・職場復帰をしようにも、気持ちが乗らなくなることがあります。
復帰を先延ばしにしていけばしていくほど、気力が失われやすくなるため、注意が必要です。
今後の将来の転職活動にも影響する
休職をしたことが、将来の転職活動に影響を及ぼすことが考えられます。
転職活動をする中で、休職した事実が伝わった場合、休職した時期について尋ねられる可能性も十分に考えられます。
また休職した事実そのものに対して、不安感を抱かれる可能性もあるでしょう。
自分から公表しない限り、休職の事実は伝わりにくいとはいえ、転職活動の際には細心の注意を払う必要があります。

休職をしたら終わりと言い切れない理由と注意点

休職したら終わりと世間で指摘する声もある一方、必ずしも休職をしたら終わりとは言い切れない理由もあります。
- 従業員の権利として休職という選択肢がある
- 休職で解雇を言い渡すことは法律で禁じられている
- 就業規則に記載されている以上の休職期間は取らない
本項目では、休職したら終わりとは言い切れない理由や注意点をまとめました。
従業員の権利として休職という選択肢がある
そもそも休職というシステムは法律で明確に定められたものではなく、各企業が個々に決めた上で運用されています。
そのため、会社側が休職制度を採用している場合には、あくまでも従業員の権利として選択することができるのです。
一方で、各企業が個々に決めることなので、会社によっては休職制度がなかったり、手厚くなかったりするケースもあります。
休職を検討する際には、前もって就業規則で確認するのがおすすめです。
休職で解雇を言い渡すことは法律で禁じられている
休職そのものに関する法的な整備はされていない一方、休職を理由に解雇を言い渡すことに関しては法律で禁止されています。
会社側が従業員を解雇するためには、客観的に見て合意的な理由があるかどうかがポイントとなります。
会社側が休職を認めた時点で、労働者との合意が成立した形となり、休職に関連する理由での解雇は法律違反となり得るでしょう。
就業規則に記載されている以上の休職期間は取らない
労働者が休職する際の注意点として、就業規則で定められている期間以上に休職することを避ける点が会下られます。
例えば、就業規則で休職期間が3カ月と定められていた場合、理由をつけて休職期間を延ばそうとすると、就業規則を破ったことになり、解雇の理由になりかねません。
体調面を理由にどうしても厳しい場合も出てくるために、前もって会社側と相談を重ねておくことが求められます。
休職中の給与や社会保険料はどうなる?

休職を検討する方の中には、休職中の給与や社会保険料がどうなるのか心配に思う方もいるはずです。
これらに関しても、各企業の判断がポイントとなるため、事前の確認が求められます。
本項目では、休職中の給与や社会保険料についてまとめました。
会社の就業規則を確認する
休職中の給与などに関しても各企業が個々に定めているため、会社の就業規則をチェックすることが必須です。
就業規則には休職時の給与のことなどが書かれています。
多くの企業では休職中の給与は支払われず、代わりに傷病手当金を活用するよう促すケースが目立ちます。
いずれにしても、休職する前に就業規則の確認はしておきましょう。
休職中でも社会保険料の支払いが免除されない
休職中は給与などの減少が避けられませんが、その状態であっても社会保険料の支払いは免除されません。
休職前の社会保険料と同額を、休職中も払う必要があるのです。
休職中の社会保険料の支払い方法に関しても、各企業が決めていくため、休職時に説明を受けましょう。

休職中に給料が支給されない時に利用できる制度

多くの企業では休職中に給料を支給しないため、労働者は本来無収入となってしまいます。
しかし、休職中に給料が支給されない場合には、以下の制度が利用できます。
- 労災保険
- 傷病手当金
- 自立支援医療制度
- リワークプログラム
本項目では、休職中に活用できる制度について、利用条件なども合わせて解説します。
労災保険
労災保険は、業務上の出来事が原因で生じたケガや病気で休職を余儀なくされた場合に利用できるものです。
労災保険が利用できるのは、以下のケースをすべてクリアした場合です。
- 業務上の出来事もしくは通勤によって生じた病気やケガの療養
- 労働ができない状況にある
- 賃金を受け取っていない状況にある
これらの要件を満たした上で、休業してから4日目から労災保険の対象となります。
労災保険では保険給付のほか、特別支給金が支給される場合もあり、両方支給可能な場合には1日あたり給付基礎日額の80%が支給されます。
傷病手当金
傷病手当金は、業務以外での場面で病気やケガをして休職を余儀なくされた場合に利用できるものです。
傷病手当金は以下の条件をすべてクリアする必要があります。
- 4日以上休業している
- 業務以外の場面で生じた病気やケガの療養
- 労働ができない状態にある
- 給与が支払われない状態にある
傷病手当金は支給してから通算1年6か月まで受け取り続けることができます。
休職中に傷病手当金を受け取った上で出勤しないでそのまま退職しても、通算1年6か月までは傷病手当金を受け取り続けられるため、万全の状態になるまで療養に専念できるのです。
自立支援医療制度
自立支援医療制度は、うつ病などの精神疾患によって休職した場合、通院による経済的な負担を下げられる制度です。
本来、医療保険は3割負担となっていますが、自立支援医療制度を活用すれば1割負担で済みます。
通院をし続けるのも負担になりやすい中、1割負担で済むのは魅力的です。
リワークプログラム
リワークプログラムは、職場復帰を円滑に行えるようにするためのプログラムです。
医療機関で行われるケースや地域障害者職業センターでのケースがあるほか、企業によっては職場で行うリワークを整備するケースもあります。
医療機関や地域障害者職業センターの場合には健康保険や労働保険、企業の場合には企業負担でリワークが行われます。
無理をしない形でのスムーズな職場復帰を果たせるため、おすすめです。
休職のメリット

休職したら終わりと思われがちな一方、休職することのメリットはいくつも存在します。
- 心身の回復に時間を使える
- スキルアップに取り組める
- 客観的な視点で自分を振り返る事ができる
本項目では、休職することのメリットについてまとめました。
心身の回復に時間を使える
休職を行うことで、心身の回復に時間を費やすことが可能です。
特に精神疾患の場合は、徹底的に休むことが回復につながりやすく、だましだまし仕事を続けるよりも、全快までの期間を短くできます。
会社員になると、まとまった休みは取りにくくなり、数日程度の休養だけでは完全な回復が見込めないケースもあります。
肉体的・精神的に限界を迎えた際には、休職制度を活用して長期的な休養を目指すようにしましょう。
スキルアップに取り組める
休職期間中は、自らのスキルアップの時間に充てられます。
心身の回復も当然重要ですが、ただただ何もしないで過ごすよりも、社会復帰を想定してスキルアップを目指した方がのちのちプラスに働くでしょう。
仕事をしている時には、なかなか自己研鑽に割ける時間を確保しにくいですが、休職中はいくらでも確保できます。
休職中に資格勉強を行い、資格まで取得した上で職場復帰ないし社会復帰を果たす人もいるため、休職ならではのメリットと言えるでしょう。
客観的な視点で自分を振り返る事ができる
休職期間中は、客観的な視点を持って自分を振り返ることができるようになります。
自分を見つめ直す時間は、仕事をしている時にはなかなか作り出せず、むしろ目の前の仕事に追われてそれどころではないことがほとんどです。
休職期間中は自分を見つめ直す時間を作り出せるため、今後のことを踏まえたアクションを検討し、行動に移す計画を立てられるようになります。
また、職場復帰を目指すのか、転職を目指すのかも休職段階で決めておくとスムーズです。
休職した方が良い人の特徴

休職した方がプラスに働きやすい人もいるため、その特徴を知ることも大切です。
- 休職後に再び働くイメージが持てる人
- 職場の雰囲気や人間関係が自分に合っている人
- 特筆する理由があって急に仕事を辞めたいと感じた人
本項目では、休職した方がいい人について解説します。
休職後に再び働くイメージが持てる人
休職したとしても、最後職場に復帰して働けるイメージを持てる人は休職しても問題ありません。
休職するのはあくまでも最高のパフォーマンスで働けないからで、休職することをプラスに捉えられる人は、休職したとしても、いいイメージを持ちやすいでしょう。
休職期間中は、スキルアップなど自己研鑽の時間に活用できます。
元気になったらすぐにでも復帰したいと考えられる人は休職を選択しましょう。
職場の雰囲気や人間関係が自分に合っている人
休職前から、職場の雰囲気や人間関係が自分とマッチしている場合には、休職を選ぶのがおすすめです。
休職の理由にもよりますが、例えば病気療養が理由であれば、復帰してからしばらくは周囲の助けを借りながら仕事に臨めます。
退職して転職を目指しても、次の職場が自分にマッチしているかどうかはわかりません。
職場の雰囲気や人間関係が自分に合っている場合、退職を決断するのではなく、まず一旦休職の判断をしてみましょう。
特筆する理由があって急に仕事を辞めたいと感じた人
何かしらの理由があって、突如今の仕事を辞めたいと感じた場合には、一旦休職を選ぶのがおすすめです。
急に仕事を辞めたいと感じる場合、感情的な理由が考えられるため、勢いで退職してしまった場合、後悔する可能性が十分に考えられます。
特に上司から叱責される、ミスをしてしまうなどを理由に落ち込んで、退職を強く考えた場合には、一旦冷静な時間を設けることが重要です。
仕事と一旦距離を置き、冷静に考えてから判断を下しても決して遅くはありません。
休職にまつわるよくある疑問

ここまで休職に関する内容を解説してきました。
最後に休職に関するよくある質問について、まとめています。
休職中に解雇される?
結論から言いますと、休職中に解雇されることはまずないでしょう。
労働基準法第19条1項において、業務上のケガや病気によって休業した場合、治療期間とその後30日間の解雇が禁止されているためです。
一方で、業務外の病気やケガで会社を休職する場合には注意が必要です。
就業規則に定められた休職期間満了までに回復しない場合、解雇または退職に追い込まれることがあるからです。
就業規則に、休職期間満了後に復帰できない場合には自動的に退職するなどの文言があると、休職期間満了の時点で労働契約が終了する形となります。
休職期間中に解雇される可能性はないとしても、休職期間満了後に退職に追い込まれる可能性もあるため、就業規則を事前に確認しましょう。
休職中に退職できる?
結論から言いますと、休職中に退職する自体は、法的に見て何ら問題ありません。
民法627条にも「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる」と記載されています。
ですので、労働者はいつでも退職を申し出ることができるため、休職中であっても退職は可能となります。
注意したいのは、傷病手当金を退職後も受け取りたい場合です。
退職日に出勤してしまうと、傷病手当金を受け取る条件を満たせなくなり、退職後傷病手当金を受け取れなくなります。
そのため、出勤扱いにならないよう、細心の注意を払った上で挨拶回りを行うことが求められます。
まとめ
今回は休職したら終わりかどうかについて解説をしてきました。
最後に今回ご紹介した内容を振り返っていきます。
- 休職したら終わりと言われるのは、復帰後職場に居づらかったり、社会復帰する際に気力が失われたりするから
- 休職自体は従業員の権利なので、休職したら終わりとは必ずしも言えない。
- 休職しても、労災保険や傷病手当金などの制度があるので問題ない
- 休職にはメリットも多く、休職した方がいい人がいるのも事実
休職してしばらく休んでしまうことで、いざ働かなければならないという時に働く気力がわかないケースも十分に考えられます。
しかし、リワークプログラムなど社会復帰や職場復帰に向けた制度は整えられており、休職すること自体は悪いことではなく、むしろメリットが多いと言えるでしょう。
傷病手当金などがあれば、最低限の生活を送れるだけの収入は確保できるため、治療に専念して社会復帰・職場復帰を目指していくのがおすすめです。

また退職サポーターズではこれから退職される方に向けて、
失業保険の受給金額が最大200万円になる給付金申請サポートを行っております。
今ならLINE追加するだけで、自分がいくら受給金額がもらえるのか無料診断ができます。
