「入社したけど自分と合わない、すぐにでも辞めたい…」と大型連休前後で退職を検討する方もいるのではないでしょうか。
5月は業務量やボーナスのタイミングなどもあり、退職をしやすい時期です。
一方で、適切な準備をしないと金銭面でのマイナスだけでなく、転職する際に不利となるケースも出てきます。
本記事では、5月に退職する人が多い理由や注意点、転職を成功させるポイントをわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- 5月に退職する人が多い理由
- 5月退職の注意点・デメリット
- 5月退職を決断する前にやるべきこと
5月に退職する人が多い理由
5月に退職者が増えるのはなぜか、理由を知りたい…そう感じる方も多いのではないでしょうか。
実は5月は年度始めの忙しさが一段落し、環境変化のストレスが蓄積して退職を決断しやすい時期です。
- 業務が落ち着く時期
- 夏のボーナス支給前で引き止められにくい
- ゴールデンウィークが退職を決断するきっかけ
- 有利な条件で転職先を見つけられる
- 入社後のギャップを感じる
本項目では、5月に退職する人が多い具体的な理由をわかりやすく解説します。
業務が落ち着く時期
5月は年度初めから続いた繁忙期が落ち着き、業務量が一段階減るタイミングです。
4月は新年度対応や新入社員の研修などで社内全体が慌ただしく、退職を切り出しづらい傾向にあります。
5月に入ると仕事の流れが安定し、スケジュール調整がしやすくなります。
この時期であれば退職の相談もしやすくなり、退職に向けた準備も進みやすいと言えます。
また、仕事量が減ることで引き継ぎ計画を立てやすいことも要因の一つです。
繁忙期だと「周囲に迷惑をかけるかも…」と感じて遠慮する人も、5月であれば遠慮せずに言えるようになります。
退職手続きも円滑に進められるため、5月は退職に適した時期です。
夏のボーナス支給前で引き止められにくい
5月は夏のボーナス支給が目前に迫る時期であり、ボーナス前に退職を申し出ると引き止められにくくなります。
企業側からすると、ボーナスを支給しないで辞めてもらえるため、好都合です。
仮にボーナス直後であれば、「もらってから辞めるつもりだったのか」と誤解される可能性があります。
5月の段階で退職意思を伝えることで、ボーナス目的ではないと周囲も感じ取り、無用なトラブルを避けられます。
ボーナスがもらえないのはマイナスな一方、すぐにでも退職したい方にはベストな時期です。
ゴールデンウィークが退職を決断するきっかけ
5月に退職を決める人が多い背景として、ゴールデンウィークの存在が挙げられます。
長期休暇を取ることで、自分の働き方や将来について冷静に考える時間が生まれます。
その結果、「転職した方が良いのでは」などの気持ちが明確になり、退職の決断につながりやすいのです。
また、大型連休を挟むことで生活リズムが変化することも、ネガティブな気持ちになりやすい要素となります。
他にも休み中に家族や友人と話すことで新しい価値観に触れ、転職の選択肢につながるケースも出てきます。
ゴールデンウィークが心の余裕を与える分、退職のことを真剣に考えられる時期となり得ます。
有利な条件で転職先を見つけられる
5月は転職市場において比較的有利に動ける時期です。
企業は4月に体制が固まり、追加で必要となる人材が明確になってきます。
追加したい人材を補充するために、中途採用の求人が増えやすい時期です。
求人数が増えれば自分の希望に合った条件の企業が見つかりやすくなり、選択肢の幅が広がります。
一方で、どの企業でも5月退職の人が出始めて、急遽補充しなければならないケースも出てきます。
今までの経験を活かせそうな求人の中から、より有利な条件を見出すことは可能です。
入社後のギャップを感じる
5月は4月入社の社員が入社して1か月程度が経過する時期です。
入社1ヶ月程度のタイミングは、仕事内容や職場環境とのギャップを強く感じ始める時期でもあります。
仕事が落ち着き始めると、「思っていた仕事と違う」とか「人間関係が合わない」などの不満が出てきます。
新入社員の中には研修期間が終わり、本格的な業務に参加する中で重圧を感じてしまうケースもあります。
試用期間が設けられているケースであれば、退職が比較的スムーズに行えるのも特徴です。

5月に退職する際の注意点
「5月の退職は本当に得なのか?と不安に感じる人は多いでしょう。
5月は退職のメリットがある一方で、手続きを誤るとトラブルや損失が生じる可能性があります。
- 6月は求人数が減少傾向
- 転職希望先企業からのイメージが悪い
- 5月以降の転職では研修が充実していない
本記事では、5月に退職する際の注意点をわかりやすく解説します。
6月は求人数が減少傾向
4月の段階でほとんどの企業は新年度の体制が固まるため、本来6月は採用活動が一段落する時期です。
そのため、求人数が減少し、選べる求人の幅が狭くなる可能性が考えられます。
場合によってはボーナス支給の対象となるケースがあり、積極的な採用が行われにくいケースもあります。
求人数が少ないと希望条件に合う職種が見つかりにくく、転職活動が長期化しかねません。
5月に退職する場合は、求人数が減る可能性を踏まえ、早めの情報収集や転職エージェントの活用がおすすめです。
転職希望先企業からのイメージが悪い
5月退職の場合、企業側が「入社後すぐ辞めたのでは?」と不安を抱く可能性があります。
特に、新年度に入ってすぐの退職は、「忍耐力がない」「適応能力に課題がある」と判断されることもあります。
新入社員のケースでは、ネガティブに捉えられやすく、「同じことを繰り返すのでは…」という不安も出てきます。
仮に辞める場合には、面接において退職理由を論理的かつ前向きに説明しなければなりません。
5月以降の転職では研修が充実していない
多くの企業は4月に新入社員研修を集中的に実施する傾向にあります。
そのため、5月以降に入社した人には満足の行く研修機会が用意されない場合が出てきます。
結果として、十分な教育が受けられず、すぐ実務を任されて苦労することも出てくるでしょう。
すぐに結果を出さなくてはならず、負担を感じてしまって長続きしなくなることも考えられます。
5月に退職して転職する際には、「中途入社向けの研修制度が整っているか」を事前に確認することが重要です。
独自の研修プログラムやOJT体制が充実している企業を選んでおけば、安心して転職が行えます。
5月に退職するデメリット
5月に退職することにはどんなデメリットがあるのか、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
実は、住民税や確定申告など、見落としがちなリスクが潜んでいます。
- 賞与の支給対象から外れる可能性がある
- 転職活動が中だるみしやすい
- 住民税は退職する月によって異なる
- 年内に再就職しない場合は確定申告が必要
本項目では5月退職の主なデメリットを中心に解説します。
賞与の支給対象から外れる可能性がある
5月に退職すると、多くの企業で夏の賞与(ボーナス)の支給対象から外れる可能性があります。
賞与は「支給日に在籍していること」が条件となるケースが一般的です。
たとえ、評価期間中に十分な成果を上げていても、退職日が支給日前であれば受け取れません。
本来であれば数十万円単位の大きな収入があったはずなのに、逃してしまうリスクがあります。
ボーナス払いなどボーナスを想定した生活を送っていた場合には、注意が必要です。
退職時期を調整できるのであれば、支給日を事前に確認し、受け取った後に退職する選択肢も検討しましょう。
転職活動が中だるみしやすい
5月に退職すると、さまざまな要因で転職活動が中だるみする傾向にあります。
6月以降は求人数が減少しやすく、求人が少ないことを理由に活動をセーブする人もいます。
セーブしてしまうとモチベーションが下がりやすく、活動期間の長期化につながりかねません。
中だるみを防ぐには、退職する前に大まかな転職スケジュールを組むのがおすすめです。
その上で退職直後から一定のペースで活動できる環境を整えておくことが大切です。
住民税は退職する月によって異なる
住民税は「前年度の所得」に基づいて決まるため、退職月によって負担額への影響が出やすくなります。
会社員の場合、住民税は6月から翌年の5月の12回に分けて支払うことになり、毎月の給与から天引きされます。
そのため、5月に退職した場合、本来なら12等分の支払いになるところ、一括徴収される可能性が出てくるのです。
会社員は「特別徴収」という形で給与から天引きして徴収されます。
ただ、退職後は自分で納める「普通徴収」に切り替わり、負担も大きく感じられます。
事前に住民税の支払い方法を確認し、資金を準備しておくことが大切です。
年内に再就職しない場合は確定申告が必要
5月に退職し、その年の12月までに再就職できなかった場合、確定申告が必要です。
会社員は年末調整で税金の手続きが完結しますが、年内に再就職できないと、自分で手続きをしないといけません。
初めての確定申告はわからないことだらけで、色々と抜け落ちる可能性があります。
場合によっては手続きが遅れてペナルティが生じることも考えられます。
再就職が遅れそうな場合は、必要な書類を早めに揃え、申告の準備を進めておくと安心です。

退職する前にやっておくべき事
退職前に何を準備すべきか、気になる方も多いのではないでしょうか。
退職前の行動次第でその後のトラブル回避や転職成功率が大きく変わります。
- 自分のやりたいことを見つめ直す
- 有給休暇を消化しておく
- 退職後の手続きを確認しておく
円満退職や損をしないために、退職前にやっておくべき重要なポイントを解説します。
自分のやりたいことを見つめ直す
退職する前に、自分が本当にやりたいことを整理しておくことが重要です。
目的が曖昧なまま退職した場合、「思っていたのと違った」と後悔することがあります。
また、転職活動の方向性が定まらず長期化することもあり、何をやりたいのかを定めておくことが大切です。
まずは退職前に、現在の仕事で不満に感じている点を洗い出していきます。
そのうえで、理想の働き方・環境・仕事内容を考えていくことで、転職先の選択がしやすくなります。
退職前に自己分析をしっかり行うことで、焦りのない転職が可能です。
有給休暇を消化しておく
退職前に確認しておきたいのが残っている有給休暇の扱いです。
退職日までに計画的な有給消化を行うことで、転職活動の準備期間として有効に活用できます。
一方で、引継ぎが必要な業務がある場合は、早めに上司へ相談しスケジュールを調整することが大切です。
有給休暇を最大限活用しながら、できる限り空白期間をなくした上で次の転職先を見つけましょう。
退職後の手続きを確認しておく
退職後には、失業保険の申請や健康保険の切り替えなど、複数の手続きが必要です。
前もって把握しておかないと、期限を過ぎてしまったり、受け取れるはずの給付金を逃したりする恐れがあります。
特に、失業保険は退職後すぐに手続きをしないと、無収入期間ができてしまい生活費に困るケースもあります。
離職票など手続きに必要な書類を1日でも早く手に入れて、速やかに手続きを済ませましょう。
5月に転職する際に意識するポイント
5月に転職を考えているものの、漠然とした不安を抱えている方もいるはずです。
実は、転職活動を有利に進めるためのポイントがあります。
- 強く興味を惹かれる求人はすぐに応募する
- ゴールデンウィークを利用して転職活動の準備をする
- 5月の上旬までに退職手続きを完了させる
- 入社初期はフォローが少ない可能性がある
本項目では、5月に転職する際に意識すべきポイントを解説します。
強く興味を惹かれる求人はすぐに応募する
魅力的な求人はすぐに応募しないと枠が埋まる可能性があり、興味を持ったらすぐに応募するのがおすすめです。
求人内容を見て「これは自分に合っている」と感じたら、迷わず応募手続きを進めましょう。
書類の準備や面接日程の調整もスピード感を持って行うことで、競争率の高い時期でもチャンスを逃さずに済みます。
タイミングを逃さず行動することが、5月転職を成功させる重要なポイントです。
ゴールデンウィークを利用して転職活動の準備をする
ゴールデンウィークは、転職活動の準備を進める絶好のタイミングです。
履歴書や職務経歴書の作成、自己分析など、まとまった時間を使って効率的に進められます。
また、応募書類の総仕上げや面接練習を事前に行うことで、5月上旬以降のスムーズな応募や面接対応が可能になります。
準備期間を確保することで、転職活動の成功率も高まります。
5月の上旬までに退職手続きを完了させる
5月に退職し、その後転職をスムーズに進めていくには、退職手続きを5月上旬までに完了させることが重要です。
退職届の提出や引き継ぎ作業を計画的に進めることで、円満退職を実現できます。
仮に退職手続きが遅れると、転職先への入社日や失業保険の受給開始に影響が出る場合もあります。
早めに手続きを進め、必要書類や有給消化の確認も行うことで、余裕をもって次のステップに進めます。
入社初期はフォローが少ない可能性がある
5月に転職する場合、5月が入社初期のフォローが手薄になりやすい時期であることを認識しましょう。
そのため、指示を待つのではなく、業務や社内ルールを自分で積極的に把握していく姿勢が求められます。
疑問点を見つけたら早めに質問する姿勢を示すことで、転職先の人たちからフォローが入りやすくなります。
たとえフォローが少なくても自立して業務に取り組むことで、早めに職場への適応がしやすくなるでしょう。
周囲からの信頼も得やすくなるため、入社前後の準備や心構えが、大変重要です。
5月の退職についてよくある質問
最後に、5月の退職に関する質問を紹介します。
5月の退職の際に誰しもが抱く疑問などをまとめています。
- 5月退職はいつ伝える?
- 一般的に退職の意思は最低でも1か月前には上司に伝えるのが普通です。
会社によっては就業規則で退職の意思を示す時期が定まっており、円満退職を目指す場合にはその時期を守るのが確実です。
ただし、法律上は退職日の2週間前に伝えれば退職は可能です。
また双方が合意すれば即日退職もできます。
有休消化などを目指す場合は、なるべく早めに伝えることで、引き継ぎ作業や後任者の手配などがスムーズになります。
5月は人事異動や業務調整が多い時期のため、計画的にタイミングを考えることが重要です。
- 5月に退職したら税金はどうなりますか?
- 5月に退職した場合、住民税は前年の所得に基づき、5月分までが給与などから天引きされます。
5月は住民税の最後の特別徴収となるためです。
退職後の6月以降の住民税は納付書が自宅に送付され、自分で分割または一括で納付する必要があります。
所得税は年間所得に応じて課税され、再就職しない場合は確定申告が必要です。
退職金やボーナスの支払いによっても税額が変わるため、会社や税務署において確認を行うのが確実です。
住民税などの未納や延滞を防ぐためにも、適切な手続きを行うことが求められます。
- 5月に退職するデメリットは?
- 主なデメリットとして、ボーナスを受け取れないことや転職活動の中だるみ、入社初期の研修が少ないことなどが挙げられます。
特にボーナスは支給日に会社に在籍していることが条件となるケースがほとんどのため、全く受け取れない可能性が高いです。
他にも、退職月によって住民税の支払いが変わったり、年内に再就職しない場合は確定申告が必要になったりする点も注意が必要です。
計画的に退職や転職活動を進めないと、さまざまな面で不利になる可能性があるため、事前準備と情報確認が欠かせません。
まとめ
本記事では、5月退職に関する内容を中心に解説してきました。
最後に今回紹介した内容を振り返ります。
- 5月に退職する人が多いのは、業務が落ち着く時期やゴールデンウィークの存在などがあるため
- 5月退職では、求人数の動向や転職先での研修の充実などに注意が必要
- ボーナスがもらえないことや住民税の取り扱いにも要注意
- 退職前に自分のやりたいことを見つめ直すほか、有給休暇の消化も大切
- 大型連休を準備期間に充てた上で退職手続きを早々に済ませることも必要
新入社員の中には大型連休をきっかけにリズムを崩し、漠然とした不安が強まって退職を検討するケースが出てきます。
いわゆる5月病は、ゴールデンウイークの時期を過ぎて起こりやすいものです。
仮に不安を感じても何に対して不安があるのかを明確にしましょう。
その上で退職を決断した場合は、入念な準備を行い、計画的に進めていけるようにするのが理想的です。


