ダブルワークで雇用保険はどうなる? 二重加入の注意点や確認方法、失業保険の受け取り方も解説

物価高に賃金上昇が追い付かない影響も手伝い、副業を行って収入を増やす動きが出ており、その際に検討されるのがダブルワークです。

ダブルワークは、一人の人が複数の会社や職場で同時に働くことを指し、本業に加えて副業を行う場合や、複数のアルバイトを掛け持ちするケースが含まれます。

ダブルワークで雇用保険はどうなるのか、二重加入は可能なのか気になる方もいるはずです。

結論から言いますと、ダブルワークで雇用保険の二重加入は原則できませんが、ミスなどで二重加入状態になることはあります

本記事では、ダブルワークと雇用保険の関係性を中心に、確認方法や失業保険の受け取り方などを解説します。

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ダブルワークで雇用保険に二重加入ができる?

ダブルワークをするにあたり、雇用保険の二重加入は可能なのかと気になっている方もいるのではないでしょうか。

冒頭でもご紹介した通り、雇用保険の二重加入はできません

本項目では雇用保険において二重加入ができない理由などをまとめました。

雇用保険は二重加入できない

雇用保険は原則として二重加入ができない仕組みとなっています。

1人1つ雇用保険番号が付与されるほか、障害同じ雇用保険番号を利用し続けます。

仮にダブルワークによって、もう1つの職場で雇用保険の加入条件を満たしたとしても、既に加入している場合にはもう1つ追加で加入することはできません。

ちなみに、雇用保険の加入先は原則として「主たる職場」の1つとなります。

主たる職場の定義は、収入が多い職場を指し、仮にダブルワークによって元の職場よりも上回った場合には、元の職場において「雇用保険被保険者資格取得・喪失等届訂正・取消願」を提出する必要があります。

社会保険は二重加入できる

健康保険や厚生年金などの社会保険に関しては、二重加入が可能です。

2つの会社で働いている場合、それぞれで社会保険の加入条件を満たしている場合には、2つの会社で社会保険に加入することになります。

それぞれの職場で健康保険証がもらえる状況となった場合、1人1つしか持てません。

どちらを選ぶかは本人の自由であり、選択する権利があります。

ダブルワークによって社会保険の二重加入が実現すれば、将来的に受け取れる年金支給額が増えるため、十分なメリットがあります。

ダブルワークで雇用保険加入の注意点

ダブルワークにおいて雇用保険の二重加入はできません。

しかし、結果として二重加入をしてしまうケースがあり、前もって対策を立てておく必要があります。

本項目では、ダブルワークで雇用保険の二重加入を防ぐための注意点や取り下げの手続きについてまとめました。

雇用保険に二重加入してしまうケース

雇用保険の二重加入が生じるケースとして、複数の職場で、雇用保険の加入条件が満たされるケースが挙げられます。

雇用保険の加入条件は週20時間以上の勤務もしくは31日以上の雇用見込があることの2つです。

上記の加入条件を満たし、それぞれの職場で雇用保険の手続きが行われた場合に、雇用保険の加入がなされます。

一方、転職をする際に前の職場の雇用保険資格喪失手続きが終わっていない段階で雇用保険の加入手続きが行われる場合にも二重加入が生じます。

ダブルワークをする際に雇用保険の加入条件が満たされるような働き方をする場合は注意が必要です。

雇用保険に二重加入しているのか確認方法

雇用保険に二重加入しているかどうかを確認する方法は、いくつか存在します。

一番確実なのは、お住まいのエリアを管轄するハローワークにおいて雇用保険の加入状況を確認することです。

雇用保険被保険者資格取得届出確認照会票」と本人確認書類を提示することで、すぐに加入状況がわかります。

また、ダブルワーク先で受け取った給与明細を確認し、雇用保険料が引かれていないかをチェックしましょう。

二重加入の場合はどちらの職場でも雇用保険料が引かれており、二重加入の状態にあることが明らかとなります。

一連の確認作業によって二重加入が発覚した場合には、すぐさま取り下げ手続きに入る必要があります。

二重加入の取り下げ手続

万が一二重加入が発生した場合には、「収入が少ない」方の会社に対し、取り下げ手続きを依頼しましょう。

取り下げ手続きは収入が少ない企業で行われる仕組みです。

取り下げ手続きに必要な書類として、まず「雇用保険被保険者資格取得・喪失等届訂正・取消願」が挙げられます。

「雇用保険被保険者資格取得・喪失等届訂正・取消願」に所定の情報を記入し、労働者名簿や賃金台帳などの確認書類を基に手続きが進みます。

ダブルワークを行い、元の職場の方が収入が低くなった場合はその旨を伝えて、取り下げ手続きを行ってもらいましょう。

ダブルワークが雇用保険に与える影響

基本的にダブルワークで雇用保険の二重加入をしてしまっても、何らかのペナルティが生じるわけではありません。

しかし、失業保険を受け取る段階において不具合が生じることがあるため、要注意です。

雇用保険に加入することで、失業した場合に失業保険を受け取れるようになります。

仮に二重加入をしていた場合、加入歴が短い方の記録が適用されてしまい、何らかの悪影響を受ける可能性が出てくるのです。

本来であればもっと受け取れたはずなのに、少ない給付額になってしまってもおかしくありません。

二重加入の状態を放置したばかりに雇用保険の適用や給付において、複雑な状況を生み出す可能性があります。

ダブルワークをしている人の権利

ダブルワークをする方の権利は、労働基準法に基づいて守られています。

例えば、労働時間に関するルールは1日8時間・週40時間までですが、ダブルワーク先も含めて1日8時間・週40時間は守られなければなりません

仮にダブルワーク先を含めて週40時間以上の労働が認められれば、40時間を超える分について割増賃金が適用されます。

また、労働者の健康管理も企業側が行うこととなっています。

働きすぎを防ぐための管理も本業の職場・副業の職場それぞれが行う必要があるのです。

ダブルワークをしている人であっても、労働基準法に基づいて守られることになります。

ダブルワークをしている人の義務

ダブルワークをする場合には、ダブルワークをしている人に課せられた義務を果たすことが大切です。

本項目では、ダブルワークをしている人の義務についてまとめました。

年末調整や確定申告

ダブルワークをする場合、年末調整や確定申告は必ず行わないといけません。

例えば、それぞれの職場で給料を受け取っているのに、片方の職場でしか年末調整をしていない場合、確定申告が必須です。

また双方の職場で年末調整をしていた場合も、確定申告は必要です。

それぞれの職場で年末調整をすると控除が重なってしまい、正しい計算が行えなくなるためです。

一方でダブルワーク先の給料もまとめて1つの職場で年末調整を行うケースや年末調整をしていない所得が20万円以下、給与収入が103万円以下などのケースにおいては確定申告はいりません。

ただ確定申告をすることで払いすぎた税金が還付されるケースやふるさと納税、医療費控除のケースなどもあります。

確定申告が不要なケースでも確定申告をした方がいい場合もあるため、注意が必要です。

それぞれの職場における規則や契約を遵守

ダブルワークをする場合、本業となる職場、ダブルワーク先それぞれで設けられている規則や契約を守らなければなりません。

例えば、元々の職場で知り得た機密情報をダブルワーク先で漏らしてしまい、重大な損害が発生するケースが考えられます。

重大な損害を未然に防ぐため、社員の副業を認める一方で秘密保持や競業避止義務を遵守するよう、書面で約束させるのが一般的です。

万が一義務を違反した場合、どのような処分があるのかが就業規則に記載されているケースもよく見られます。

ダブルワークをする場合、元々の職場はもちろん、ダブルワーク先の就業規則や契約を十分に確認し、義務を怠らないようにしましょう。

ダブルワークで失業保険を受け取る条件

ダブルワークをしている段階で1つの職場を退職する場合には、失業保険を受け取ることができます。

スムーズに失業保険を受け取る際には、以下の条件を満たす必要があります。

  • 待期期間中はもう一方の仕事をしない
  • 給付期間中はもう一方の仕事を4時間未満にする
  • もう一方の仕事に充てる時間を週20時間未満にする

本項目では、ダブルワークで失業保険を受け取る条件について解説します。

待期期間中はもう一方の仕事をしない

ダブルワークの有無に関係なく、待期期間中は原則として就労してはいけないことになっています。

待期期間は失業状態であることを示すために設けられた期間であり、自己都合退職・会社都合退職に関係なく平等に与えられた期間です。

就労をしてしまうと失業保険を受け取るタイミングが後ろへずれ込んでいきます。

そのため、7日間の待期期間においては就労をしないで過ごすことが求められるのです。

仮にダブルワークをしている場合には、待期期間中はもう一方の仕事をしないでおくことが求められます。

給付期間中はもう一方の仕事を4時間未満にする

失業保険の給付期間に突入した場合、期間中はもう一方の仕事を4時間未満に抑えておくことが欠かせません。

失業保険のルールとして、4時間以上働いた日は就労と判断され、失業保険の給付が認められなくなります。

また4時間未満だったとしても、報酬額によっては失業保険が減額されるなどの影響が出るため、注意が必要です。

失業保険の給付額を減らしたくないからと、失業認定を受ける際に就労の事実を隠してしまうケースもあります。

この場合は虚偽の報告をしたとして、不正受給の対象となるため、絶対にやめましょう

不正受給の場合には今まで受け取った失業保険の給付額の返還を余儀なくされ、大きなダメージを負ってしまいます。

もう一方の仕事に充てる時間を週20時間未満にする

失業保険受給中にもう一方の仕事で週20時間以上働くと、就職したと判断されてしまい、失業保険が受け取れなくなる可能性が出てきます。

そのため、もう一方の仕事に充てる時間を、週20時間未満に制限する必要があります。

雇用保険の加入条件を満たすような働き方は難しくなり、シフト調整なども工夫する必要が出てくるでしょう。

一方、週20時間未満であれば失業保険を受け取り続けられるものの、その間は逐一ハローワークに報告を行う必要が出てきます。

また、ダブルワーク先に対して、新たな就職先を見つけるまでは週20時間未満にセーブすることを伝え了承を得ることも必要です。

ダブルワークで雇用保険に二重加入できる?でよくある質問

ここまでダブルワークで雇用保険に二重加入できるかどうかについて解説してきました。

最後に雇用保険の二重加入に関するよくある質問をまとめました。

  • Q:ダブルワーク時に雇用保険を二重加入してしまったらどうなりますか?
  • Q:雇用保険に2個加入することはできますか?
  • Q:雇用保険の二重加入はバレますか?
ダブルワーク時に雇用保険を二重加入してしまったらどうなりますか?
万が一ダブルワークで雇用保険に二重加入してしまった場合は、収入が少ない方の会社で取り下げ手続きをお願いすることになります。

両方の職場で収入の確認を行い、収入の少ない方の会社を特定して、事情を伝えて取り下げ手続きをしてもらいましょう。

収入が少ない方の会社で「雇用保険被保険者資格取得・喪失等届訂正・取消願」の提出を行って、訂正手続きに入ります。

二重加入自体に罰則はないものの、訂正しないと失業保険の申請や保険料の二重支払いでトラブルになる可能性があります。

二重加入が発覚次第、早急に手続きを行いましょう。
雇用保険に2個加入することはできますか?
雇用保険は1人につき1つの番号で管理されるため、複数の会社で加入することは原則できません。

ただし、手続きのタイミングや連携の不備などで二重加入の状態になってしまうことはあります。

またそれぞれの会社が二重加入を想定せず、手続きを進めてしまうケースがあります。

原則複数の加入はできないものの、手続きミスで加入状態になる場合があるため、注意が必要です。
雇用保険の二重加入はバレますか?
雇用保険の二重加入は原則できないほか、手続きを進める際に番号の照合が行われるため、二重加入は通常バレます。

また、失業保険を受け取ろうと申請をする際に二重加入の事実が発覚することもあります。

ハローワークとしては失業保険の不正受給を防ぐため、二重加入かどうかを含め、雇用保険の加入歴などは厳しくチェックします。

万が一二重加入が発覚した場合は適切な訂正手続きが必要です。

放置してしまうと不正受給と判断される可能性が出てくるため、早急な対応が必須です。

まとめ

今回は雇用保険の二重加入に関する話題を中心に解説を行ってきました。

最後に今回ご紹介した内容を振り返っていきます。

  • 雇用保険の二重加入は原則できないが、社会保険は二重加入できる
  • 手続きのミスなどから雇用保険に二重加入してしまうことがある
  • 雇用保険に二重加入すると、雇用保険料が多く引かれるなどの影響がある
  • 二重加入が発覚した場合は、収入の少ない方の会社に取り下げ手続きを依頼する

近年は副業を行って、収入を確保する動きが強まっており、ダブルワークをする人も増えています。

雇用保険に二重加入しているかどうかは、双方の会社の給与から雇用保険料が引かれているかどうかで確認しなければなりません。

いずれかの雇用保険にしか加入できないため、いずれかの会社からしか本来雇用保険料は引かれないことを知っておくと、二重加入かどうかがわかります。

失業保険を受け取る段階でさまざまな不具合が生じかねないため、発覚後速やかな対応が必要です。