懲戒解雇となっても、失業保険を受け取ることが可能な場合があるのはご存知ですか?
この記事では、以下の内容を解説していきます。
- 懲戒解雇の種類
- 重責解雇となった場合の失業保険
- 特定受給資格者となった場合の失業保険
- 受給できる金額の総額
- ハローワークでの失業保険の手続き方法
懲戒解雇といっても種類があるため、自分の状況を当てはめて、失業保険はもらえるのか?いくらもらえるのか?などを本記事を参考に確認してみてください。
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退職サポーターズ編集部
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懲戒解雇による離職は2種類

おそらく、多くの人は懲戒解雇=重責解雇と解釈している人も多いのではないでしょうか。
実は、懲戒解雇には特定受給資格者と重責解雇2つの種類が存在し、解雇の原因によって失業保険の受給日数が変わります。
以下でそれぞれ解説していきます。
特定受給資格者
特定受給資格者とは、「会社の倒産・解雇等の理由により再就職の準備をする時間的余裕がなく離職を余儀なくされた者」のことをいいます。
要するに、会社都合で辞めさせられてしまった人のことです。
特定受給資格者に該当する場合、失業保険を受け取れる日数が増えるなどの優遇措置が受けられます。
特定受給資格者に該当するかどうかは、ハローワークでの審査によって決定されます。
重責解雇
重責解雇とは、従業員が職務上で重大なミスをしたり、違法行為を犯したりした場面で、重大な責任を問われて解雇されることです。
重責解雇かどうかを最終的に判断するのは、特定受給資格者と同様にハローワークです。
では、どのようなケースが重責解雇となるのでしょうか?
厚生労働省が公表する「雇用保険に関する業務取扱要領」によると、主に7つのケースです。
- 職務上の犯罪行為
- 設備や器具の破壊
- 信用毀損行為や損害を与える行為
- 就業規則等に対する違反
- 機密保持義務違反
- 不正行為
- 経歴詐称
以下でひとつずつ見ていきましょう。
職務上の犯罪行為
労働者が法令に違反し、処罰を受けた場合、会社はその理由で解雇することが可能です。
ただし、解雇の条件として「処罰を受けたこと」が必要のため、裁判や取り調べ中で刑が確定していない場合は該当しません。
設備や器具の破壊
会社の設備や器具を故意や重大な過失で破壊した場合には、重責解雇の対象となります。
信用毀損行為や損害を与える行為
労働者の不適切な言動や行為により、会社の信用が失われた結果、顧客が減少したり、金銭的な損害が発生した場合も重責解雇に該当します。
就業規則等に対する違反
就業規則や労働規則に規定された事項については、労働者が守らなければならないものです。
そのため、就業規則や労働規則に違反したことを理由として解雇された場合には、重責解雇となります。
具体的には、以下のような行為が重責解雇に該当します。
- 頻繁な出勤不良や遅刻を改善せず、数回の注意を受けても改めない場合
- 事業所内での窃盗や横領、傷害などの刑事事件(軽微なものを除く)
- 賭博や風紀紊乱(びんらん)などで職場規律を乱した場合
- 長期間の無断欠勤に対する出勤督促を無視した場合
機密保持義務違反
会社の機密を漏えいした場合も、重責解雇の対象となります。
会社の機密とは、製品、技術などの機密、会社の経営状態、資産など経営上の機密に関する事項をいいます。
不正行為
会社の名前を利用して利益を得た、または得ようとした場合、それが会社に直接的な損害を与えなくても、詐欺罪や背任罪が成立する可能性があり、重責解雇の対象となります。
経歴詐称
就職活動時に学歴や経験を偽って採用された場合は、経歴詐称にあたります。
採用後、虚偽が発覚した場合、これを理由に重責として解雇される可能性が高いでしょう。

重責解雇となった場合の失業保険
重責解雇に該当する懲戒解雇の場合でも、以下2つの条件を満たせば失業保険を受け取ることが可能です。
重責解雇は自己都合退職と同じ扱いになるため、通常の失業保険と同じ条件となります。
条件についてひとつずつ見ていきましょう。
直近2年間に12か月以上の雇用保険加入している
失業保険を受給するためには、まず雇用保険に一定期間加入していることが必須条件です。
一般的に、直近2年間に12か月以上の雇用保険加入期間(雇用保険法13条1項)が求められます。
この加入期間については、前職から現職へ転職する際に、失業保険を申請していなかった場合は、前職と合わせて計算することも可能です。
懲戒解雇後も働く意思を明確に持っている
そもそも失業保険は、再就職のための支援として支給される手当です。
そのため、懲戒解雇後も働く意思を明確に持っていることが必要条件です。
働く意欲がない場合や、仕事を探す意思がないとハローワークに判断されると、失業保険を受け取ることができなくなります。
特定受給資格者となった場合の失業保険
続いて、特定受給資格者となった場合の失業保険について解説していきます。
直近1年間に6か月以上の雇用保険加入期間
特定受給資格者は、会社都合退職として失業保険の申請が可能です。
そのため、重責解雇(自己都合退職)よりも申請要件が緩和されます。
一般的に、重責解雇(自己都合退職)の場合は、直近2年間に12か月以上の雇用保険加入期間が必要とされていますが、重責解雇に該当しない懲戒解雇の場合は、特定受給資格者(会社都合退職)なので、直近1年間に6か月以上の雇用保険加入期間があれば失業保険を申請できます。
再就職を行う意思がある
重責解雇と同様に、特定受給資格者の場合でも再就職の意思がなければ失業保険の給付はされません。

受給できる金額の総額
懲戒解雇後に受け取れる失業保険の金額は、過去の収入や年齢によって異なります。
失業保険として支給される金額は、過去の賃金を基準に計算されます。
具体的には、賃金日額の50〜80%が支給される仕組みで、高齢者ほど高い割合が適用されます。
また、給付日数については、年齢や雇用保険の加入期間によって異なります。
これは単純に、雇用保険加入期間が長ければ長いほど、受給期間も長くなります。
給付日数については、重責解雇に該当する場合は、自己都合退職と同じ日数となり、重責解雇に該当しない場合は、会社都合退職と同じ日数を失業保険が受け取れます。
自分がどの給付日数に該当するのか、以下の図を参考にしてみてください。
重責解雇(自己都合退職)
10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
---|---|---|
90日 | 120日 | 180日 |
特定受給資格者(会社都合退職)
1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 | |
---|---|---|---|---|---|
30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | ー |
30歳以上35歳未満 | 90日 | 120日 | 180 | 210日 | 240日 |
35歳以上45歳未満 | 90日 | 150日 | 180 | 240日 | 270日 |
45歳以上60歳未満 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
60歳以上65歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
特定受給資格者の場合は、所定給付日数は最大で330日となっていますが、重責解雇の場合は、最大でも180日となっています。
ハローワークでの失業保険の手続き

この章では、解雇後〜失業保険受給開始までの流れを解説していきます。
流れとしては以下の通りです。
- 離職する
- 受給資格の決定
- 雇用保険受給者初回説明会
- 失業の認定
- 受給開始
離職する
重責解雇(自己都合退職)、特定受給資格者(会社都合退職)いずれの場合も退職時に、会社側から「雇用保険被保険者証」と「離職票」が発行されます。
後の失業保険申請時にハローワークに提出する重要な書類となるため、大切に保管するようにしましょう。
受給資格の決定
ハローワークで求職申込、必要書類を提出することで、受給資格があるかの審査に入ります。
結果が知らされるまでには7日間の待機期間が設けられており、その後資格決定の通知が届きます。
雇用保険受給者初回説明会
受給資格が決定したら、「雇用保険受給者初回説明会」に参加する必要があります。
「雇用保険受給者初回説明会」では、雇用保険の受給についての重要事項の説明が行われます。
説明会後に、失業保険を受け取るために必要な「雇用保険受給資格者証」、「失業認定申告書」を渡され、一回目の「失業認定日」を知らされます。
失業の認定
失業認定日までに、最低2回の求職活動を行う必要があります。
「求職活動」の具体的な内容は以下の通りです。
- ハローワークでの職業相談や職業紹介
- ハローワーク主催のイベント参加
- 求人への応募
- 再就職のための資格の取得
- 再就職を目的としたセミナーへの参加
受給開始
これまで、自己都合退職(重責解雇)による失業保険の給付制限期間は7日(待機期間)+2カ月間でした。
しかし、2025年4月に雇用保険法が改正され、2025年4月1日以降に退職した場合、給付制限期間は7日(待機期間)+1カ月に短縮となりました。
対して、会社都合退職(特定受給資格者)の場合は、自己都合退職(重責解雇)のように待機期間は存在しません。
職場から離職票を受け取り次第、早めにハローワークで申請手続きをしましょう。
なお、給付制限期間後の失業認定日に再びハローワークに行くことを失念しないようにしましょう。
失業認定日に、失業の状態が続いていることが認められると、失業手当の受給開始となります。
まとめ
今回は、懲戒解雇で失業保険は貰えるのか?というテーマのもと、懲戒解雇の種類と重責解雇・特定受給資格者それぞれの失業保険について、受給できる総額や期間、ハローワークでの手続きの流れについて解説しました。
結論、懲戒解雇で退職となっても、一般的な自己都合退職、会社都合退職と同じ扱いのため、所定の手続きを行えば失業保険を受け取ることが可能です。
失業保険をもらうためには、勤務先から必要な書類を受け取り、速やかにハローワークに申請するようにしましょう。
また退職サポーターズではこれから退職される方に向けて、
失業保険の受給金額が最大200万円になる給付金申請サポートを行っております。
今ならLINE追加するだけで、自分がいくら受給金額がもらえるのか無料診断ができます。
