会社倒産で突然職を失っても、失業保険を受け取ることで生活を支えることが可能です。本記事では、会社都合による退職の扱いや、自己都合との違いを解説します。
倒産時に受け取れる失業保険の金額や、特定受給資格者としてのメリット、手続きの流れまで丁寧に紹介。ハローワークでの手続きや必要書類、注意点についても網羅しています。失業保険に関する疑問を解消したい方は、ぜひ参考にしてください。
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退職サポーターズ編集部
「退職サポーターズ」では、社会保険給付金の申請を退職のプロと社会保険労務士が支援します。当メディアでは、自己都合退職や会社都合退職にともなう手続きや、失業保険・傷病手当金などの制度について、正確かつ実用的な情報をわかりやすくお届けします。
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会社が倒産したら失業保険はもらえる?
会社が倒産した場合でも、失業保険を受け取ることは可能です。会社倒産による退職は「会社都合」として扱われるため、自己都合よりも有利な条件で給付を受けられます。
待期期間の7日が過ぎればすぐに支給が始まり、給付期間も長く設定されます。さらに「特定受給資格者」に該当すれば、受給条件が一部緩和されるなど、制度面での優遇も受けられます。
突然の倒産で不安を感じることもあるかもしれませんが、こうした制度を知っておくことで、いざという時に落ち着いて行動できます。失業保険は再スタートを支える大切な制度です。

失業保険とは
失業保険は、仕事を失ったあとに生活を支えるための給付制度です。雇用保険に加入していた人が対象で、在職中に給与から天引きされていた保険料が原資となっています。退職後すぐに収入がなくなっても、一定期間の生活費を補うことで、安心して次の就職先を探せる仕組みです。
ただし、失業保険は誰でも受け取れるわけではありません。受給には以下の条件をすべて満たす必要があります。
- 働く意思と能力があること
- 積極的に求職活動を行っていること
- 一定の被保険者期間を満たしていること
一方で、以下のような場合は給付の対象外となります。
- 離職後すぐに再就職が決まっている場合
- 働く意思がまったくない場合
このように、失業保険は再スタートを支える制度ですが、利用するには正しい理解と準備が欠かせません。
失業保険は3つの退職理由により分類される
失業保険の受給条件は、退職の理由によって異なります。主に以下の3つに分類され、それぞれで扱いが変わります。
- 会社都合退職:倒産や解雇など、労働者に責任のない退職
- 自己都合退職:転職や家庭の事情など、本人の判断による退職
- その他の退職:定年や契約期間満了など、あらかじめ決まっていた退職
ここでは、各退職理由が失業保険にどう影響するのかを解説します。
会社都合による退職
会社都合による退職は、労働者の意思に反して会社側の事情で離職を余儀なくされた場合に該当します。
たとえば、会社の倒産や解雇、有期契約の更新打ち切り、労働条件の一方的な変更などが該当します。本人に就労の意思があったにもかかわらず、働き続けることができなくなった点が特徴です。
こうした予期せぬ離職に対しては、失業保険の受給開始が早まるなど、一定の配慮がなされています。準備が整わないまま退職を迎えることも多いため、早期の生活支援が必要とされているためです。
自己都合による退職
自己都合による退職は、本人の事情や判断によって職場を離れる場合に該当します。原則として失業保険の受給開始が遅くなり、給付日数も会社都合より短くなります。自己都合退職には、次の2つのケースがあります。
- 正当な理由のある退職:病気、配偶者の転勤、家族の介護など、やむを得ない事情により退職を選んだ場合
- 正当な理由のない退職:転職や起業、資格取得など、自発的なキャリアの選択による退職
いずれも退職理由によって給付条件が変わるため、事前の確認が重要です。特に正当な理由があるかどうかで、受給時期に差が生じる点に注意が必要です。
その他の退職
その他の退職とは、会社都合や自己都合のいずれにも該当しないケースを指します。主に以下のような退職が該当します。
- 定年退職:就業規則により一定の年齢で退職となる場合
- 有期契約の満了:契約期間が終了し、更新されなかった場合
これらは、あらかじめ決められた時期や条件による退職であるため、会社や本人の一方的な都合とは異なります。失業保険の受給条件も、他の退職理由と区別して扱われるため、手続き時には注意が必要です。

会社の倒産による会社都合退職のメリット
会社の倒産により退職した場合は、「会社都合退職」として扱われ、自己都合とは異なる優遇措置を受けられます。ここでは、倒産による離職者が失業保険制度の中でどのようなメリットを受けられるのかを解説します。
- 失業保険をすぐに受給できる
- 失業保険の受給期間が長い
- 解雇予告手当を受け取れる
失業保険をすぐに受給できる
会社都合で退職した場合は、自己都合よりも早く失業保険を受け取れるのが大きな特徴です。自己都合の場合、3カ月の給付制限が設けられるのに対し、会社都合では7日間の待期期間を過ぎればすぐに支給が始まります。
突然の倒産などで十分な準備ができないまま職を失う人が多いため、生活の不安を少しでも早く和らげるための措置といえます。
このように、会社都合退職は早期に支援を受けられる点が大きなメリットです。
失業保険の受給期間が長い
会社都合で退職した場合は、失業保険の受給期間が長くなるのも心強い点です。退職理由によって支給される日数は変わり、会社都合の方が手厚くサポートされます。
たとえば、30代で5年以上働いていた人が自己都合で退職した場合、支給期間は約3カ月ほどですが、会社都合であればおよそ6カ月程度と倍近くなります。急な退職で不安を感じる方にとって、長めの支給期間は再スタートに向けた大きな支えになるはずです。
解雇予告手当を受け取れる
会社都合による退職のなかでも「解雇」にあたる場合、条件次第で解雇予告手当を受け取ることができます。これは、会社が30日前までに解雇を伝えていなかった場合に支払われる手当です。
たとえば、解雇の通告が退職の10日前だった場合、足りない20日分の給与相当額が支給される仕組みです。逆に、30日以上前にきちんと予告されていれば、この手当は発生しません。急な解雇で不安を抱えるときに、少しでも助けになる制度といえるでしょう。
会社の倒産による会社都合退職のデメリット
会社の倒産による退職は、失業保険の面では優遇される一方で、思わぬ不利益を受けることもあります。ここでは、倒産による会社都合退職で考えられるデメリットについて、具体的な影響や注意点を紹介します。
- 退職後の生活の準備ができない
- 再就職のときに不利に働く可能性がある
退職後の生活の準備ができない
会社都合による退職は、今後の準備期間がほとんど取れない点が大きなデメリットです。突然の通告によって、生活の見通しが立たなくなるケースも少なくありません。
急に退職が決まった場合、解雇予告手当が支給されることはあるものの、それだけで生活費やローン、教育費などをまかなうのは難しいでしょう。自己都合退職であれば、事前に退職時期を見据えて資金計画を立てることが可能です。
しかし、倒産などによる会社都合退職では、その猶予がなく、生活基盤が一気に不安定になる可能性があります。
再就職のときに不利に働く可能性がある
会社都合による退職は、場合によっては再就職時に不利に働くことがあります。履歴書に「会社都合退職」と記載すると、採用担当者によっては倒産以外の理由を想像することもあるためです。
業務上の問題や懲戒解雇などを疑われる可能性も否定できません。もちろん、すべての企業が気にするわけではなく、事情を説明すれば問題にならないこともあります。
ただし、書類だけでは真意が伝わりにくいため、面接などで丁寧に事情を伝えることが大切です。再就職活動を進めるうえで、このようなリスクも念頭に置いておく必要があります。
会社倒産による受け取れる失業保険の金額は?
会社の倒産により退職した場合、失業保険は「会社都合退職」として支給され、一般的に退職前の給与の5〜8割程度が目安となります。
ここでは、会社倒産による失業保険で受け取れる金額をわかりやすく解説します。
倒産の離職によって特定受給資格者となる範囲
倒産による離職は「特定受給資格者」として認定されることがあり、失業保険の給付条件が優遇されます。
特定受給資格者とは、再就職の準備ができないままやむを得ず離職した人を指します。以下のようなケースが該当します。
- 会社の倒産や民事再生手続きによる離職
- 1カ月以内に30人以上の離職が見込まれる事業所での人員整理に巻き込まれた場合
- 事業所の閉鎖や廃止により、継続的な雇用が困難となった場合
- 事業所の移転などで、通勤が著しく難しくなった場合
これらはいずれも、本人の意思にかかわらず職を失った状況とされ、給付開始が早まり、所定給付日数も延長されます。条件に該当するかは、ハローワークで個別に判断されるため、事前に確認しておくと安心です。
特定受給資格者の所定給付日数
特定受給資格者は、年齢と雇用保険の加入期間に応じて、失業保険の給付日数が決まります。自己都合退職よりも日数が長く設定されており、最大330日まで受給可能です。
以下の表は、被保険者期間ごとの所定給付日数の目安です。
年齢/加入期間 | 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | – |
30〜34歳 | 90日 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 |
35〜44歳 | 90日 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 |
45〜59歳 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
60〜64歳 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
離職時の年齢と加入期間を照らし合わせ、正確な日数を確認しましょう。
特定受給資格者の失業保険受給要件
特定受給資格者として失業保険を受け取るには、一定の条件を満たす必要があります。会社都合による退職の場合は、自己都合よりも受給要件が緩やかに設定されています。
以下に主な条件とポイントを整理します。
- 離職前1年間に、6カ月以上の被保険者期間があること
→ 原則として、各月11日以上働いている月が6カ月以上あることが必要 - 自己都合退職の場合は、過去2年間で12カ月以上が必要
→ 比較すると、会社都合退職の方が受給のハードルは低い
- 1日あたりの基本手当日額
=退職前6カ月の給与総額 ÷ 180日(賞与除く) - 支給総額
=基本手当日額 × 所定給付日数(年齢や勤続年数により異なる)
- 再就職が早期に決まった場合
→ 就職促進給付(支給残日数の2/3以上で70%、1/3以上で60%) - 指定講座を修了した場合
→ 教育訓練給付金(条件あり) - 再就職後の賃金が下がった場合
→ 就業促進定着手当(6カ月以上継続勤務などが条件)
制度を正しく理解し、自分がどの給付に該当するかを把握しておくことが大切です。不明点はハローワークに相談しましょう。
会社が倒産した時の失業保険手続きの流れ
会社が倒産して離職した場合、失業保険を受け取るには所定の手続きを進める必要があります。ここでは、ハローワークでの申請から給付までの基本的な流れを順を追って紹介します。
ハローワークに必要書類を提出して手続きをする
失業保険を受け取るためには、まずハローワークでの手続きが必要です。会社が倒産した場合でも、自分で申請しなければ給付は始まりません。
会社から渡されるもの
・雇用保険被保険者離職票(1・2)
・離職証明書(会社が発行)
自分で準備するもの
・マイナンバーカードまたは通知カード
・本人確認書類(運転免許証など)
・本人名義の通帳またはキャッシュカード
・証明写真(縦3cm×横2.5cm程度)
・印鑑(認印)
書類をそろえたらハローワークに出向き、求職申込を行います。その後、書類の確認が行われ、問題がなければ初回説明会の案内を受けて手続きは完了となります。不明点は事前にハローワークに確認しておくと安心です。
雇用保険説明会への参加
失業保険を受け取るには、ハローワークで行われる雇用保険受給者初回説明会への参加が必要です。これは単なる手続きの一部ではなく、制度の内容や今後の流れを理解する大切な場です。説明会では、以下のような書類が交付されます。
- 雇用保険受給資格者証:受給資格を証明するもの
- 失業認定申告書:失業状態であることを定期的に報告するために必要
説明会では、初回の「失業認定日」や次回以降の手続きについても案内があります。この説明会に出席しなければ、失業保険の支給が始まりません。
受給に必要な情報を正しく理解し、スムーズに手続きを進めるためにも、忘れずに参加しましょう。
7日間の待期期間
失業保険を受け取るためには、「7日間の待期期間」を経る必要があります。これは、ハローワークで手続きを終えた日から起算され、連続して7日間、就職する意思がある状態であることが求められます。
待機期間中は、たとえ失業の認定がされていても、実際の給付は行われません。待期期間は、就職活動の意思が本当にあるかどうかを確認するための準備期間という位置づけです。
なお、正当な理由なくこの期間中にハローワークへ行かなかったり、求職の姿勢が認められなかった場合は、待期期間が無効となることもあるため注意が必要です。会社都合退職であれば、この7日間が終わると速やかに支給が開始されます。
1回目の失業認定
失業保険を受け取るには、失業状態であることを定期的に証明する必要があります。そのために設けられているのが「失業認定日」です。
初回の認定日は、待期期間終了後にハローワークから指定され、本人が出向いて申告書を提出しなければなりません。このとき、「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」を持参し、失業の状態や求職活動の内容を記載します。
求職活動は認定期間中に原則2回以上行う必要があります。実績が不足すると、その期間の給付は受け取れないため注意が必要です。
失業が認定された日数分の基本手当が支給
失業が認定されると、その期間に応じた基本手当が支給されます。
支給額は、認定された日数に「基本手当日額」を掛けた金額です。たとえば、28日間が認定された場合は、28日分の手当が振り込まれます。
通常、認定日から5営業日程度で指定の口座に入金されます。ただし、認定期間中にアルバイトや家業などを行った日は、原則として支給対象外となります。対象外となった日数分は、次回以降の支給に繰り越されます。
受給額に影響が出る場合もあるため、就労状況は正確に申告しましょう。
会社が倒産した場合の失業保険の注意点
会社が倒産した場合、失業保険は自己都合退職よりも手厚く支給されます。ただし、制度を正しく理解しておかないと、不支給や手続きの遅れにつながるおそれがあります。
以下に注意すべきポイントをまとめました。
- 再就職後に再び離職しても、すぐに再受給できるとは限らない
次の受給には被保険者期間の要件を満たす必要があります。 - 2回目以降の受給には下記いずれかの条件が必要
一般の場合:離職日前2年間に12カ月以上の被保険者期間
特定受給資格者:離職日前1年間に6カ月以上の被保険者期間
再受給の可否は誤解されやすい点もあるため、ハローワークでの確認を忘れずに行いましょう。
会社が倒産した場合の失業保険でよくある質問
ここでは、倒産時の失業保険に関してよくある質問とその答えをまとめて紹介します。
- パートも失業保険はもらえる?
- 結論から言うと、パートであっても条件を満たしていれば失業保険を受け取ることができます。
受給には、雇用保険に加入している必要があります。加入条件は、1週間の所定労働時間が20時間以上であること、かつ31日以上の雇用見込みがあることです。これらを満たしていれば、正社員と同様に被保険者として扱われます。
そのうえで、退職前に必要な被保険者期間を満たしていれば、基本手当の受給が可能です。パートだからといって諦めず、まずは雇用保険への加入状況を確認しましょう。
- 会社が倒産したら失業保険はいくらもらえますか?
- 会社が倒産した場合、受け取れる失業保険の金額は、退職前6カ月間の賃金をもとに算出されます。賃金総額を180で割った「基本手当日額」に、所定の給付日数をかけた金額が支給されます。
給付日数は年齢や被保険者期間によって異なり、おおよそ90日から最大330日までの範囲です。なお、1日あたりの支給額には上限があり、賃金の5割〜8割程度が目安とされています。
詳細な金額を知りたい場合は、ハローワークでの確認が必要です。
- 会社が倒産した時に貰えるお金は?
- 会社が倒産した場合に受け取れるお金は、主に3つあります。「失業保険」「退職金」「未払い賃金」です。それぞれ性質や支給条件が異なるため、確認が必要です。
まず、失業保険は会社都合退職として扱われ、自己都合よりも条件が優遇されます。給付制限がなく、7日間の待期後に支給が始まり、最大330日間受給できます。
次に、退職金は会社に資産があれば支払われますが、不足する場合は未払賃金立替払制度により一部が国から支給されることもあります。
最後に、未払い給与も労働の対価として優先的に扱われます。ただし、財産状況により全額支給されない可能性があるため、早めの手続きが大切です。
まとめ
会社の倒産により退職した場合、失業保険は会社都合として優遇されます。受給開始が早く、給付期間も長く設定されている点が特徴です。ただし、正しい手続きや条件の確認が欠かせません。
退職後の生活を安定させるためにも、制度の仕組みを理解し、早めにハローワークへ相談しましょう。
また退職サポーターズではこれから退職される方に向けて、
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