常用就職支度手当とは?もらえる条件と対象者、申請の流れをすべて解説!

雇用保険のしおりと電卓

常用就職支度手当って何?

給付条件と対象者を知りたい…

申請の流れがわからない…

常用就職支度手当の受給条件や、申請方法がわからない方も多いのではないでしょうか?

常用就職支度手当とは就職困難者が就職したときに支給される手当です。この手当の存在をご存知の方は少ないのではないでしょうか。

この手当の支給の対象となる方は就職活動がなかなかうまくいかず、金銭的に不安な方も少なくないでしょう。そんなときに受給できる常用就職支度手当の知識は知っていて損はありません。

そこでこの記事では、常用就職支度手当の給付条件や、申請方法、給付金額の計算方法などを解説します!

1ヶ月以内に働き始めた方は常用就職支度手当の対象者の可能性があります。

ぜひ最後までご覧ください。

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常用就職支度手当とは?

常用就職支度手当とは、基本手当(失業保険)を受給中の就職困難者が再就職した時に支給される手当です。

雇用保険の支援制度で、再就職した人への就職促進給付の1つです。就業した日に満45歳以上だったり、再就職した人に障がいがあったりすると支給の対象となります。

この記事で紹介される、支給条件をチェックして、自身が支給対象者かどうか確認しましょう。

再就職手当との違い

再就職手当との違いは、支給に必要な基本手当(失業保険)の残日数と支給対象者が異なります

再就職手当は基本手当(失業保険)の残日数が3分の1以上必要ですが、常用就職支度手当は3分の1未満でも支給の対象となります。

また、再就職手当の支給対象者には年齢や障がいの有無などは支給要件に含まれませんが、常用就職支度手当の支給要件には含まれます。両手当の違いを簡単に表でまとめましたのでご確認ください。

再就職手当常用就職支援手当
対象者特になし45歳以上もしくは就職困難者
支給に必要な基本手当(失業保険)残日数3分の1以上1日以上

注意していただきたいのは、どちらか1つが支給対象となり、両方が支給対象とはなりえないということです。

再就職手当が受け取れない方が、受け取れる手当ともいえます。計算式は後述しますが、再就職手当よりも支給額は低くなります。

ちなみに、再就職手当の詳細は過去記事の失業保険の手続き方法まとめ!受給条件から必要なものまで解説で解説していますので、ぜひご覧ください。

特例一時金との違い

特例一時金とは基本手当(失業保険)を受給できない人向けの手当です。季節労働者などのような短期雇用者を保護するための手当なので、1年以上の安定した仕事に再就職した際に支給される常用就職支度手当とは性質が異なります。

短期なのか1年以上なのか再就職する企業との雇用契約によって受給できる手当てが変わりますので、再就職する際は雇用契約を確認しましょう。

特例一時金の支給条件などの詳細は過去記事失業保険の一時金とは?種類や受給条件、もらえる金額などを徹底解説!で解説していますので、ぜひご覧ください。

常用就職支度手当をもらえるのはどんな人?

常用就職支度手当が支給されるのは、雇用保険の受給資格者、日雇受給資格者および、特例受給資格者(特例一時金の支給を受けた者で、当該特例受給資格にかかわる離職した日の翌日から起算して6ヶ月が経過していないものを含む)かつ、以下のような人です。

  • 45歳以上もしくは障がいのある人
  • 特例一時金の受給資格がある人
  • 特定の理由で就職が困難な人

ここから、1つずつ詳しく解説します。

45歳以上もしくは障がいのある人

再就職した45歳以上の人全てが支給対象となるわけではありません。以下のいずれかに該当する必要があります。

また、年齢は離職した日ではなく、再就職した日が基準となっていますのでご注意ください。  

(イ) 労働施策総合推進法第 24 条第 3 項又は第 25 条第 1 項の規定による認定を受けた再就職援助
計画に係る援助対象労働者
この場合、事業主が再就職援助計画の認定を受けた場合に当該再就職援助計画の対象となる
援助対象者に交付される「再就職援助計画対象労働者証明書」を支給申請の際に添付させ、こ
れにより確認を行う。
(ロ) 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律第 17 条第1項に規定する求職活動支援書若しくは
同項の規定の例により、定年又は継続雇用制度がある場合における当該制度の定めるところに
より離職することとなっている 60 歳以上 65 歳未満の者の希望に基づき当該者について作成さ
れた書面(以下「求職活動支援書等」という。)の対象となる者

厚生労働省職業安定局雇用保険課 就職促進給付 P40 常用就職支度手当の支給対象者より引用

身体、知的、精神に障害を持っている方も支給の対象となります。

申請の際に、求職登録表や、身体障がい者手帳や、療育手帳、精神障がい社保険福祉手帳などによって障がいの度合いを確認し、就職困難者であることの認定が行われます。

特例一時金の受給資格がある人

前述のとおり、特例一時金とは季節労働などのような短期労働者を保護するための手当のことです。

特例一時金受給者(特例受給資格者)が通年雇用奨励金の支給対象の事業主に通年で雇用されると、支給対象となります。

特定の理由で就職が困難な人

その他にも、以下のような特定の理由で就職が困難な人は支給の対象となります。

  • 駐留軍関係離職者等臨時措置法第 10 条の 2 第 1 項又は第 2 項の認定者
  • 沖縄失業者求職手帳を所持している方
  • 一般旅客定期航路事業等離職者求職手帳を所持している方
  • 刑余者
  • アイヌ地区住民
  • その他就職が困難な人

詳細はこちらの厚生労働省のページで厚生労働省職業安定局雇用保険課 就職促進給付 P41 常用就職支度手当の支給対象者ご確認ください。

常用就職支度手当をもらえる条件

就職促進定着手当をもらえる条件

常用就職支度手当を受給するには、基本手当(失業保険)の受給中に、下記の5つの全ての条件を満たす必要があります。

  • ハローワークか就職紹介事業者の紹介で就職した人
  • 雇用保険に加入できる条件で就職していること
  • 離職前の雇用主からの再雇用でないこと
  • 失業保険の手続き後7日間の待機期間と自己都合退職の場合は給付制限後に就職していること
  • 過去3年以内に再就職手当と常用就職支度手当をもらっていないこと

各条件について詳しく掘り下げていきます。

ハローワークか就職紹介事業者の紹介で就職した人

再就職した会社がハローワークか厚生労働省の許可・届出がある就職紹介事業者からの紹介でない場合は、支給資格を得られません。

そのため、それら以外の就職や、知人が経営する会社に就職する場合にも受給資格は認められません。

ただ、基本手当(失業保険)の支給残日数が3分の1以上あれば、ハローワークや厚生労働省の許可・届出がある就職紹介事業者からの紹介以外でも、再就職手当が支給されます。

雇用保険に加入できる条件で就職していること

再就職した会社で雇用保険に加入できる条件で就職していないと、受給資格を得られません。雇用保険に加入できる労働条件は以下のとおりです。

  • 労働時間が週20時間以上
  • 31日以上の雇用見込みがある

申請する際は就職した会社の労働条件を確認しましょう。

離職前の雇用主からの再雇用でないこと

原則、離職前の雇用主から再雇用は、再就職に該当しないため支給の対象外となります。

また、離職前の会社と資本関係など関わりのある会社も同様に対象外ですので、注意しましょう。

失業保険の手続き後7日間の待機期間と自己都合退職の場合は給付制限後に就職していること

基本手当(失業保険)の手続き後7日間の待機期間が過ぎて就職していること。自己都合退職の場合は待機期間後の3ヶ月の給付制限後に就職していることが給付の条件です。

給付制限期間内でも申請できる就職手当とは申請のタイミングが異なりますので、注意しましょう。

過去3年以内に再就職手当と常用就職支度手当をもらっていないこと

再就職した日から3年以内に再就職手当、もしくは常用就職支度手当を支給されている人は支給対象外です。

常用就職支度手当はいくらもらえる?

就職促進定着手当の計算方法

ここでは常用就職支度手当の計算方法を解説します。

受給できる金額は、基本手当(失業保険)の支給残日数によって計算式が異なりますので、自身の基本手当(失業保険)残日数に合った計算式で受給できる金額を計算してみてください。

常用就職支度手当の計算方法

前述のとおり、基本手当(失業保険)の支給残日数により支給額の計算式が異なり、計算式は以下のとおりです。

ちなみに、基本手当(失業保険)の給付日数は、雇用保険の加入した期間や、失業の理由、失業した時の年齢によって決定されます。

基本手当(失業保険)の支給残日数が90日以上の計算方法

基本手当(失業保険)の日額× 90 ×40%

基本手当(失業保険)の支給残日数が45日から89日未満の計算方法

基本手当(失業保険)の日額×支給残日数×40%

基本手当(失業保険)の支給残日数が(1日以上)45日を下回る場合

基本手当(失業保険)の日額×45×40%

基本手当(失業保険)の日額とは、1日あたりの基本手当(失業保険)の支給金額です。この計算式における、基本手当日額の上限がきまっています。

基本手当日額の上限は60歳未満の人で6,290円、60歳以上65歳未満の人で5,085円(毎年8月1日に変わることがあります)ですので、計算される場合はご注意ください。

上限額はこちらのページ就職促進給付で確認できます。

常用就職支度手当を申請する方法と流れ

自己都合退職で有休消化する場合の流れ

ここからは常用就職支度手当を申請する方法と流れを説明します。

申請には提出期限があるので、条件を満たしていた方は早急に申請しましょう。

就職が決まったらハローワークで常用就職支度手当支給申請書をもらう

就職が決まったらハローワークで常用就職支度手当支給申請書をもらいましょう。

現在はハローワークインターネットサービスの常用就職支度手当支給申請書のページで、入力・印刷できます。

ハローワークに取りに行く時間がないという方は、ハローワークインターネットサービスにアクセスしてオンラインでの取得がおすすめです。

再就職先で常用就職支度手当支給申請書に記入してもらう

入社日が決定したら、再就職先に常用就職支度手当支給申請書を渡し、事業主から雇用の証明を受けてください。

ハローワークへ常用就職支度手当支給申請書を提出する

常用就職支度手当支給申請書の記入が終わり提出できる状態になったら、ハローワークに提出しましょう。

基本的に本人がハローワークに申請書を提出することになっていますが、理由があってできない場合は代理人による提出(別途委任状が必要)や、郵送による提出も認められています

問題がなければ約1か月で指定した口座に手当が振り込まれる

申請書や再就職先の在籍確認の審査が問題なければ約1ヶ月で自身が指定した口座に、手当が振り込まれます

常用就職支度手当のQ&A

就職促進定着手当のよくある質問

常用就職支度手当の申請に必要な書類は?

常用就職支度手当の申請には以下の書類が必要です。

  • 常用就職支度手当支給申請書
  • 雇用保険受給資格者証
  • 採用証明書
  • 再就職援助計画対象労働者証明書(45歳以上の方)
  • 求職活動支援書(45歳以上の方)
  • 被保険者手帳(日雇受給資格者の方)

常用就職支度手当支給証明書はハローワークでもらえる他、ハローワークインターネットサービスの常用就職支度手当支給申請書で入力・印刷が可能です。

雇用保険受給資格者証は雇用保険受給資格後決定後にハローワークで配布されます。

採用証明書は雇用保険受給資格者証のしおりにあります。

常用就職支度手当のQ&A

常用就職支度手当はいつまでに申請すればいい?

申請期限は就職日の翌日より1ヶ月以内とされています。

就職日とは、実際に就職先で働き始めた日です。働き始めると忙しい毎日になると思いますが、忘れないよう申請しましょう。

常用就職支度手当をもらってすぐに会社を辞めてもいい?

常用就職支度手当をもらってすぐ辞めても、不正行為等していなければ問題ありません

1年以上の安定した職に再就職した際に払われるものなので、1年以上働かないと返還の要求がありそうですが、実際にはありません。

派遣、パート、アルバイトでも常用就職支度手当をもらえる?

派遣、パート、アルバイトでも支給条件を満たせば常用就職支度手当をもらえます

常用就職支度手当の支給要件には雇用形態に関する項目は特に含まれていません。そのため、派遣、パート、アルバイトの方でも1年以上の雇用の見込みがあれば、常用就職支度手当の支給対象となります。

まとめ

この記事では常用就職支度手当について解説しました。

常用就職支度手当は以下のような方を対象にして支給される手当です。

  • 45歳以上もしくは障がいのある人
  • 特例一時金の受給資格がある人
  • 特定の理由で就職が困難な人

このような条件に当てはまる方は、就職活動がなかなかうまくいかず、基本手当(失業保険)の残日数も少なくなっている方も少なくないでしょう。

ようやく就職できたとしても、再就職手当の支給対象外になってしまうということもありえます。

その点、常用就職支度手当は、基本手当(失業保険)の最低でも18日分が支給されるので、なにかとお金が必要な再就職した時期に、大きなサポートとなるでしょう。

申請は期限が決められていますので(就職日の翌日から1ヶ月以内)、受給要件を満たしている方は、早急に手当を申請しましょう。

受給の可能性がある場合はハローワークへの相談をおすすめします。