失業保険の一時金ってどんな種類がある?
特例一時金を受け取る方法や条件がわからない…
再就職手当や高齢者給付金について知りたい。
本記事では上記の疑問や要望などにお応えします。
退職したときに、失業保険を受給できない方でも失業保険の一時金であれば受け取れるケースがあります。
しかし、条件や金額、手続きなどが分からず困っている方もいるでしょう。
そこで今回は、失業保険の一時金について種類や受け取るための条件などを詳しく解説します。
最後まで読めば、失業保険の一時金についてよく理解できます。
失業保険の一時金には種類がある
失業保険の一時金とは、短期特例被保険者の方が退職したときに受け取れる一時金のことで、特例一時金ともいわれます。
失業保険の一時金は、具体的に以下の種類に分けられる点が特徴です。
- 短期特例被保険者:4か月以内と期間を定めたうえで雇用される場合(海の家やウインタースポーツの従業員など)
- 高年齢被保険者:65歳以上の被保険者で(短期特例被保険者・日雇労働被保険者)以外の方
- 日雇労働被保険者:1日単位で雇用される方・1か月以内の期間で雇用される方
- 一般被保険者:単位特例被保険者・高年齢被保険者・日雇労働被保険者に該当しない方
特例一時金とは、失業保険を受給できない方が対象となる制度で、失業保険を同時に受給することはできません。
失業保険の特例一時金とは?
特例一時金を受給するには条件を満たす必要があり、支給される金額や期間も定められているのが特徴です。
- 特例一時金の受給条件
- 特例一時金を申請する方法
- 特例一時金をもらえるタイミング
- 特例一時金をもらえる期間
- 特例一時金でもらえる金額
上記の5点についてここから、具体的に解説します。
特例一時金の受給条件
特例一時金を受け取るには、以下の条件を満たす必要があります。
- 退職するまでの1年間で、11日以上働いた日が6か月以上ある:2020年8月1日以降に退職した場合、1か月に80時間以上働いた場合に初めてカウントされるケースもあります
- 失業している:退職し求職活動をしつつ、いつでも再就職できる健康状態や生活環境にありながらも再就職できない状態を表します
特例一時金は退職した方全員が受給できるものではなく、条件を満たす方のみに限定される点が特徴です。
特例一時金を申請する方法
申請する場合、下記の必要な持ち物を揃えたうえで、ハローワークで手続きをしましょう。
- 離職票‐1
- 離職票‐2
- マイナンバーカード(ない場合、運転免許証・資格証明書・健康保険証・児童扶養手当証明書などの中から1点、個通知カード・住民票の中から1点用意する)
- 顔写真1枚(縦3cm、横2.4cm)
- 本人名義の預金通帳かキャッシュカード
ハローワークはどこでもよいわけではなく、自分の住所を管轄するところへ行くのがポイントです。
ハローワークで手続きを済ませ、特例受給資格があると判断されれば特例受給資格者証を受け取れます。
必要な箇所を記入し、失業認定日に再度ハローワークで手続きをしましょう。
特例一時金をもらえるタイミング
受け取れるタイミングとしては、求職申込をしたあとで7日間の待期期間を経たあとになります。
ただし、退職理由によっては、さらに2か月から3か月程度の期間をまたなくてはいけないケースもあります。
自己都合による退職の場合、入金されるまでの期間を長く待たなくてはいけない点が特徴です。
令和2年9月30日までに退職した方の場合は3か月で、それ以降に退職した方は2か月の給付制限がかかります。
特例一時金をもらえる期間
受け取れる期間は退職した翌日から6か月です。
もし期間をすぎると、全ての金額を受給できなくなることから、早めに手続きをすることがポイントになります。
ハローワークで手続きをできる時間帯は、平日の8時30分から17時15分です。
求職の申込みと受給資格の有無の判断には時間がかかりやすいことから、目安として16時までに来所することが望ましいです。
特例一時金でもらえる金額
受け取れる金額は、基本手当の当日額に50日分を掛けた金額です。
ただし、以下の条件に該当する場合は求職者給付の支給となり、特例一時金の対象外となります。
- 特例一時金の支給を受けていない
- 受給期間を経過していない
- 公共職業訓練を受講している
失業保険の金額に比べると、特例一時金で受け取れる金額は少なくなる点が特徴です。
65歳以上がもらえる高齢求職者給付金
65歳以上の方が受け取れる手当として、高齢休職者給付金があげられます。
雇用保険の被保険者である方が65歳以降に退職した場合、受け取れる給付金のことです。
高齢求職者給付金を受け取るためには、以下の条件を満たさなくてはいけません。
- 退職したときに65歳以上の被保険者で、短期雇用特例被保険者や日雇労働被保険者に該当しない方
- 退職する日までの1年間で被保険者であった期間(1か月の賃金支払基礎日数が11日以上ある)が6か月以上ある方
- 再就職する意思があり、求職活動しているものの仕事に就けない状況にあること
上限の年齢を定めていないことから、例えば70歳以上や80歳以上の方でも高齢求職者給付金を受給できます。
失業保険と同様に、受け取れる回数にも上限が定められていません。
失業保険給付中に就職した場合の再就職手当
再就職手当とは、失業保険を受給し終わっていない方が再就職した場合に、国から受け取れる手当のことです。
再就職手当の対象となる方は、具体的に以下の通りです。
- 再就職手当:失業保険が給付される日数が3分の1以上残っており、再雇用先で1年以上就業することが確定している場合
再就職手当に該当しない場合、以下の就業手当を受け取れるケースもあります。
- 就業手当:失業保険の給付日数が3分の1以上・45日以上あり、1年以上の雇用が見込まれない方の場合
再就職手当の具体的な支給額は、以下の計算式で求められます。
基本手当日額×支給残日数×給付率
※基本手当日額:退職する前6か月間の給料の合計÷180×給付率
※支給残日数が3分の2以上ある場合:給付率70%
※支給残日数が3分の1以上ある場合:給付率60%
申請期限が決められており、再就職から1か月以内に手続きをしないと、手当が無効になる点は注意しましょう。
再就職手当について詳しくは、以下の記事をご参照ください。
旧法の脱退手当金
脱退手当金とは、旧法である厚生年金保険法で定められている手当のことです。
60歳以上で退職した場合、老齢厚生年金を受け取る条件に満たない方が対象の制度となっています。
脱退手当金を受給するためには、以下の条件を全て満たさなくてはいけません。
- 昭和16年4月1日以前生まれの方
- 被保険者の期間が5年以上あるものの老齢年金を受け取れない方
- 被保険者資格を失っている方
- 60歳以上の方
- 通算老齢年金、障害年金を受け取れない方
- 脱退手当金の額以上の障害年金や障害手当金を受け取っていない方
ただし、以下の条件を満たす方の場合、脱退手当金を受け取れる点はポイントです。
- 明治44年4月1日より前に生まれ、(男性:被保険者5年以上あり、55歳以上。女性:被保険者期間2年以上)被保険者の資格を失っている方
- 昭和29年5月1日より前に、被保険者期間が5年以上ある女性で昭和29年5月1日以前に資格を失った方。さらに、同年4月30日に50歳未満で被保険者にならないまま55歳になった方
- 被保険者期間2年以上ある女性で昭和53年5月31日までに資格を失った方
細かく条件を定めているものの、該当する方の場合は脱退手当金を受け取れます。
外国籍の方向けの脱退一時金
外国籍の方が手当を受け取れる制度として、脱退一時金があります。
国民年金か厚生年金保険の資格を失い、国外へ出たときに手当を受け取れる点が特徴です。
国民年金と厚生年金保険とでは、受け取れる金額や条件などで異なります。
脱退一時金の注意点は以下の点です。
- 外国の通貨で支給される
- 日本で手続きする場合、転出日以降に届くように手配する必要がある
- 受け取れるまでに時間がかかりやすい
脱退一時金を受け取る回数には制限が設けられていない点は押さえておくとよいでしょう。
まとめ
ここまで、失業保険の一時金について詳しく解説してきました。
本記事のまとめは以下の通りです。
- 失業保険の一時金は、短期特例被保険者、高年齢被保険者などの種類に分けられる
- 失業保険の特例一時金を受け取るには、条件や申請方法などを満たす必要がある
- 高齢求職者給付金とは、雇用保険の被保険者のかたが65歳以降で退職したときに受け取れる手当である
- 再就職手当とは、失業保険を受給している状態で再就職を決めた方が対象となる手当である
- 脱退手当金とは旧法の厚生年金保険法で定められている手当のことである
- 脱退一時金とは、外国籍の方が国民年金か厚生年金保険の資格を失い、日本国外へ出たときに受け取れる手当のことである
失業保険の一時金とは、短期特例被保険者が退職したときの生活をサポートするための制度です。
期限が決められていることから、条件を満たす方の場合は早めに手続きをしましょう。
本記事を参考に、失業保険の一時金について理解していただければ幸いです。