「うつ病になって辞めることになったけど、失業保険はもらえるの?」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
また、「うつ病で辞めた場合、普通に辞める時と比べて何か違いはある?」と疑問に感じている方もいるはずです。
結論から言いますと、うつ病でも失業保険はしっかりともらえるほか、理由によっては給付制限がない状態で受け取ることが可能です。
そこで今回は、うつ病で退職した場合の失業保険について、退職サポートのサービスを多く手がけている私が、うつ病を理由に失業保険がもらえるケース・もらえないケースなどを解説します。
これを知れば、万が一うつ病になって退職する場合に、どのような対策を立てればいいかが分かりますよ。
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うつ病で退職しても失業保険はもらえる
うつ病で退職した場合も、条件が合えば失業保険はもらえます。
ここからは受給条件や失業保険がもらえないケースについて解説します。
うつ病と失業保険の受給条件の関係を確認しよう
うつ病でも失業保険が利用できますが、ポイントになるのが失業保険の受給条件です。
- 雇用保険の被保険期間が離職前2年間において12か月あること
- 失業状態にあること
「失業状態」という状況は、今すぐにでも働きたいという意欲と働けるだけの健康的な状況によって成り立ちます。
うつ病と言っても、療養によって回復してくれば働くことはできるので、あとはハローワークに通い、積極的に仕事を探す姿勢さえ見せれば、失業保険はもらえます。
うつ病で失業保険をもらえないケース
うつ病で失業保険がもらえないケースとして考えられるのは以下の2つです。
- 症状が重く、働ける状況にない
- 現時点で傷病手当金を受け取っている
先ほどもご紹介した通り、失業保険は失業状態にないともらえません。
今日からでも働きたい、健康面でも問題がないなどの状況を踏まえて失業状態と認められるため、うつ病の症状がまだ思わしくなくて働けない場合には失業保険はもらえないのです。
もし、失業保険をもらうのであればまずはうつ病の治療に専念し、回復することが求められます。
また傷病手当金を受け取っていると、失業保険と併用させることはできません。
傷病手当金を受け取り終わってから失業保険を受け取ることができます。
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うつ病なら自己都合退職でもすぐに失業保険をもらえる?
うつ病を理由に退職する場合、自己都合退職もしくは会社都合退職という形になりますが、自己都合退職の場合、すぐには失業保険がもらえない場合があります。
本来自己都合退職の場合、給付制限が2か月あり、給付制限が終わるのを待たなければなりません。
しかし、自己都合退職の場合でも失業保険がすぐもらえることがあります。それは特定理由離職者になること。
ここからは失業保険がすぐもらえるケースについて解説します。
会社都合退職なら失業保険をすぐもらえる
うつ病の発症の理由が会社で長時間労働をさせられた場合や上司からのパワハラだった場合、会社側に責任があることから、会社都合退職になります。
会社都合退職となると「特定受給資格者」となるため、一般的な自己都合退職に科せられる給付制限期間がありません。
そのため、7日間の待期期間を過ぎれば失業保険がもらえます。
また会社都合退職であれば、失業保険がもらえる期間が延びるなど自己都合退職で辞める場合よりもプラスの面が多いのです。
特定理由離職者なら失業保険をすぐもらえる
一方、自己都合退職を余儀なくされても、特定理由離職者になることで給付制限がなくなります。
正当な理由があって自己都合退職になった場合、ハローワークが認めることで特定理由離職者の扱いを受けます。
実際にうつ病で辞めざるを得なかった場合、医師の診断書などをハローワークに持参して特定理由離職者の手続きを行いましょう。
この場合でも会社都合退職同様に、給付制限がなくなります。
うつ病のレベルによっては失業保険を300日もらえる可能性がある
うつ病には軽症で済む場合もあれば、中等症・重症になってしまうケースもあります。
中等症・重症のうつ病になると生活にすら著しく支障が出るなど、とても働ける状態にはなりません。
場合によっては半年以上療養を余儀なくされることがありますが、その際、精神障害者保健福祉手帳を取得するなどして、ハローワークに申請した場合、「就職困難者」として扱われます。
就職困難者として失業保険を申請した場合、被保険者期間が1年未満でも150日、1年以上であれば45歳未満が300日、45歳以上65歳未満で360日となります。
そのためには精神障害者保健福祉手帳を取得するか、医師の診断書が必要になるので、かなり時間がかかりそうな場合には精神障害者保健福祉手帳の取得も視野に入れましょう。
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退職前から受給している傷病手当金は退職後ももらえる
傷病手当金はケガや病気で休職する際に、本人や家族の生活を守るために支給されるものです。
支給されるのは、支給開始日から通算1年6か月まで。
退職前からもらっていた傷病手当金は退職後ももらえますが、条件があります。
- 健康保険の被保険者の資格を失った日の前日まで1年以上被保険者だった
- 資格を失う際に傷病手当金の支給を受けていたもしくは受けられる状況だった
退職前からもらっていた人はもちろん、本来受け取る権利があった人も退職後にその権利を行使しても問題ありません。
傷病手当金をもらい切ってから失業保険の申請を行うという形もできます。
うつ病で退職する場合、失業保険と傷病手当金どっちが得?
うつ病で退職する場合に失業保険と傷病手当金、どちらがお得なのか、実際にチェックします。
まずは失業保険です。
- 離職前6か月の給与総額÷180=賃金日額
- 賃金日額×45~80%=基本手当日額
例えば、平均が30万円だった場合、賃金日額はおよそ1万円となり、30歳以上45歳未満の場合、基本手当日額の計算式に当てはめると5,712円になります。
毎月およそ17万円ほどが失業保険として支給されます。
次は傷病手当金です。
- 12か月の各標準報酬月額の平均÷30×3分の2=1日の支給額
例えば、平均が30万円だった場合、30万円÷30×3分の2なので、6,666円となります。
ですので、毎月だいたい20万円が傷病手当金として支給されます。
以上のことからも、傷病手当金の方がお得になりやすいことがわかります。
傷病手当金と失業保険は併給できないので注意しよう
傷病手当金と失業保険は併給ができません。
理由は明白で、傷病手当金は働けないことを理由に支給されるのに対し、失業保険は働ける状況ながら仕事先がない状態だから支給されるからです。
つまり、傷病手当金と失業保険は全く別の関係性にあるので、併給はできません。
うつ病で失業保険をもらったら再就職先にバレる?
過去にうつ病で退職し、失業保険をもらっていた場合に再就職先にバレてしまうかどうかですが、結論から申し上げますと、バレることはありません。
なぜなら、普通に退職した人も失業保険をもらっており、どんな理由で失業保険をもらっているかは再就職先に知られるはずがないからです。
ただし、以前長期の休職で傷病手当金を受け取っていた場合は、傷病手当金が非課税のため、課税所得がかなり抑えられます。
源泉徴収票を提出する際に所得がやたらと少なかった場合に休職していたのでは?と思われる可能性が生じるのです。
とはいえ、あくまでも休職の事実がバレる可能性があるだけでうつ病がバレるわけではありません。
まとめ
今回はうつ病で会社を辞めた際に失業保険をもらうケースなどを解説しました。
今回ご紹介したことを振り返ります。
- うつ病で退職した場合も条件が合えば失業保険はもらえる
- 働く意欲などがないと失業保険はもらえない
- 会社都合退職や特定理由離職者ならば給付制限がない
- 重いうつ病であれば就職困難者となり、最大150日・300日・360日分の失業手当がもらえる
- 傷病手当金は通算1年6か月までもらえ、退職後も受け取れる
- 傷病手当金と失業保険なら傷病手当金の方がお得になりやすい
うつ病になり、会社を辞めることになると家計をどうしていくかという不安が襲い掛かり、療養どころではなくなります。
しかし、傷病手当金や失業保険によって最低限の保障が行われる分、当面の間は安心して治療が行えるのです。
1人での手続きが難しい方は知り合いの方などに手伝ってもらい、しっかりと受け取れるようにしておきましょう。