契約期間が決まっている有期雇用の契約社員は、基本的に契約期間まで働く必要があります。
しかし、様々な理由で契約期間中に退職を希望するケースもあるでしょう。
「契約期間中に自己都合退職できる?」「すぐに退職できるの?」「失業保険はもらえる?」など、色々と疑問に思っていませんか?
結論から言いますと、契約期間内であっても「やむを得ない理由」があれば、自己都合退職ができます。
契約期間が1年を過ぎた時点でいつでも退職の申し出が行え、1年未満の場合でも雇用主の合意があれば退職が可能です。
今回は、有期雇用の契約社員が退職する方法や、失業保険のもらい方について、退職サポート経験10年の私がご紹介していきます。
この記事を読むことで、契約期間中でも円満に退職する方法がわかりますよ。
有期雇用の契約社員は自己都合で退職できる?
基本的に有期雇用の契約社員は、契約期間内に退職することはできないようになっています。
そのため、契約満了のタイミングで転職などを行うことが一般的です。
一方で転職のタイミングがどうしても契約期間内でないといけないケースも出てくるでしょう。
この場合では、「やむを得ない理由がある」として契約期間内であっても自己都合退職が可能です。
やむを得ない理由があれば契約期間内でも自己都合で退職できる
民法628条では、雇用期間の定めがあった場合でも「やむを得ない事由」がある場合には各当事者はただちに契約解除ができるとしています。
この場合の「やむを得ない事由」とは、以下のものが挙げられます。
- 病気で働けない
- 家族などの介護が票になった
- 職場での問題
これらに該当することがある場合には、契約期間内に契約解除を申し出ることが可能です。
契約期間内でも1年を超えて働いた場合すぐに退職できる
有期雇用の契約社員は3年契約などで働いている人もいますが、たとえ契約期間内であっても1年を過ぎた時点でいつでも退職の申し出が行えます。
正社員など無期契約の場合は退職の申し出から2週間後に辞められるというルールがありますが、そのルールもなく、すぐに退職できます。
このルールは労働基準法137条にも書かれており、有期雇用の契約社員にとってはその点が有利です。
3年契約を結んでも1年以上働いていればいつでも辞められることは覚えておいて損はありません。
やむを得ない理由がない・1年未満の労働期間の場合、自己都合退職できない?
やむを得ない理由がある、1年以上働いているなどのケースでは自己都合退職ができます。
逆に、やむを得ない理由がない、1年未満の労働期間である場合は自己都合退職は絶対にできないかといえば、実は自己都合退職は可能です。
雇用主からの合意があれば退職できる
やむを得ない理由がないなどのケースでは、雇用主からの合意があれば自己都合退職は可能となります。
雇用主と労働者側で話し合いを行い、お互いに雇用契約の解約に合意すれば退職できます。
ですので、ウソをついてまでやむを得ない理由を作り出す必要はありません。
あとは、雇用主に納得してもらえるような理由を見つけていくことが大切です。
合意を得られないまま退職すると損害賠償を求められるケースもあるので注意
一方、雇用主との合意が得られず、無理やり退職をした場合、損害賠償を求められる場合があります。
そもそも契約期間中に辞めることは「雇用契約違反」とされるからです。
万が一強引に退職して雇用主側に損害が生じた場合、損害賠償を請求される可能性は十分にあります。
ですので、円満に退職するためにも急に辞めると言い出すのではなく、転職する場合には事前にその可能性を伝えておくなどの布石も必要です。
有期雇用の契約社員が自己都合退職しても失業保険はもらえる?
有期雇用の契約社員が自己都合退職をした場合、失業保険はもらえるのか不安な方も多いでしょう。
結論から言えば、有期雇用の契約社員が自己都合退職しても失業保険はもらえます。
条件を満たせば失業保険をもらえる
基本的に失業保険は、雇用保険の加入条件を満たした働き方をし続ければもらえるようになっています。
失業保険は決して正社員だけの特権ではなく、パート・アルバイトであっても失業保険は受け取れます。
そのためには失業保険の受給条件を満たす必要がありますが、この条件は正社員の場合でも同じです。
つまり、一般的な失業保険の受給条件さえクリアしていれば、たとえ有期雇用の契約社員であっても大丈夫です。
失業保険の受給条件
失業保険の受給条件に付いて以下にまとめました。
- 失業状態にある
- 自己都合退職の場合は退職日以前2年間で12か月間雇用保険の被保険者だった
この場合の失業状態についてもまとめています。
- 心身ともに健康である
- 就職活動を積極的に行っている
- 就職したいという意思がある
これらの条件を満たすことで、失業保険を受け取ることができます。
注意したいのは、自己都合退職の場合は給付制限があり、2か月ないし3か月の間、失業保険が給付されない点です。
長い人では3か月以上無給の可能性があるため、事前に貯金をしておくなどの対策が求められます。
失業保険の手続き方法まとめ!受給条件から必要なものまで解説まとめ
今回は有期雇用の契約社員の自己都合退職に関する話題をご紹介しましたが、最後に今回ご紹介した内容をまとめます。
- 有期雇用の契約社員は自己都合で退職できる
- やむを得ない理由があれば契約期間内でも自己都合で退職できる
- 契約期間内でも1年を超えて働いた場合すぐに退職できる
- やむを得ない理由がなくても雇用主と合意すれば退職できる
- 無理やり退職すると損害賠償請求をされる可能性がある
- 有期雇用の契約社員であっても自己都合退職で失業保険はもらえる
契約社員としての働き方は今後も増えることが予想されます。
一方で、より好条件の職場で働こうとする人も増える可能性があり、その場合に契約期間内で退職する判断をしても当然と言えます。
そんな時にできるだけ雇用主と揉めないように円満退職を目指すようにしましょう。
自分にとって働きやすい環境を追い求めることは大事ですが、できるだけルールに則った形が理想的です。