
共済組合の傷病手当金って、公務員でも本当にもらえるの?

このまま休職が続いたら、退職後に手当がもらえなくなりそうで不安…
本記事では上記の疑問やお悩みなどにお応えします。
- 共済組合の傷病手当金が公務員でも支給されるかどうかの結論
- 病気休暇から傷病手当金に至るまでの流れ
- 支給額の計算方法と支給期間の考え方
- 退職後も継続して受け取れる条件
- 共済組合独自の付加給付や誤解されがちなケース
- 退職前から相談OK
- 社労士が退職〜受給開始までの流れを整理
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共済組合の傷病手当金とは?公務員も対象になる制度の仕組み
結論から言うと、公務員が加入する共済組合にも傷病手当金という制度が用意されており、条件を満たせば給与に代わる手当を受け取れる可能性があります。
「傷病手当金」と聞くと、会社員が加入する協会けんぽや組合健保のイメージが強いかもしれません。しかし、国家公務員・地方公務員・私立学校の教職員が加入する共済組合にも、同様の仕組みが定められています。
共済組合の傷病手当金は、業務上・通勤災害によらない病気やけがのために療養が必要になり、労務に服することができず、その間の報酬が減額または無給となった場合に支給される制度です。
公務員は民間の雇用保険(失業保険)の被保険者にはならないため、「病気で働けなくなったときの支えがない」と誤解されがちです。しかし、共済組合の短期給付には傷病手当金が組み込まれており、療養中の生活を支える役割を担っています。
制度の根拠は地方公務員等共済組合法などに定められており、支給要件や支給額の考え方は健康保険法の規定を準用する形で整理されています。そのため、会社員向けの傷病手当金と大枠の仕組みは共通しています。
傷病手当金の支給要件(業務外の病気・けが)
支給要件としてまず押さえておきたいのは、「業務上・通勤災害によらない」病気やけがであることです。仕事中や通勤中の事故によるけがは公務災害の対象となるため、傷病手当金とは別の制度で扱われます。
そのうえで、療養のために働くことができず、その間の給与が減額または無給になっていることが条件です。給与が全額支給されている期間は、傷病手当金の対象にはなりません。
病気やけがの種類そのものに制限はなく、身体的な病気だけでなく精神的な不調による療養であっても、業務外の原因であれば支給要件を満たし得ると考えられています。
協会けんぽ・組合健保との支給元の違い
会社員の場合、傷病手当金は加入している協会けんぽや健康保険組合から支給されます。一方、公務員の場合は勤務先の共済組合(国家公務員共済組合、地方公務員共済組合、私立学校教職員共済など)が支給元となります。
支給元が違うだけで、療養のために働けなくなったときの生活を支える役割そのものは共通していると考えてよいでしょう。窓口が「ハローワーク」ではなく「共済組合」になる点をまず押さえておくと、制度全体が理解しやすくなります。

公務員でも傷病手当金はもらえる?支給される条件
結論として、公務員であっても共済組合に加入していれば、業務外の病気やけがで働けなくなった場合に傷病手当金を受け取れる可能性があります。「公務員だから傷病手当金はない」という認識は誤解です。
国家公務員・地方公務員・私立学校教職員で異なる共済組合
公務員が加入する共済組合には、国家公務員が加入する国家公務員共済組合、地方公務員が加入する地方公務員共済組合、私立学校の教職員が加入する私立学校教職員共済(私学共済)などがあります。
さらに地方公務員共済組合の中にも、都道府県や市町村の職員が加入する地方職員共済組合、公立学校の教職員が加入する公立学校共済組合、警察職員が加入する警察共済組合など、職種ごとに複数の組合・支部が存在します。
いずれの共済組合も、傷病手当金の基本的な支給要件や支給額の考え方は健康保険法の規定に準じています。ただし、付加給付の有無や金額など、共済組合ごとに独自の上乗せ制度が設けられている場合があり、この点は加入する共済組合によって異なる可能性があります。
自分がどの共済組合に加入しているかは、共済組合員証や給与明細、所属先の共済担当窓口で確認できます。傷病手当金について相談する際は、まずこの加入先を確認しておくとスムーズです。
共通する基本的な支給要件
共済組合の種類にかかわらず、傷病手当金を受け取るためには次の条件を満たす必要があります。
- 業務上・通勤災害によらない病気やけがで療養していること
- 療養のため、労務に服することができない状態であること
- 働けない期間について、給与が減額または無給となっていること
- 待期期間(連続する3日間)を満たしていること
これらの条件は、会社員が加入する健康保険の傷病手当金とほぼ共通しています。「公務員は特別だから条件が厳しい」というわけではなく、基本的な枠組みは同じだと理解しておくとよいでしょう。

病気休暇から傷病手当金までの流れ(タイムライン)
結論として、公務員が病気やけがで働けなくなった場合、多くのケースでまず病気休暇、次に分限休職という段階を経て、給与が減額・無給になった時点から傷病手当金の対象になるという流れをたどります。
ただし、休暇・休職の名称や運用、給与の支給割合は任命権者や共済組合によって異なる場合があるため、あくまで一般的な流れとして理解しておくとよいでしょう。

病気休暇の間は給与が支給されるケースが多く、この期間は傷病手当金の対象外です。休暇取得後もなお療養が必要な場合は、分限休職などの手続きに移行することがあります。
分限休職は、心身の故障のために長期の療養を要する場合などに、任命権者の判断で命じられる制度です。休職中の給与の取り扱いは任命権者や共済組合によって定められており、期間の経過とともに支給割合が変わることもあるとされています。
分限休職に入り、給与が減額または無給となった段階で、はじめて傷病手当金の支給要件を検討することになります。給与が全く支給されなくなってから申請すればよいわけではなく、減額された時点から対象になり得る点には注意が必要です。
待期期間(3日間)の考え方
傷病手当金には待期期間があり、労務不能となった日から連続する3日間は支給対象外とされています。待期が完成したあと、4日目以降の労務不能日から支給対象となります。
待期期間の3日間には、有給休暇や土日などの公休日を含めてもよいとされています。療養のために働けなかった日であれば、給与の支給有無にかかわらずカウントされる点を押さえておきましょう。
なお、待期期間が完成する前に一度出勤した場合は、その時点で待期のカウントがリセットされ、あらためて連続する3日間の労務不能が必要になるとされています。療養のスケジュールを考えるうえでも意識しておきたいポイントです。
傷病手当金の支給額はいくら?計算方法の目安
結論として、傷病手当金の支給額(日額)は支給開始日以前12か月間の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額の、3分の2に相当する金額が基本となります。

支給額の計算方法
この計算方法は健康保険法第99条の規定に基づくもので、共済組合の傷病手当金についても準用されています。標準報酬月額とは、給与などをもとに区分された金額のことで、共済組合員であれば毎月の給与明細などで確認できます。
実際に支給される金額は、この計算式で算出した日額に、療養のため働けなかった日数(待期期間を除く)を掛け合わせて求められます。すでに一部の給与が支給されている場合は、その分が調整されることがあります。
たとえば、支給開始日以前12か月間の標準報酬月額の平均が30万円だったケースで考えてみます。30万円を30で割ると1万円となり、その3分の2にあたる約6,667円が日額の目安です。あくまで計算方法を確認するための一例であり、実際の金額は標準報酬月額によって変わります。
私学共済の付加金を含めた総支給水準の目安
私立学校教職員共済(私学共済)には、法定の傷病手当金に上乗せする独自の付加給付が設けられています。私学共済の資料によれば、付加金を含めた総支給水準は、標準報酬日額の8割相当額に休業期間の実日数(土日を除く)を乗じ、学校等から支払われた報酬を差し引いた額が目安とされています。
国家公務員共済組合や地方公務員共済組合においても、独自の付加給付が設けられている場合がありますが、金額や支給期間は共済組合ごとに異なる可能性があるため、加入している共済組合へ個別に確認することをおすすめします。

支給期間はどのくらい?1年6か月の考え方
結論として、傷病手当金の支給期間は同一の傷病について、支給を始めた日から通算して1年6か月が上限です。
同一傷病で通算1年6か月
この1年6か月は、支給が始まった日を起点に暦の上で数える「通算」の考え方です。途中で職場復帰した期間があっても、再び同じ傷病で働けなくなった場合は、残りの期間内であれば支給対象になり得ます。
一方で、まったく別の傷病で新たに療養が必要になった場合は、その傷病について新たに待期期間から数え直すことになるとされています。同じ傷病かどうかの判断に迷う場合は、共済組合に確認するとよいでしょう。
傷病の種類によって取扱いが異なる場合
傷病の種類や制度改正の内容によっては、支給期間の取扱いが異なる場合があるとされています。正確な取扱いは、加入している共済組合の窓口や規程で確認することが大切です。
ポイント
支給期間の起点は「働けなくなった日」ではなく「実際に傷病手当金の支給が始まった日」です。待期期間中は支給期間のカウントに含まれません。
退職後も傷病手当金はもらえる?継続給付の条件
結論として、一定の条件を満たせば、退職後(共済組合の資格を失ったあと)も傷病手当金を引き続き受け取れる場合があります。
継続給付を受けられる条件
- 退職の日まで引き続き1年以上、共済組合の組合員であったこと
- 退職時点で、すでに傷病手当金の支給を受けていたこと
この2つの条件を満たしている場合、資格喪失後も引き続き傷病手当金を受け取ることができるとされています。逆に、退職時点でまだ傷病手当金を受給していなかった場合は、退職後にあらためて請求することはできません。
たとえば、休職中に傷病手当金を受け取りながら退職を決めた場合は継続給付の対象になり得ますが、休職には入っていたものの傷病手当金の請求自体をまだしていなかった場合は、退職後に新たに請求することは基本的にできないと考えられます。
注意しておきたいポイント
注意
退職を検討している場合は、退職日をまたぐタイミングで傷病手当金の受給状況がどうなっているかによって、その後受け取れるかどうかが変わる可能性があります。退職前に共済組合へ確認しておくと安心です。
退職後は雇用保険の失業保険(基本手当)を受け取れないケースもあるため、退職のタイミングや生活設計について不安がある場合は、あわせて確認しておくとよいでしょう。傷病手当金の継続給付が終わったあとの生活費についても、早めに見通しを立てておくことが大切です。

共済組合独自の付加給付と請求手続きの流れ
結論として、共済組合の傷病手当金には法定の給付に上乗せする「付加給付」が設けられている場合があり、加入する共済組合によって内容が異なります。
私学共済の傷病手当金付加金
私学共済では、法定の支給期間(1年6か月)が満了したあとも、在職中であればさらに最長6か月間、傷病手当金付加金が支給される制度が設けられています。
国家公務員・地方公務員共済組合の付加給付は要確認
国家公務員共済組合連合会や地方の共済組合が独自に定める付加給付についても、制度が設けられている場合がありますが、金額や支給期間は共済組合や支部ごとに異なる可能性があります。正確な内容は、加入している共済組合の窓口や規程を直接確認することをおすすめします。
申請方法・必要書類の流れ
傷病手当金の請求にあたっては、共済組合所定の請求書に、療養の内容について医師の証明を受ける欄があるのが一般的です。あわせて、勤務先(所属所)が給与の支給状況を証明する欄に記入する形が多いとされています。
- 共済組合または所属所の担当窓口で請求書を入手する
- 医師に療養状況の証明を依頼する
- 所属所に給与の支給状況を証明してもらう
- 必要書類をそろえて共済組合へ提出する
請求は1回でまとめて行うのではなく、療養が長期にわたる場合は一定期間ごとに区切って請求する運用になっていることが多いとされています。診断書などの証明書類の発行には、自己負担が生じる場合もあるため、あらかじめ確認しておくと安心です。
申請できる期間や添付書類の詳細は共済組合ごとに定められているため、実際に申請する際は所属先の共済組合担当窓口に確認しながら進めることをおすすめします。
「公務員は傷病手当金をもらえない」と誤解されがちなケース
結論として、次のようなケースは「公務員だから対象外」と誤解されがちですが、条件を満たせば傷病手当金の対象になる可能性があります。
①公務員は傷病手当金がないと思われているケース
「傷病手当金は会社員だけの制度」というイメージから、公務員には制度自体がないと思い込んでいる人も少なくありません。しかし、これまで見てきたとおり、共済組合にも同様の制度が用意されています。
②メンタル疾患は対象外だと思われているケース
うつ病などのメンタル疾患は、業務上・通勤災害によるものでない限り、他の病気やけがと同じように傷病手当金の対象になり得ます。医師の診断のもとで療養のため働けない状態であることが確認できれば、申請自体は可能とされています。
ただし、公務災害(公務上の疾病)と認定される場合は取扱いが異なるため、原因が業務にあるかどうかは個別に判断されます。
③副業・アルバイトをしていると受けられないと思われているケース
療養中に軽微な副業収入があるからといって、一律に傷病手当金が受けられなくなるわけではないとされています。ただし、実質的に労務に服していると判断されるような就労がある場合は、支給の可否に影響する可能性があります。個別の状況については、共済組合に確認することをおすすめします。
④退職したら必ずもらえなくなると思われているケース
退職すると傷病手当金がすべて打ち切られると考えている人も多いですが、これも正確ではありません。前述のとおり、退職時点で条件を満たしていれば、資格喪失後も継続して傷病手当金を受け取れる場合があります。

よくある質問
- 傷病手当金と雇用保険の失業保険(基本手当)は同時に受け取れますか?
- 傷病手当金は「働けない状態」を前提とした給付で、失業保険(基本手当)は「働ける状態にあるが仕事に就いていない」ことを前提とした給付です。
そのため、同じ期間について両方を同時に受け取ることは基本的にできないとされています。傷病手当金の受給が終わり、働ける状態になってから失業保険の受給を検討するという順序になるのが一般的です。
- 傷病手当金の支給日数に土日や祝日は含まれますか?
- 傷病手当金は暦日で数えるため、療養のため働けなかった日であれば、土日や祝日であっても支給の対象になり得るとされています。
待期期間の3日間についても同様に、公休日を含めてカウントされます。
- メンタル疾患(うつ病など)でも傷病手当金は受け取れますか?
- 業務上・通勤災害によるものでない限り、うつ病などのメンタル疾患も他の病気やけがと同じように傷病手当金の対象になり得るとされています。
医師の診断のもとで療養のため働けない状態であることが確認できれば、申請自体は可能です。
- 療養中に副業やアルバイトをしていると傷病手当金はもらえなくなりますか?
- 副業収入があるからといって、一律に傷病手当金が受けられなくなるわけではないとされています。
ただし、実質的に労務に服していると判断されるような就労がある場合は、支給の可否に影響する可能性があるため、心配な場合は共済組合に確認することをおすすめします。
- 支給期間の1年6か月を使い切った場合、その後の生活費はどうなりますか?
- 私学共済など一部の共済組合では、法定の支給期間が終わったあとも在職中であれば付加金が支給される場合があります。
ただし共済組合ごとに制度内容が異なるため、まずは加入している共済組合に確認し、必要に応じて他の制度もあわせて検討するとよいでしょう。
まとめ
共済組合の傷病手当金は、国家公務員・地方公務員・私立学校教職員が加入する共済組合にも用意されている制度で、業務外の病気やけがで働けなくなり、給与が減額・無給になった場合に支給されます。
支給額は標準報酬月額の平均額をもとに計算され、支給期間は同一傷病について通算1年6か月が上限です。退職後も一定の条件を満たせば継続給付を受けられる場合があり、私学共済など共済組合によっては独自の付加給付が設けられていることもあります。
「公務員だから傷病手当金はもらえない」というのは誤解であり、条件を満たせば受給できる可能性は十分にあります。制度の詳細や自分のケースに当てはまるかどうかは、加入している共済組合の窓口で確認しながら進めることをおすすめします。
傷病手当金や退職後に受け取れる制度は状況によって変わります。自分の場合はどうなりそうか、LINEの無料診断で目安を確認してみてはいかがでしょうか。


