ストレスがかかることで発症する適応障害は、悪化するとうつ病などを招きかねないため、適切な治療が求められます。
「適応障害で休職したいけれど、傷病手当はもらえるのだろうか?」と不安になっている方もいるのではないでしょうか。
結論から言いますと、適応障害で傷病手当金はもらえますが、特定の理由に該当するともらえないので注意が必要です。
本記事では、適応障害と傷病手当金に関する話題を中心に解説します。
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退職サポーターズ編集部
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適応障害の休職で傷病手当がもらえない5つの理由
適応障害になってしまい、治療に専念するために休職を選んだものの、傷病手当がもらえないケースがあります。
- 会社から給料の支払いがある
- 支給期間が終わっている
- 休業補償給付が支払われている
- 国民健康保険に加入している
- 障害厚生年金や障害手当金を受け取っている
本項目では、適応障害になったにもかかわらず、傷病手当がもらえない理由についてまとめました。
会社から給料の支払いがある
会社から給料の支払いがある場合には、傷病手当金をもらうことはできません。
傷病手当金には受給条件が4つあり、その1つに「休業した期間について給与の支払いがないこと」という条件があります。
つまり、休業期間中に給与の支払いがあると、原則的に傷病手当金は支給されません。
ただし、給与の支払いが少額で、傷病手当金の支給額より少ない場合には差額分が支給されます。
支給期間が終わっている
傷病手当金には支給期間が定められており、支給期間が終わってしまうと受け取れなくなります。
傷病手当金は支給開始日から通算1年6か月までが対象のため、通算1年6か月を過ぎると、支給期間が終わります。
たとえ治療が続いていても、支給期間が終われば1円も受け取れなくなるため、注意が必要です。
休業補償給付が支払われている
休業補償給付が支払われている場合も、傷病手当金の対象外となります。
休業補償給付は、業務上もしくは通勤中の出来事が原因で発症した場合に支給されるものです。
上司や同僚からのセクハラやパワハラなどが原因で適応障害になった場合には、休業補償給付の対象となります。
休業補償給付がある時点で傷病手当金と同じような役割は果たされています。
国民健康保険に加入している
傷病手当金は会社員が加入する協会けんぽなどの会員を対象としたものであり、自治体が運営する国民健康保険は対象外です。
フリーランスや個人事業主は原則的に国民健康保険に加入しなければなりません。
そのため、国民健康保険加入者のフリーランスや個人事業主が仮に適応障害になっても、傷病手当金は受け取れないのです。
障害厚生年金や障害手当金を受け取っている
障害厚生年金もしくは障害手当金の受給対象に該当し、受給している場合には傷病手当金はもらえません。
障害年金の認定を受ける際、神経症は認定の対象とならないとされており、適応障害も神経症に該当するためです。
障害厚生年金もしくは障害手当金を受け取っている状態では、傷病手当金をセットで受け取れなくなるのです。

適応障害で傷病手当を申請する方法

適応障害となった方が、休職して傷病手当金を受け取るには、申請が必須となります。
本項目では、傷病手当金の申請で必要となる書類や、会社・個人で申請するケースについてまとめました。
必要となる3つの書類
傷病手当金を申請する際に必要となる3つの書類は以下のとおりです。
- 健康保険傷病手当金支給申請書
- 診断書
- 添付書類
傷病手当金の申請を行う際には、原則として健康保険傷病手当金支給申請書1枚で大丈夫です。
ただし、休職するにあたり会社側に休職を伝える際に診断書があるとスムーズです。
また、支給開始日以前1年以内に事業所の変更があった場合などは添付書類が必要となります。
支給開始日以前1年以内に事業所の変更があった際には、以前の事業所に関する書類が必要です。
会社が申請するケース
会社側が申請する場合は、まず申請書を従業員に送付し、被保険者本人が記入する項目や医師が記入する項目を埋めた上で返送してもらいます。
会社側は事業主が記入する項目を埋めてから、申請を行うという流れです。
申請書自体は協会けんぽのホームページなどから印刷できるため、従業員に印刷してもらって記入してから会社に送ってもらう手もあります。
個人で申請するケース
会社側が手続きの煩雑さを理由に、申請を個人に丸投げしてしまうケースがあります。
個人で申請する場合には、まず申請書をダウンロードし、本人や医師が記入すべき項目を埋めていきます。
事業主が埋めるべき項目に関しては、一旦会社側に送付して記入してもらうようにしましょう。
すべての項目を埋めてから、申請を行えば傷病手当金を受け取れるようになります。
適応障害の傷病手当金の支給額と支給期間

適応障害になった方が傷病手当金を受け取る際には、事前に支給額を知っておくことが大切です。
支給額=毎月の収入となるため、支給額を把握してやり繰りをすることが求められます。
本項目では、傷病手当金の支給額や支給期間についてまとめました。
実際の支給額について
傷病手当金の支給額は以下の計算式によって成り立ちます。
- 支給開始日前の直近12か月間の標準報酬月額の平均 ÷ 30 × 2/3=1日あたりの支給額
例えば、標準報酬月額が30万円であれば、300,000円÷30×2/3となるため、1日あたりの支給額は6,667円となります。
1カ月を30日とした場合、200,010円が支給されることになります。
つまり、毎月の給与の3分の2程度を傷病手当金として受け取れるのです。
傷病手当金の支給額が調整されるケース
傷病手当金の支給額が調整されるケースとして以下のことが挙げられます。
- 会社から給与の一部が支給されている
- 休業補償給付で受け取れる金額が傷病手当金より低い場合
- 障害厚生年金の日額が傷病手当金の日額より低い場合など
例えば、標準報酬月額30万円の人が、会社から給与の一部として5万円支給された場合、本来の傷病手当金の支給額である約20万円から、支給された金額5万円を差し引き、15万円を傷病手当金として受け取ることになります。
請求権が消滅する(時効)について
傷病手当金には請求権に関して時効が設定されています。
時効は支給を受けることができる日から2年と定められており、2年を過ぎるともらえなくなってしまうのです。
そのため、請求権があるうちに傷病手当金の申請を行う必要があります。

適応障害の傷病手当金の受給条件

適応障害になった人が傷病手当金を受け取るには、以下の条件をすべてクリアしなければなりません。
- 業務外の理由による病気やケガの休養である
- 仕事に就くことができない
- 連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかった
- 休業した期間についての給与の支払いがない
本項目では、傷病手当金の受給条件について解説します。
業務外の理由による病気やケガの休養である
傷病手当金は、業務外の理由による病気やケガの休養が条件となります。
ちなみに、業務上もしくは通勤時によって生じた病気やケガに関しては、労災保険で扱われます。
仕事に就くことができない
仕事に就くことができないことも、傷病手当金の受給条件です。
一方で、リハビリ的に軽く仕事を行う行為は仕事ができると判断され、場合によっては打ち切られる恐れがあります。
リハビリとして軽い仕事をする場合は、賃金が支払われていないことや医師の指示によるものなど、複数の要件を満たさなければならず、事前の相談が必須です。
連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかった
休職してからすぐに傷病手当金の対象にはならず、待期期間として3日間経過してからカウントが始まります。
そのため、インフルエンザや新型コロナウイルスなど1週間程度の療養であっても、傷病手当金の対象となります。
裏を返すと、1日出勤してしまうと、再び3日間待期期間を過ごさないといけないため、注意が必要です。
休業した期間についての給与の支払いがない
休業期間中は給与の支払いがないことが大前提となります。
仮に給与の一部が支給された場合には、傷病手当金の調整が行われ、一部減額される仕組みです。
適応障害による休職期間中の過ごし方

適応障害で休職している方にとって、その過ごし方がとても大切です。
本項目では、休職期間中の過ごし方についてまとめました。
会社へは必要な連絡を行う
休職している最中も、定期的に会社と連絡を行う必要があります。
頻度に関しては月1回が理想的ですが、連絡の頻度について前もって会社と決めておくのが確実です。
一方、会社との連絡もストレスになる恐れがあるため、無理に頻度を上げる必要はありません。
医師と相談した上で調整するようにしましょう。
治療に専念する
適応障害は、強いストレスがかかることが原因となるため、まずはストレスの根源を断ち切ることが重要となります。
まずは治療に専念し、仕事のことは考えず、徹底して休養を取ることが必要です。
焦りは禁物であり、復帰を急げば復帰後に再発する可能性があるため、まずは完治を目指して治療に専念しましょう。
まとめ
今回は適応障害で傷病手当がもらえない理由などを解説してきました。
最後に今回ご紹介した内容を振り返っていきます。
- 適応障害の給食で傷病手当がもらえないケースとして、会社から給料の一部を受け取っていることなどが想定できる
- 傷病手当を申請するには申請書の提出が必要
- 傷病手当金の受給条件さえ満たせば適応障害でも受け取れる
適応障害になった方でも、条件さえ満たせば傷病手当金を受け取れます。
通算1年6か月までは受け取り続けられるため、まずは完治を目指して治療に専念しましょう。
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今ならLINE追加するだけで、自分がいくら受給金額がもらえるのか無料診断ができます。
