「1月の退職は損にならないか心配…」と不安になる方も多いのではないでしょうか。
1月は年末調整や社会保険料の扱いなど、手続きの面で気をつけたいポイントが増える時期です。
一方で、タイミングを押さえれば金銭面の不安を減らしつつ転職活動も進めやすくなります。
本記事では、1月退職のメリット・デメリット、社会保険や住民税の注意点、円満退社のコツまで詳しく解説します。
1月退職を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
1月末退職のデメリット
1月末の退職は年度替わりの手続きが重なるため、意外と注意点が多い時期です。
ここでは、1月に退職する場合のデメリットを3つ紹介します。
- ボーナスが減額される
- 年末年始は忙しい
- 転職の倍率が高い
ボーナスが減額される
1月末に退職するとボーナスが減額される可能性があります。
多くの企業は、賞与の算定に「評価期間への在籍」や「支給時点の雇用状態」を基準としているためです。
評価期間の途中で退職を申し出た場合、勤務日数が短くなることで評価が下がり、支給額が調整されるケースがあります。
また、支給日より前に退職日が設定されていると、そもそも賞与の対象外になることもあります。
とくに冬の賞与は前年の働きぶりを反映する企業が多く、1月退職のタイミングが不利になる場合もあります。
損を避けたい場合は、自社の就業規則で「賞与の算定基準日」や「支給条件」を確認し、退職日の設定を慎重に進めましょう。
年末年始は忙しい
1月末退職は、年末年始の負担が増えやすい点がデメリットです。
退職の1か月前は引き継ぎ作業が本格化し、担当業務の整理やマニュアル作成に時間を取られます。
とくに、後任者への説明事項が多い職種では、休暇中でも業務の段取りを考える状況になりがちです。
さらに、単身赴任の場合は住まいの解約や荷物整理などの準備も重なります。
ゆっくり過ごしたい年末年始が慌ただしくなる点は、1月末退職を選ぶ際に注意したいポイントです。
転職の倍率が高い
1月末退職は、転職活動の競争が激しくなる可能性があります。
年明けは12月末退職者が一斉に動き始める時期で、市場には求職者が増えます。
そのうえ、年度末の退職を見据えて準備を始める人も1月から動くため、応募者が集中しやすくなります。
たとえば、事務職や企画職のように人気の高い職種では、書類選考の通過率が下がる可能性があります。
また、募集枠が限られる中途採用では、応募タイミングが遅れるほど不利になりやすい状況です。
スムーズに転職したい場合は、在職中から求人の確認や面接の準備を進め、採用枠が広がる時期を逃さないようにしましょう。

損得を分ける「退職日」の選び方
退職日をいつにするかは、社会保険料の負担や賞与の扱いに関わるため、とても大切なポイントです。
ここでは、月末に辞める場合と月の途中で辞める場合の違いをはじめ、賞与に影響しやすい時期などを解説します。
社会保険料の「損」を防ぐ退職日
社会保険料は「どの日に退職するか」で負担額が変わるため、退職日の決め方が重要になります。
月末退職と月中退職でどのように支払いが変わるのかを整理し、無駄な負担を避けるための基本を紹介します。
退職後の家計を守るためにも知っておきたいポイントです。
月末退職
月末退職は社会保険料の負担が一時的に大きくなる可能性があります。
理由は、退職日の翌日に資格を失うため、退職した月の保険料まで会社での加入扱いとなるためです。
たとえば、1月31日に退職すると資格喪失日は2月1日となり、1月分の保険料も支払い対象になります。
さらに、会社の給与締め日によっては1月分の保険料を差し引く給与がなく、12月分の給与から1月分の保険料をまとめて控除されるケースもあります。
この場合、12月分の手取りが減るため、生活費に影響が出やすくなります。
月末退職を選ぶ際は、給与の締め日と控除のタイミングを確認し、家計の余裕を確保することが大切です。
月末以外
月末以外で退職すると、社会保険料の負担を抑えられる可能性があります。
理由は、資格喪失日が退職日の翌日となり、その日が月内であれば「資格喪失月」として保険料がかからないためです。
たとえば、1月30日に退職すると資格喪失日は1月31日になり、1月は「資格を失った月」として扱われます。
この場合、その月の保険料はかからず、普段どおり1か月分の負担だけで済みます。
一方、1月31日に退職した場合は翌日の2月1日が資格喪失日となり、1月分の保険料が追加で必要になります。
たった1日の違いでも手取り額に差が出るため、家計への影響を少なくしたい方は退職日を月末より少し前に設定する方法も検討しましょう。
引き継ぎの状況とあわせて、自分に合うタイミングを選ぶことが大切です。
ボーナス(賞与)を減額されないためのタイミング
賞与の減額を避けるには、ボーナス支給後に退職予定を伝える方法が有効です。
多くの企業では、支給日に在籍していることを条件とするため、支給日前の申し出は不利益につながる可能性があります。
理由は、賞与が「過去の実績」と「将来への期待」の両方を含む評価で成り立っているためです。
退職が決まった社員は将来の貢献が見込めないため、評価が下がりやすい傾向があります。
対策としては、まず就業規則で支給要件を確認し、在籍要件や減額規定の有無を把握しましょう。
支給後すぐに退職を申し出る場合は、引き継ぎを丁寧に行い、円滑に離職できる状態を整えておくと安心です。
万が一、規定を満たしているにもかかわらず賞与が不当に減額された場合は、直属の上司や労働組合、労働局へ相談する選択肢もあります。
賞与は会社ごとの取り扱いが大きく異なるため、事前の確認と慎重なタイミング選びが欠かせません。
1月退職後の重要な手続き
1月に退職した後は、税金や社会保険の手続きが続くため、早めに流れを把握しておくことが大切です。
ここでは、年末調整の扱い、住民税の支払い方法、健康保険や年金の切り替えなど、退職後に必要となる基本の手続きを解説します。
- 年末調整の扱いと源泉徴収票
- 住民税の支払い
- 健康保険・年金の切り替え
年末調整の扱いと源泉徴収票
1月に退職した場合は、源泉徴収票を確実に受け取ることがとても重要です。
源泉徴収票がないと、年末調整や確定申告で必要な情報が揃わず、手続きが進みません。
源泉徴収票は退職後1か月以内に会社が発行する義務を持ち、給与や賞与の総額、源泉徴収された所得税などが記載されます。
退職金を受け取った場合は、別の「退職所得の源泉徴収票」も発行されます。
また、1月退職では前職で年末調整が行われないため、再就職先に前職分の源泉徴収票を提出する必要があります。
年内に再就職しない場合は、自分で確定申告を行う流れになります。
郵送で届くことが多いため、受け取り漏れが起きないよう住所も確認しておきましょう。
住民税の支払い
住民税は「退職日」で納付方法が変わるため、どの時期に退職するかで負担が大きく変わります。
流れを事前に把握しておくことで、思わぬ出費を避けましょう。
退職日ごとの住民税の取り扱いは、以下のとおりです。
| 退職日 | 納付方法 | 説明 |
| 1月1日〜4月30日 | 一括徴収+不足分は普通徴収 | 翌月〜5月分をまとめて控除。給与や退職金で足りない場合は普通徴収に切替。 |
| 5月1日〜5月31日 | 特別徴収(最終給与で対応) | 残りが1か月分のため、最後の給与から天引き可能。会社に確認が必要。 |
| 6月1日〜12月31日 | 特別徴収(退職月分)+普通徴収(残り) | 退職月の分は給与から控除。残りは普通徴収で納付。金額が大きくなる場合あり。 |
6月〜12月退職では、翌年5月までの住民税が普通徴収となり、負担が大きく感じることがあります。
支払い方法やタイミングは早めに確認しておくと安心です。
健康保険・年金の切り替え
1月に退職すると、健康保険と年金の切り替えを早めに進める必要があります。
退職日で会社の社会保険の資格を失うため、そのまま放置すると未加入期間が生じます。
転職先がすぐに決まっている場合は、入社日に新しい健康保険と厚生年金へ自動で加入する流れになり、個別の手続きは不要です。
一方、転職まで期間が空く場合は「任意継続」か「国民健康保険」を選び、保険料や負担額を比べて加入先を決めます。
年金は市区町村で国民年金への切り替えが必要です。
手続きを後回しにすると将来の受給額に影響するため、退職後は早めの確認が欠かせません。

円満退社のための退職交渉と引き継ぎ
1月に退職するなら、できるだけお互いが気持ちよく進められるよう、伝え方や引き継ぎの準備を早めに整えておくことが大切です。
ここでは、年末年始のスケジュールを踏まえた声のかけ方や、休暇中でも無理なく進められる引き継ぎのポイントを紹介します。
年末年始を挟む退職の伝え方
1月に退職する場合は、年末年始を挟む時期ならではの伝え方を意識することが大切です。
休暇前に申し出ておくと、後任の調整や業務整理が進めやすくなり、職場への負担も軽くなります。
とくに12月上旬〜中旬に伝えると、準備期間を確保しやすいでしょう。
- 12月上旬に上司へ面談を依頼する
- 業務の繁忙度が落ち着く時間帯に相談する
- 退職理由は簡潔に、事実と感謝を添えて伝える
- 引き継ぎの見通しを大まかに説明する
- 書面での申し出も併せて準備する
年明けに伝えると準備期間が短くなるため、円滑な退職を望む場合は早めの行動が安心です。
丁寧な伝え方は、退職後の関係にも良い影響を残します。
休暇中の引き継ぎ準備
休暇中でも引き継ぎの準備を少し進めておくと、1月退職を落ち着いて迎えられます。
休暇前に業務を整理し、最低限の情報をまとめておくことで、年明けの引き継ぎがスムーズになります。
- 担当業務の流れを簡潔にまとめたメモを作成する
- ファイルや資料の保存場所を一覧で整理する
- 進行中の案件を「現状・対応済み・今後の予定」に区分する
- 注意点や引き継ぎ時に説明が必要な部分を書き出す
- 代理対応が必要な作業は期限と連絡先を明記する
これらを整えておくと、後任が迷いにくくなり、引き継ぎ漏れの防止にもつながります。
休暇を安心して過ごすためにも、少し早めに準備を進めましょう。
おすすめの退職タイミング
退職のタイミングは、働き方や転職活動の計画によって適した時期が変わります。
ここでは、退職タイミングを考える際のポイントを3つ紹介します。
- 繁忙期を避ける
- 求人数が多い時期
- ボーナスを受け取った後
繁忙期を避ける
繁忙期を避けて退職の時期を選ぶと、お互いに無理のない形で職場を離れやすくなります。
仕事が立て込みやすい時期に辞めてしまうと、引き継ぎが進みにくかったり、後任の調整が難しくなったりするため、思った以上に負担が大きくなります。
たとえば、決算前や年度末のように業務が一気に増える時期は、上司との相談時間をつくるのも難しくなりがちです。
忙しくなる前の落ち着いた時期を選べば、引き継ぎの準備もしやすく、職場とのやり取りもスムーズに進みます。
周囲に迷惑をかけず、自分も安心して退職したい場合は、繁忙期を避けたタイミングを意識すると良いでしょう。
求人数が多い時期
求人数が増える時期に合わせて退職のタイミングを考えると、転職活動を進めやすくなります。
企業の採用が活発になる時期は選べる求人が増え、自分に合う働き方を探しやすくなるためです。
4月入社に向けた動きが本格化する1月〜3月や、下半期の採用が増える9月〜10月は、多くの企業が新しい人材を募集します。
この時期に転職活動を行うと、面接のチャンスが広がります。
無理なく次の職場を選びたい場合は、求人が増えるタイミングを意識して退職時期を調整しましょう。
ボーナスを受け取った後
ボーナスを受け取った後の退職は、手取りを減らさないための有効な方法です。
多くの企業では「支給日に在籍していること」が支給条件になっているため、支給前に退職の意向が伝わると減額の対象になってしまいます。
とくに冬のボーナスは、過去の働きぶりだけでなく「これからの期待度」も含めて評価されることがあります。
早い段階で退職予定が知られると評価に影響しやすいため、支給後に申し出る方が安心です。
たとえば、12月にボーナスが支給される職場なら、受け取り後の1月上旬に相談するとよいでしょう。
退職理由は簡潔にまとめ、引き継ぎの段取りを示すことで職場とのやり取りもスムーズになります。
ボーナスを確実に受け取るためにも、自社の支給日を確認しつつ、無理のないタイミングで動くことが大切です。
1月退職でよくある質問は?
最後に、1月退職に関するよくある質問を紹介します。
- 1月に退職したら住民税はどうなりますか?
- 1月に退職した場合、住民税の支払い方法は「退職日」によって変わります。
住民税は前年の所得に対して翌年6月〜翌々年5月まで支払う仕組みのため、退職しても納税義務は続きます。
まず、1月退職は“6月〜12月退職”の扱いと同じになります。
この場合、退職月の住民税は最後の給与から特別徴収され、残りの期間分は普通徴収へ切り替わります。
普通徴収とは、市区町村から届く納付書で自分で支払う方法です。
たとえば、1月に退職すると、2月以降の住民税は自宅に届く納付書で支払う形になります。
支払回数は通常年4回で、期限内に納める必要があります。
会社経由の天引きがなくなるぶん、支払い額を自分で管理する必要があるため、退職後の家計を立てる際には忘れずに確認しておくことが大切です。
- 1月退職はいつ伝える?
- 1月に退職する場合は、できるだけ早い時期に上司へ相談しましょう。
年末年始は社内のスケジュールが変則的になり、引き継ぎの準備に必要な時間が確保しにくいためです。
とくに、1月末での退職を希望する場合は、12月上旬〜中旬に申し出ると、業務整理や後任調整を進めやすくなります。
この時期なら、年内に引き継ぎ方針を固められるため、休暇明けの慌ただしさを避けやすい点もメリットです。
一方で、年明けに急に伝えると準備が間に合わず、同僚に負担がかかる可能性があります。
スムーズな退職を目指すなら、退職理由を簡潔にまとめ、引き継ぎの見通しを添えて伝えることが重要です。
気持ちよく新しいスタートを切るためにも、早めの相談と丁寧なコミュニケーションを意識して進めてください。
- 1月に退職するとどんなデメリットがありますか?
- 1月に退職する場合は、いくつか注意したいデメリットがあります。
まず、ボーナスが減額される可能性がある点です。
多くの企業では支給日に在籍していることが条件となるため、支給前に退職の意向が伝わると評価が下がるおそれがあります。
次に、年末年始の業務が重なりやすい時期であることも影響します。
休暇を挟むため引き継ぎの時間が短くなり、計画的に準備しなければ負担が大きくなります。
さらに、転職活動の競争が激しくなる点も見逃せません。
12月退職者や年度末に向けて動き始める求職者が増えるため、書類選考や面接の通過がやや難しくなる場合があります。
そのほか、社会保険料の扱いや住民税の支払い方法など、手続きが複雑に感じやすい点もデメリットと言えます。
これらを踏まえ、1月退職を選ぶ際は事前に準備し、負担が偏らないよう計画を立てることが大切です。
まとめ
1月の退職には、社会保険料の扱いや住民税の支払い、ボーナスのタイミングなど、知っておきたいポイントがいくつかあります。
月末か月の途中かで手取りが変わる場合もあり、年末年始を挟むことで引き継ぎが慌ただしくなる場面もありますが、事前に流れをつかめば落ち着いて準備できます。
また、求人が増える時期を選んだり、支給日の後に退職を伝えたりと、少し工夫するだけで負担をやわらげることもできます。
大切なのは、自分の状況に合ったタイミングを見つけることです。
ポイントを押さえて準備を進めれば、1月退職でも気持ちよく次の一歩を踏み出せます。



