60歳を過ぎても仕事を続ける方にとって、60歳を過ぎてから転職を行うのは不安が付き物です。
特に60歳以上の自己都合退職の場合、失業保険(失業手当)はもらえるのかは気になる部分です。
結論から言いますと、60歳以上であっても、65歳未満であれば失業保険(失業手当)は受け取れます。
一方で65歳以上の方は受け取れないものの、代わりに高年齢求職者給付金を受け取れます。
本記事では、60歳以上の人が失業手当を受け取る方法を中心に、65歳以上のケースなどを交えて解説します。
この記事でわかること
- 60歳以上の人が失業保険(失業手当)を受け取る条件
- 65歳以上の人が失業保険(失業手当)の代わりに受け取れる給付金
- 失業保険(失業手当)の各種手続きの内容
失業保険(失業手当)を受け取るための条件
「60歳を過ぎても失業保険はもらえるの?」と不安に思う方も多いでしょう。
実は、一定の条件を満たせば60歳以上の方でも受給可能です。
- 失業中で再就職の意思があること
- 退職の日以前2年間で、被保険者期間が12ヵ月以上あること
- 65歳未満であること
本項目では、失業保険を受け取るための条件をまとめました。
失業中で再就職の意思があること
失業保険を受け取るためには、再就職の意思を示す必要があります。
失業保険を受け取るには「失業状態」と認められなければなりません。
失業状態には主に3つの定義があります。
- 就職を目指す意思がある
- 健康な状態でいつでも働ける状態にある
- 求職活動を行っている
積極的に就労を目指す意思がないと失業状態とは認められません。
例病気やケガで働けない、退職後しばらくは休んでいたいなどのケースは失業保険の対象外です。
退職後、すぐにでも働きたい方は失業保険を受け取れます。
退職の日以前2年間で、被保険者期間が12ヵ月以上あること
退職日以前2年間において、被保険者期間が12か月以上あることも失業保険を受け取るための条件です。
この場合の被保険者期間は雇用保険の被保険者期間を指します。
雇用保険の加入期間が退職した日から遡って2年の間に、通算12か月以上あればクリアです。
ちなみに、会社都合退職や特定理由離職者などは退職日以前1年間で被保険者期間6か月以上と条件が緩和されます。
65歳未満であること
60歳以上であっても、65歳未満でなければ、失業保険を受け取れません。
失業保険は64歳以下の人を対象としたもので、65歳以上の人は最初から対象外です。
65歳以上で、本来の失業保険の給付条件を満たす方は、高年齢求職者給付金が受け取れます。

失業保険(失業手当)が給付される日数
「自己都合退職だと失業保険はどのくらいもらえるの?」という疑問を持つ方は多いでしょう。
実は、雇用保険の加入期間によって給付日数が異なります。
- 被保険者期間10年未満→90日
- 被保険者期間10~20年未満→120日
- 被保険者期間20年以上→150日
会社都合退職などと比べると、給付日数は少なめです。
仮に会社都合退職だったと仮定します。
60歳以上65歳未満の方で被保険者期間が1年以上5年未満であれば150日、5年以上10年未満で180日です。
被保険者期間が10年未満でも、退職の内容次第で給付日数が大きく異なります。
会社都合退職や特定理由離職者などに該当する可能性がある場合は、事前にハローワークで相談することをおすすめします。

失業保険(失業手当)の計算方法
実際に受け取れる失業保険の給付額は、以下の計算方法で算出されます。
- 基本手当日額={(離職以前6ヵ月の賃金の合計)÷180}×給付率(50~80%)
- ただし、60~64歳の方は45~80%
例えば、離職以前6か月の賃金合計が180万円だった場合、基本手当日額は4,500~8,000円です。
基本手当日額に所定給付日数をかけたものが、失業保険の総給付額です。
基本手当日額5,000円で給付日数90日であれば、450,000円が受け取れます。

65歳以上の場合は高年齢求職者給付金がもらえる
65歳を過ぎてからも「まだまだ働き続けたい」と思っている方も多いのではないでしょうか。
65歳以上の場合、高年齢求職者給付金が用意されており、条件さえ満たせばもらえます。
高年齢求職者給付金の条件は以下の通りです。
- 退職日以前1年間に被保険者期間が通算6か月以上
- 失業状態にある
実際に受け取れる高年齢求職者給付金は以下の通りです。
被保険者期間 | 給付額 |
1年未満 | 基本手当日額 × 30日分 |
1年以上 | 基本手当日額 × 50日分 |
65歳以上の方は、最低でも失業手当30日分を受け取れます。
受け取り方は一括支給なので、まとまったお金を手にできます。

失業保険(失業手当)を受け取る手続き
「失業保険を受け取るには何をすればいいの?」と迷う方も多いでしょう。
手続きの流れや必要書類を把握することで、スムーズに受け取れます。
本項目では、失業保険の手続きに欠かせない書類、手続きの流れをまとめました。
必要な書類
失業保険の手続きを行うには、以下の書類が必要です。
- 雇用保険被保険者離職票
- マイナンバーカードなどの個人番号確認書類
- 運転免許証・マイナンバーカードなどの身元確認書類
- 写真
- 本人名義のキャッシュカードもしくは通帳
上記の書類を持参することで、手続きを行えます。
手続きの流れ
- 必要書類を準備する
- ハローワークに行き、失業保険の手続きを行う
- 雇用保険受給者初回説明会に参加
- 初回の失業認定日までに所定回数の求職活動を行う
- 失業認定を受ける
- 失業手当もしくは高年齢求職者給付金が振り込まれる
必要書類を準備してハローワークに行き、失業保険の手続きを行います。
雇用保険受給者初回説明会では、失業保険を受け取るまでの流れがわかります。
説明会で雇用保険受給資格者証・失業認定申告書を受け取り、初回の失業認定日が設定される仕組みです。
初回の失業認定日までに、最低1回以上の求職活動実績を積み重ねることで失業状態と判断されます。
失業認定を受けたら、自己都合退職であれば給付制限期間を経て、給付さが完了します。
65歳以上でも高年齢被保険者として雇用保険に加入できる
平成29年1月1日以降、65歳以上の方は高年齢被保険者として、雇用保険に加入できます。
65歳以上の方でも雇用保険の加入要件を満たす働き方であれば、雇用保険の加入義務があります。
高年齢被保険者は年齢上限がないため、適用要件を満たす働き方をし続ける場合、高年齢被保険者として居続けます。
一定期間働き続ければ、高年齢求職者給付金の対象です。
まとめ
今回は60歳以上で自己都合退職を行った労働者が失業保険を受け取れるかについて解説してきました。
最後に今回ご紹介した内容を振り返っていきます。
- 60歳以上65歳未満であれば、失業保険は受け取れる
- 65歳以上は高年齢求職者給付金が受け取れる
- 60歳以上の人であっても失業保険を受け取る条件や手続きは一般的なやり方と同じ
年金受給は65歳からですが、受給開始年齢を遅らせる代わりに受給金額を増やす制度が存在します。
それまでは65歳を過ぎても働き続けることになります。
また、高齢化が進み、年齢を重ねてもなお働き続ける人も珍しくありません。
64歳11カ月までは失業保険を受け取れる一方、65歳になった瞬間、最大50日分の高年齢求職者給付金しか受け取れません。
どのタイミングで会社を辞めて失業保険もしくは高年齢求職者給付金を受け取るか、吟味していきましょう。
