失業保険をもらいながら就労移行支援は使える?条件と注意点を解説

失業保険をもらいながら就労移行支援は使える?条件と注意点を解説

退職を控えている人の中には、うつ病や発達障害などの事情で「働く自信がない」「まずは就労移行支援を利用しながら準備をしたい」と感じる人も少なくありません。

その一方で、就労移行支援を利用すると失業保険(雇用保険の基本手当)が受け取れなくなるのではないかと不安に思う人もいるはずです。

本記事では、失業保険を受給しながら就労移行支援を利用できるのか、その条件や注意点、手続きの流れを解説します。

受給要件や給付日数など制度の基本もあわせて確認できる内容になっていますので、ぜひ参考にしてください。

この記事でわかること
  • 失業保険を受給しながら就労移行支援を利用できるかどうかの結論
  • 受給できるケース・受給が難しくなるケースの具体例
  • 就職困難者に該当する場合の給付日数や手続きの流れ
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失業保険をもらいながら就労移行支援は使える?結論

結論として、ハローワークで求職の申込みを行い、働く意思と能力を保ちながら求職活動を続けている状態であれば、就労移行支援を利用しながら失業保険(雇用保険の基本手当)を受け取れる可能性は十分にあります。

ただし、就労移行支援の利用状況や医師の診断内容によっては、「今は働ける状態にない」と判断され、受給要件を満たさなくなる場合もあります。

そのため、就労移行支援の利用を検討している場合は、事前にハローワークへ相談し、求職活動の実績としてどこまで認められるかを確認しておくことが大切です。

就労移行支援とはどんな制度か

就労移行支援とは、障害者総合支援法に基づく福祉サービスで、一般企業への就労を希望する障害や難病のある人が、就労に必要な知識やスキルを身につけるための訓練を受けられる制度です。

利用期間は原則として2年間とされており、事業所によってビジネスマナー研修や職場実習、就職活動の同行支援など、内容はさまざまです。

利用には市区町村が発行する障害福祉サービス受給者証が必要で、精神障害や発達障害、身体障害など幅広い状態の人が対象とされています。

退職後に「すぐに一般企業で働くのは不安」という人が、再就職に向けた準備段階として利用するケースも少なくありません。

失業保険(基本手当)を受け取るための基本条件

失業保険の基本手当を受け取るには、「働く意思と能力があるにもかかわらず、仕事に就けない状態」であることが前提条件とされています。

そのため、ハローワークで求職の申込みを行い、定期的な求職活動の実績を報告する必要があります。

また、離職後は原則7日間の待期期間があり、自己都合退職の場合は令和7年4月以降、給付制限期間が原則1か月に短縮されています。

基本手当の日額は、退職前の賃金をもとに算出され、賃金日額のおおむね45〜80%が給付対象です。

就労移行支援を利用しながら失業保険を受給できるケース

就労移行支援の利用そのものが、直ちに失業保険の受給資格を失わせるわけではありません。次のような状態であれば、併用が認められる場合があります。

①ハローワークで求職の申込みをしている場合

就労移行支援を利用しながらも、ハローワークで求職の申込みを済ませ、就職への意思を示している場合は、受給要件を満たしやすいとされています。

②就労移行支援での活動が求職活動実績として認められる場合

事業所での職業相談や実習、就職活動に関する指導などが、失業認定日に申告する求職活動実績として認められる場合があります。認定の可否はハローワークの判断によるため、事前確認が必要です。

③体調面で「就労可能」と判断されている場合

主治医から就労可能との意見が出ており、就労移行支援を再就職準備の一環として利用している場合は、受給が継続できる可能性があります。

受給が難しくなるケース・注意点

一方で、次のようなケースでは失業保険を受け取れなくなる可能性がありますので注意が必要です。

①医師から就労不可の診断がある場合

主治医から「現時点では就労が難しい」との診断が出ている場合、働く能力がある状態とはみなされず、受給資格を満たさないと判断されることがあります。

注意
  • 就労移行支援の利用開始時期と、失業保険の受給期間が重なるかどうかは個別に異なります
  • 不明な点は自己判断せず、必ずハローワークの窓口で確認してください

②求職活動の実績が不足している場合

就労移行支援の利用のみで、ハローワークが求める求職活動実績(原則として認定期間中に2回以上など)を満たしていないと判断されると、失業認定を受けられない場合があります

就職困難者(障害者等)に該当する場合の給付日数

障害者手帳を持っているなど、雇用保険上の「就職困難者」に該当する場合は、一般の離職者よりも所定給付日数が長く設定されています。

就職困難者の所定給付日数(算定基礎期間別)
  • 算定基礎期間1年未満:150日
  • 算定基礎期間1年以上・45歳未満:300日
  • 算定基礎期間1年以上・45歳以上65歳未満:360日

就労移行支援を利用しながら再就職を目指す場合、この給付日数の長さが準備期間の確保につながるケースもあり、条件を満たせば最長で360日の受給が可能です。該当するかどうかはハローワークで確認できます。

就労移行支援利用時に失業保険を受け取れるかの早見チャート。ハローワークで求職申込み+就労移行支援を併用は受給できる可能性あり、医師から「就労不可」の診断があるは受給資格なし(受給期間延長を検討)、就労移行支援のみで求職活動実績がないは失業認定されない場合あり、障害者手帳があり就職困難者に該当は給付日数が最大360日に延長

手続きの流れ

失業保険を受給しながら就労移行支援を利用する場合、基本的には次のような流れで手続きを進めます。

失業保険を受けながら就労移行支援を利用するまでの流れ。退職・離職票の受け取り、ハローワークで求職の申込み、就労移行支援事業所へ相談・利用申請(受給者証の交付)、就労移行支援の利用開始(訓練・実習)、失業認定日に求職活動実績を申告、基本手当の受給

離職票を受け取ったら、まずハローワークで求職の申込みを行い、その後に就労移行支援事業所への相談・利用申請を進めるのが一般的な順序です。

就労移行支援の利用者証(受給者証)の交付には市区町村への申請が必要で、交付までに数週間かかる場合があります。余裕を持ったスケジュールで進めることが望ましいとされています。

受給期間の延長制度との関係

体調の回復に時間がかかり、すぐに求職活動を始められない場合は、受給期間の延長制度を利用できる場合があります。

通常、基本手当の受給期間は離職の翌日から原則1年間ですが、病気やけがなどで30日以上働けない状態が続くときは、その日数分を延長でき、最大で4年間まで延長が認められる場合があります。

就労移行支援の利用を始める前段階で治療に専念する期間がある人は、延長制度をあわせて検討すると受給の機会を確保しやすくなります。

よくある質問

就労移行支援を利用すると失業保険は必ず打ち切られますか?
就労移行支援を利用しているという事実だけで、失業保険が一律に打ち切られるわけではありません。

ハローワークで求職の申込みを続け、働く意思と能力があると判断されれば、受給が継続できる場合があります。

ただし、医師の診断内容や求職活動の実績によって判断が分かれるため、事前にハローワークへ相談することをおすすめします。
就労移行支援事業所での活動は求職活動実績になりますか?
事業所での職業相談や実習、就職活動の同行支援などが、求職活動実績として認められる場合があります。

ただし、認定の可否はハローワークの判断によるため、あらかじめどのような活動が実績として扱われるかを確認しておくことが大切です。
障害者手帳がなくても就労移行支援は利用できますか?
就労移行支援は、障害者手帳がなくても医師の診断書や意見書などにより対象と認められれば利用できる場合があります。

一方で、失業保険における「就職困難者」の区分は、原則として障害者手帳の有無などをもとに判断されるため、給付日数の扱いは別途確認が必要です。
就労移行支援の利用開始時期が給付制限期間と重なった場合はどうなりますか?
給付制限期間中であっても、就労移行支援の利用自体は基本的に可能です。

ただし、給付制限期間中は基本手当が支給されないため、求職活動実績の積み上げなど、制限期間明け以降の受給に向けた準備を並行して進めておくとよいでしょう。

まとめ

就労移行支援は、ハローワークでの求職申込みや求職活動の実績と組み合わせることで、失業保険を受給しながら利用できる可能性がある制度です。

一方で、医師から就労不可と診断されている場合や求職活動実績が不足している場合は、受給が難しくなることもあります。

障害者手帳があり就職困難者に該当する場合は給付日数が延長される点、体調により受給期間の延長制度が使える点もあわせて確認しておくとよいでしょう。

制度の適用は個別の状況によって判断が分かれるため、就労移行支援の利用を検討する段階で、早めにハローワークへ相談することをおすすめします。