退職を決めたものの、いつ言えばいいのか分からず切り出せないまま日が過ぎてしまう人は少なくありません。
「法律では何日前までに伝えればいいのか」「上司と同僚のどちらに先に話すべきか」と迷う場面も多いはずです。
本記事では、退職を切り出す時期の決め方と、上司・同僚・取引先へ伝える順番を、法律や就業規則の根拠とあわせて解説します。
アポの取り方や切り出し方の具体例、引き止められたときの対応、伝えた後に続く手続きの流れまでまとめています。
退職の申し出をどう進めるか整理したい人は、ぜひ参考にしてください。

退職って、いつ言えばいいの?何ヶ月前とか決まりがあるのかな…

先に同僚に話したら上司に伝わってしまいそうで、切り出す順番が不安…
本記事では上記の疑問やお悩みなどにお応えします。
- 退職を申し出る時期の法律上の最低ラインと就業規則の関係
- 切り出すタイミングを決めるときに確認したい要素
- 上司・同僚・取引先へ伝える順番と伝え方の違い
- 引き止められたときや上司に言い出せないときの対処法
- 伝えた後に控える手続きと期限の全体スケジュール
- 退職前から相談OK
- 社労士が退職〜受給開始までの流れを整理
- LINEで無料の受給診断ができます!
| 相談料 | 無料 |
| 対応地域 | 全国 |
| 受給可能額 | 最大200万円 |
\“もらえる額”を把握して損を防ごう/
退職はいつ言うべき?法律上の期限と就業規則の関係
退職を切り出す時期は、法律上の最低ラインと自社の就業規則の届出期間を切り分けて考えることで判断できます。
この2つは別々のルールで、混同すると申し出の時期を誤る原因になります。
まず法律上の期限を押さえたうえで、勤務先の就業規則を確認する流れが基本です。
法律上の最低ラインは申し出から14日
期間の定めのない雇用契約で働く人は、いつでも退職を申し出ることができるとされています。
そして、会社の承認がなくても、申し出た日から起算して原則14日を経過したときに退職となります(民法第627条第1項)。
これは「最短でいつ辞められるか」を示す下限であり、望ましい申し出時期を示したものではありません。
契約社員のように期間の定めがある雇用契約の場合は扱いが異なることがあるため、契約書の内容を先に確認しておくと安心です。
就業規則で「◯日前まで」と定められている場合
多くの会社は、就業規則で退職の届出時期を独自に定めています。
厚生労働省のモデル就業規則第52条も「退職を願い出て会社が承認したとき、又は退職願を提出して[ ]日を経過したとき」という書き方で、具体的な日数は空欄になっています。
つまり、何日前までに届け出るかは各事業場が実情に応じて定めるもので、国が一律の日数を示しているわけではありません。
「1〜3か月前が常識」といった言い方を見かけることもありますが、これは公的機関が基準として示した数字ではありません。
実際の申し出時期は、就業規則の記載と引き継ぎに必要な期間から決まると考えるのが現実的です。
退職に関する規定は就業規則で必ず確認する
退職に関する事項は、就業規則の絶対的必要記載事項とされています(労働基準法第89条第3号)。
そのため、勤務先の就業規則を見れば退職の手続きが書かれているのが原則です。
確認したい項目は次のとおりです。
- 退職の申し出は何日前までに行う決まりか
- 提出書類は退職願か退職届か、提出先はどこか
- 年次有給休暇の取得や引き継ぎに関する定めがあるか
- 退職金の支給条件や算定の基準日があるか
就業規則は社内ポータルやファイルサーバーに掲示されていることが多く、見当たらない場合は人事部門へ問い合わせて確認できます。
会社からの解雇予告とは期間の考え方が違う
解雇予告の30日と混同されることがありますが、この30日は会社が労働者を解雇する場合のルールです。
使用者が解雇するときは、原則として少なくとも30日前に予告するか、平均賃金の30日分以上の解雇予告手当を支払う必要があります(労働基準法第20条)。
一方、従業員から退職を申し出るときの期間は民法上の原則14日で、会社側と従業員側で期間の考え方は非対称です。
ポイント
法律上の最低ラインは14日、実際に守るべき目安は就業規則の届出期間です。就業規則の日数が14日より長い場合は、原則としてそちらに沿って申し出るとトラブルを避けやすくなります。

【重要】退職後に損しないために
退職前に確認・対応しておくべきことを「退職を切り出す前に知らないと損するお金のこと」で解説しています。
先に読む →
退職を切り出すタイミングの決め方
切り出す時期は、退職希望日から引き継ぎ期間と有給消化分を逆算して決めるのが基本です。
就業規則の届出期間を満たしていても、有給の残日数を計算に入れていないと最終出社日が足りなくなることがあります。
ここでは逆算の手順と、時期選びで見落としやすい要素を整理します。
退職希望日から逆算してスケジュールを組む
順番は「退職希望日」から前に戻していくと組み立てやすくなります。
- ①退職希望日(在籍最終日)を決める
- ②有給休暇の残日数を差し引き、最終出社日を出す
- ③最終出社日から引き継ぎに必要な期間をさかのぼる
- ④就業規則の届出期間と比べ、早いほうの日付を申し出日にする
たとえば有給が15日残っていて引き継ぎに1か月かかる業務であれば、最終出社日は退職希望日の約3週間前、申し出はさらにその1か月前が目安になります。
この計算をしないまま就業規則の日数だけで申し出ると、有給を使い切れないまま退職日を迎える場合があります。
有給休暇の残日数を計算に入れる
退職時に残った年次有給休暇は、原則として退職日までに消化するか、会社の制度によっては買い取りの扱いが検討されることがあります。
また年次有給休暇が10日以上付与される労働者については、使用者が基準日から1年以内に5日分の時季を指定して取得させる義務があります(労働基準法第39条第7項)。
この5日分がまだ取得できていない年度に退職する場合、退職前の消化予定と重なることがあるため、残日数は給与明細や勤怠システムで正確に確認しておきます。
残日数が多いほど申し出は早める必要があり、時期の決定に直結します。
繁忙期・人事異動の時期を避ける
申し出そのものは時期を問わず可能ですが、業務が立て込む時期は引き継ぎの調整が難しくなります。
次のような時期は、可能であれば避けたほうが話が進みやすくなります。
- 年度末や決算期など、部署全体が繁忙になる期間
- 人事異動や組織改編の発表直前
- 大型案件の納品直前や繁忙シーズンの最中
- 上司が長期出張や休暇に入る直前
どうしても繁忙期に申し出ることになる場合は、退職の意思と同時に引き継ぎの進め方の案を示すと、話し合いが前向きに進みやすくなります。
業務や担当プロジェクトの区切りを選ぶ
担当案件の区切りにあたる時期を選ぶと、引き継ぐ範囲が明確になり、必要な期間も短く見積もれます。
逆に案件の途中で抜けると後任が背景から把握し直す必要があり、引き継ぎ期間の延長を求められることがあります。
区切りが遠い場合は、現在の進捗を整理した資料を用意したうえで申し出ると、調整がしやすくなります。
転職先の入社日が決まっている場合の調整
転職先の入社日が確定している場合は、そこから逆算すると余裕がなくなりがちです。
内定を承諾する前に自社の就業規則の届出期間を確認し、実現できる入社日を提示することが重要です。
届出期間や引き継ぎに必要な期間が長い場合は、入社日の後ろ倒しを転職先に相談できるかどうかも含めて検討します。
注意
入社日を先に確定させてしまうと、有給の消化や引き継ぎ期間を確保できず、退職日をめぐって会社と対立する原因になります。入社日の返答は、就業規則の届出期間と有給の残日数を確認してからにしてください。


退職を伝える順番は直属の上司が最優先
退職の意思は、まず直属の上司に伝え、その後は上司と相談しながら共有範囲を広げていくのが基本です。
伝える順番について公的機関が基準を示しているわけではありませんが、引き継ぎと社内調整を担うのが直属の上司であるため、実務上はここが起点になります。
順番を整理すると次のとおりです。
①直属の上司
最初に伝える相手は、日々の業務を管理している直属の上司です。
後任の選定、引き継ぎの割り振り、退職日の調整はいずれも上司の判断や部署内の調整を経て決まります。
上司を飛ばして先に他へ伝えると、上司が最後に知る形になり、その後の調整に協力を得にくくなることがあります。
②上司の上位職・人事部門
部長など上位職や人事部門へは、直属の上司を通して報告するのが基本です。
退職手続きの案内や必要書類の説明は人事部門が担当しますが、connectするタイミングは上司が決める場合が多くなります。
会社によっては上司への申し出と同時に人事へ届け出る運用もあるため、就業規則に提出先の指定がないかを確認しておきます。
③同じ部署の同僚・後輩
同僚や後輩へ伝えるのは、退職日と後任が決まり、上司と共有範囲をすり合わせた後です。
退職日が確定する前に話すと、後から日程が変わったときに情報が錯綜します。
また、まだ社内で決裁が済んでいない段階の情報が広まると、上司が調整を進めにくくなります。
④取引先・社外の関係者
取引先への連絡は、会社の方針に沿って行います。
上司や後任担当者と同席するか、連名の連絡とするのが一般的で、個人の判断で先に伝えることは避けます。
伝える内容は退職の事実と後任の紹介にとどめ、退職理由を詳しく説明する必要はありません。
⑤家族への相談は申し出前が望ましい
家族への相談だけは、会社へ申し出る前に済ませておくほうが安心です。
退職後は収入が途切れる期間が生じる可能性があり、生活費の見通しを共有しておく必要があるためです。
健康保険の切り替えや扶養の扱いなど、家族の手続きに影響する項目もあります。
ポイント
申し出の前に家族と共有しておきたいのは、最終出社日と退職日の見込み、退職後の収入の見通し、健康保険や年金の切り替え予定の3点です。話し合っておくと、引き止められた場合にも判断がぶれにくくなります。
順番を誤ると起こりやすいトラブル
同僚に先に話してしまい、上司の耳に噂として入るケースは実際に起こります。
この場合、次のような影響が出ることがあります。
- 上司が事実確認に追われ、引き継ぎの話し合いが後回しになる
- 後任の選定や退職日の調整で協力を得にくくなる
- 退職日までの人間関係が気まずくなる
- 取引先へ不確かな情報が伝わり、会社の信用に関わる
順番を守るだけで避けられるトラブルが多いため、最初の相手は直属の上司と決めておくことが大切です。

上司へのアポの取り方と切り出し方の具体例
退職を切り出すときは、事前にアポを取り、二人きりで話せる場を確保してから伝えるのが基本です。
立ち話や業務チャットで伝えると、上司が内容を受け止めきれないまま話が終わり、後日あらためて説明し直すことになりがちです。
ここでは、声をかける時間帯から当日の切り出し方までを具体的に整理します。
声をかける時間帯と曜日の選び方
選ぶ基準は、上司が落ち着いて時間を取れる業務の切れ目かどうかです。
次のような時間帯は避けたほうが無難です。
- 始業直後(メール確認や朝礼で予定が詰まっている)
- 終業間際(退社時刻を気にして話が中断されやすい)
- 会議やクライアント訪問の直前
- 週明けの午前中や月初の締め作業の時間帯
比較的話しやすいのは、週の半ばの午後や、定例会議が終わった直後など、次の予定までに余裕がある時間帯です。
上司のスケジュールが共有カレンダーで見られる職場であれば、空き時間を確認してから声をかけると調整が一度で済みます。
二人きりで話せる場を確保する
話す場所は、会議室や個室など、第三者に聞かれない環境をあらかじめ押さえておきます。
執務スペースで切り出すと、周囲に内容が伝わり、公表前に情報が広まる原因になります。
会議室の予約が必要な職場では、上司の了承を得たうえで自分が押さえておくと当日の手間が減ります。
所要時間は30分程度を見込み、引き継ぎや退職日の相談に入っても足りるようにしておくと安心です。
アポを取るときの声かけ例
アポの段階では用件を詳しく説明せず、時間を確保することだけを目的にします。
- 「ご相談したいことがあるので、30分ほどお時間をいただけますでしょうか」
- 「今後のことでご相談があります。来週で都合のよい日はありますか」
- 「個別にお話ししたいことがあります。会議室を取っても差し支えないでしょうか」
「退職の件で」とチャットに書いてしまうと、話し合いの前に上司が周囲へ相談を始め、内容が広まることがあります。
一方で「大事な話」とだけ伝えると身構えさせるため、相談したい旨と所要時間を添える程度にとどめます。
繁忙期に切り出す場合の言い方
繁忙期に申し出る場合は、時間を取らせることへの配慮を先に示すと話を受け入れてもらいやすくなります。
「お忙しい時期に恐れ入りますが」と前置きしたうえで、短時間で構わない旨を添えて日程を相談します。
当日は退職の意思と希望日を先に伝え、続けて繁忙期の業務をどこまで担当できるかの案を示すと、話し合いが引き継ぎの調整へ進みます。
リモートワーク・在宅勤務の場合
出社日が限られている場合でも、可能であれば対面で伝える機会を作るのが望ましい伝え方です。
対面が難しいときは、チャットのテキストではなく、カメラをオンにしたオンライン会議を1対1で設定します。
会議の招待にも「ご相談」とだけ記載し、議題欄に退職と書かないようにします。
周囲に家族がいる環境では音声が漏れない場所を選び、通信が切れた場合に備えて電話番号を控えておくと中断を避けられます。
有給消化中や休職中の場合
出社していない期間に意思を伝える場合は、まず電話またはオンライン会議の日程を打診します。
連絡が取りづらい場合はメールで面談の希望を送り、記録が残る形にしておきます。
体調不良で休職している場合は、無理に出社せず、電話や書面での申し出が可能かを人事部門に確認する方法もあります。
ポイント
当日の組み立ては「退職の意思→希望する退職日→引き継ぎの案」の順が基本です。理由は一身上の都合や家庭の事情など個人都合として簡潔にまとめ、詳細まで話す必要はありません。会社や上司への不満を理由に挙げると、改善提案による引き止めの余地を与え、話が退職の可否から待遇の交渉へずれてしまいます。

【重要】退職後に損しないために
退職前に確認・対応しておくべきことを「退職を切り出す前に知らないと損するお金のこと」で解説しています。
先に読む →
同僚・取引先へ伝えるタイミングと伝え方の違い
同僚と取引先では、伝える時期も伝える内容も分けて考える必要があります。
前述のとおり順番は上司が起点ですが、その先は「社内の公表タイミング」と「後任の決定」が判断の基準になります。
それぞれの場面で押さえたい点を整理します。
同僚へ伝えるのは公表のタイミングに合わせる
同僚への告知は、上司が決めた社内公表の時期に合わせます。
朝礼や部署内のミーティングで上司から発表される場合もあれば、個別に伝えてよいと言われる場合もあるため、事前に確認しておきます。
自分の判断で先に広めると、退職日や後任が変更になったときに訂正が必要になり、業務にも影響します。
伝える際は、最終出社日と引き継ぎの窓口を併せて共有すると、相手が予定を立てやすくなります。
後輩・部下へ伝えるときの配慮
後輩や部下には、業務への影響と引き継ぎ体制をセットで伝えます。
退職の事実だけを伝えると、担当業務が宙に浮くのではないかという不安が先に立ちます。
次の内容を具体的に示すと、受け止め方が落ち着きます。
- 担当していた業務を誰が引き継ぐか
- 引き継ぎをいつまでに完了する予定か
- 最終出社日までに相談できる時間をどう確保するか
- 退職後の問い合わせ先をどこにするか
後任が未定の段階では、決まり次第共有する旨を伝えるだけでも十分です。
取引先へ伝える時期と後任の紹介
取引先への連絡は、後任が決まってから、後任の紹介と引き継ぎ完了予定を同時に示す形にします。
後任が未定のまま退職だけを伝えると、取引先が今後の窓口を把握できず、不安を与えることになります。
連絡の順序は、上司と相談したうえで、重要な取引先から訪問または同席のオンライン会議で伝えるのが基本です。
退職理由は「一身上の都合」程度にとどめ、転職先や個人的な事情を詳しく述べる必要はありません。
社内の情報解禁前にSNSへ書かない
社内で公表される前にSNSへ投稿すると、取引先や社内の関係者が会社より先に知る事態になります。
後任の調整が済んでいない段階で外部に伝わると、引き継ぎの進め方にも影響します。
注意
退職に関する投稿は、社内の公表が済んだ後、できれば退職日以降にする方法が無難です。在職中の担当業務や社内事情に触れる内容は、就業規則の秘密保持義務に抵触する場合があります。投稿前に、記載内容が社外に出してよい情報かどうかを確認してください。
引き止められたとき・上司に言い出せないときはどうする?
引き止めにあっても、退職の意思と希望日を変えずに繰り返し伝えることが基本の対応です。
期間の定めのない雇用契約では、会社の承認がなくても申し出た日から起算して原則14日を経過すれば退職となります(民法第627条第1項)。
この前提を踏まえて、状況別の対応を整理します。
強く引き止められた場合の対応
引き止めには、昇給や配置転換といった条件改善の提案と、人手不足や情に訴える説得の2種類があります。
いずれの場合も、その場で結論を保留せず、意思が変わらないことを同じ言葉で伝え続けます。
- ①退職の意思が固いことを、理由を変えずに再度伝える
- ②提案への感謝を述べたうえで、受け入れられない旨を伝える
- ③希望する退職日と引き継ぎの進め方を改めて示す
条件改善を受け入れて残った場合、当初の不満が解消されないまま在籍が続くことがあるため、判断は持ち帰って整理してから答えます。
退職日を先延ばしにされそうなとき
後任が決まらないことを理由に、退職日の延期を求められる場合があります。
この場合は就業規則の届出期間を満たしたうえで、法律上は申し出から原則14日で退職となる点も踏まえて希望日を提示します。
実務上は就業規則の届出期間に沿って申し出るのが円滑ですが、それを満たしてなお延期を求められる場合は、民法上の期限が交渉の根拠になります。
申し出た日付が後から争点になることがあるため、面談の日付と内容を記録に残しておきます。
上司との関係が悪く直接言えない場合
上司との関係が悪い場合やハラスメントがある場合は、無理に直属の上司へ伝える必要はありません。
次の順で相談先を検討します。
- 人事部門や労務担当の窓口
- 上司のさらに上位の管理職
- 社外の相談窓口(労働局の総合労働相談コーナーなど)
社内の窓口へ相談する際は、これまでの経緯を時系列でまとめておくと、事情が伝わりやすくなります。
退職代行を使う場合の伝わり方
退職代行を利用すると、会社への連絡は代行事業者を経由して行われます。
本人が直接やり取りしない前提になるため、次のものは依頼前に整理しておきます。
- 引き継ぎ資料(担当業務・進行中案件・連絡先)
- 会社から貸与されている備品・社員証・書類
- 私物の持ち帰りと、社内データの整理
連絡が代行経由になった後は追加のやり取りがしにくくなるため、準備は申し出の前に済ませておきます。
退職の申し出を認めないと言われたとき
会社が退職を認めないと回答した場合でも、前述のとおり申し出から原則14日を経過すれば退職となります。
あわせて、退職した場合は請求に基づき、使用期間・業務の種類・地位・賃金または退職の事由を記載した証明書を会社が交付する義務があります(労働基準法第22条第1項)。
申し出の記録が残らない状況では、退職願の控えや送付記録を残す方法も検討します。

退職を伝えた後の手続きと時系列スケジュール
退職の意思を伝えた後は、退職届の提出・引き継ぎ・書類の受け取りという順で手続きが進みます。
それぞれに期限や相手方の作業が絡むため、伝えた直後に全体の時系列を把握しておくと動きやすくなります。
ここでは申し出の後に続く流れを順に整理します。
退職願・退職届を提出するタイミング
書面の提出は、口頭で意思を伝えて上司と合意した後が基本です。
面談の前に退職届を突然差し出すと、話し合いの余地がない形になり、引き継ぎの調整がしづらくなります。
提出先は会社によって異なるため、上司へ手渡すのか人事部門へ提出するのかを面談の場で確認します。
退職日が確定してから書面に日付を記入すると、後から訂正する手間がなくなります。
引き継ぎ資料の作成と後任への引き渡し
引き継ぎ資料は、後任が単独で業務を回せる粒度まで書き出します。
次の項目を盛り込んでおくと、抜け漏れが起こりにくくなります。
- 担当業務の一覧と、それぞれの作業手順
- 進行中の案件の状況と次に必要な対応
- 社内外の関係者の連絡先と窓口
- 定例会議や月次・年次の締め切りスケジュール
- 使用しているシステムのアカウントと保管場所
資料を渡すだけで終わらせず、最終出社日までに後任と同席して作業する期間を設けると、質問をその場で解消できます。
貸与品の返却と受け取る書類の確認
返却物と受け取る書類は、最終出社日の前にリスト化しておきます。
退職時に受け取る書類は次のとおりです。
- 離職票(失業保険の手続きに使用)
- 雇用保険被保険者証
- 源泉徴収票
- 年金手帳(会社が預かっている場合)
社員証・健康保険証・貸与パソコン・鍵などは、返却期日を人事部門に確認しておきます。
離職票が届くまでの目安
離職票は退職日に手渡されるものではなく、会社の手続きを経て後日交付されます。
事業主は被保険者でなくなった日(離職日の翌日)の翌日から10日以内に、雇用保険被保険者資格喪失届をハローワークへ提出しなければならないとされています(雇用保険法施行規則第7条第1項)。
この手続きを経て交付されるため、手元に届くまでには一定の日数がかかります。
予定を大きく過ぎても届かない場合は、会社へ発送状況を確認します。
失業保険の給付制限期間を踏まえた資金計画
自己都合で退職した場合、手続きをしてもすぐに基本手当が振り込まれるわけではありません。
正当な理由がない自己都合退職では、令和2年10月1日以降の離職であれば5年間のうち2回までは給付制限期間が2か月、3回目以降は3か月とされています。
この期間は基本手当が支給されないため、家賃や社会保険料の支払いを見込んだ手元資金を準備しておく必要があります。
注意
離職票が届くまでは、ハローワークでの求職申込みと受給資格の決定ができません。給付制限期間は受給資格決定日を起点に進むため、書類の受け取りが遅れるとその分だけ支給開始も後ろにずれる場合があります。退職を伝えた時点で、離職票の送付時期と送付先住所を会社に確認しておくと安心です。

【重要】退職を切り出す前に知らないと損するお金のこと
退職を伝える前後には、お金に関わる確認事項がいくつもあり、タイミングを逃すと後から取り返せないものがあります。
切り出す前に次の点を整理しておくと、条件を確定させたうえで面談に臨めます。
- 年次有給休暇の残日数と、消化を申し出るタイミング
- 退職日を月末にするか月中にするかで変わる社会保険の扱い
- 健康保険を任意継続・国民健康保険・家族の扶養のどれに切り替えるか
- 退職金や賞与の支給条件と、在籍要件を満たす時期
年次有給休暇が10日以上付与される人には、使用者が年5日について時季を指定して取得させる義務があるとされています(労働基準法第39条第7項)。
残日数を把握しないまま退職日を決めると、消化しきれない日数が出てしまう場合があります。
また退職後には、失業保険・傷病手当金・再就職手当など、条件を満たせば受け取れる可能性のある給付金があります。
ただしこれらは申請書類が複数にわたり、提出先もハローワーク・健康保険組合・年金事務所と分かれています。
前述のとおり自己都合退職には給付制限期間があり、申請時期の判断も必要になります。
申請期限を過ぎてしまった場合や、退職理由の記載を誤ったまま手続きが進んだ場合は、後から取り消して請求し直せないことがあります。
制度ごとの条件は勤続期間・退職理由・年齢によって変わるため、自分がどれに該当するかを一人で判断するのは簡単ではありません。
給付金の制度に詳しい専門家に相談してサポートを受けながら進めると、受け取れる可能性のある給付を取りこぼさずに手続きを進められます。
退職日をいつにするかで、受け取れる給付金や手続きの進め方は変わります。自分の場合にどの給付が対象になりそうか、LINEの無料診断で目安を確認してみてはいかがでしょうか。
\“もらえる額”を把握して損を防ごう/
よくある質問
- 退職を伝えるのはメールやチャットでも問題ないですか?
- 民法上は申し出の方法が対面に限定されているわけではないため、メールでの申し出が無効になるわけではありません。
ただし就業規則で提出書類や提出先が指定されている場合があるため、まずは自社の規定を確認しておくと安心です。
実務上は、テキストだけで伝えると引き継ぎや退職日の相談がその場でできず、あらためて面談の時間を取り直すことになりがちです。
出社していない期間や体調不良で出社が難しい場合は、面談の希望をメールで送って日程を調整し、記録が残る形にしておく方法もあります。
- 退職の意思を伝えた後で気が変わった場合、撤回できますか?
- 撤回できるかどうかは、会社がどの段階まで手続きを進めているかによって扱いが変わる場合があります。
会社が退職を承認し、後任の配置や求人の手配が始まった後では、一方的な撤回が認められないこともあります。
気持ちが固まらないうちに申し出ると撤回をめぐるやり取りが必要になるため、条件改善の提案を受けた場合もその場で結論を出さず、持ち帰って整理してから答える進め方が無難です。
判断に迷う場合は、労働局の総合労働相談コーナーなど社外の窓口に相談する方法もあります。
- 試用期間中や入社1年未満でも退職を申し出る時期は同じですか?
- 期間の定めのない雇用契約であれば、試用期間中や入社1年未満でも、申し出た日から起算して原則14日を経過したときに退職となります(民法第627条第1項)。
就業規則に届出時期の定めがある場合は、勤続年数にかかわらずその規定が適用されるのが一般的です。
ただし勤続期間が短い場合は、失業保険の受給に必要な被保険者期間を満たさないことがあります。
退職後の収入の見通しに関わるため、申し出る前に雇用保険の加入期間を確認しておくと判断しやすくなります。
- 退職を伝える前に転職先を決めておいた方がよいですか?
- どちらが正解と決まっているわけではなく、収入が途切れる期間をどこまで許容できるかで判断が分かれます。
転職先を決めてから申し出る場合は、内定を承諾する前に自社の就業規則の届出期間と有給の残日数を確認し、実現できる入社日を提示することが重要です。
決めずに退職する場合は、自己都合退職に給付制限期間が設けられていることを踏まえ、その間の生活費を準備しておく必要があります。
いずれの場合も、退職日と最終出社日の見込みを先に固めてから動くと計画が立てやすくなります。
- 就業規則に「3ヶ月前までに申し出ること」と書かれている場合は従う必要がありますか?
- 退職に関する事項は就業規則の絶対的必要記載事項とされており(労働基準法第89条第3号)、社内の手続きとしてはまず規定に沿って申し出るのが円滑です。
一方で、期間の定めのない雇用契約では、会社の承認がなくても申し出から起算して原則14日を経過したときに退職となるとされています(民法第627条第1項)。
そのため、就業規則の期間を満たせない事情がある場合は、引き継ぎの進め方の案を示したうえで退職日を相談する形になります。
話し合いがまとまらない場合に備えて、申し出た日付と面談の内容を記録に残しておくと安心です。
まとめ|退職は就業規則を確認し直属の上司へ最初に伝える
最後に今回解説した内容を振り返ります。
- 法律上は申し出た日から起算して原則14日で退職となる(民法第627条第1項)
- 実際に切り出す時期は、就業規則の届出期間と引き継ぎ事情から逆算して決める
- 伝える順番は直属の上司が最優先で、同僚・取引先は公表タイミングをすり合わせてから
- アポを取って二人きりの場で伝え、理由は個人都合として簡潔にまとめる
厚生労働省のモデル就業規則は届出日数を空欄にしており、具体的な日数は各企業が定めるものです。
まずは自社の就業規則で退職に関する規定を確認し、そこから逆算して申し出る日を決めることが出発点になります。
伝えた後は退職届の提出・引き継ぎ・書類の受け取りと続き、退職後の給付金の準備も並行します。
一連の流れを一本のスケジュールにまとめて進めると、手続きの抜け漏れを防げます。


