「不安障害なんだけど、その理由で退職するのは逃げなの?」と思っている方もいるのではないでしょうか。
また、「不安障害での退職は甘えってネットに書いてあったけど…」と書き込みに不安を感じる方もいるはずです。
結論から言いますと、不安障害になったことをきっかけに退職するケースも珍しくなく、問題ないと言えます。
不安障害で退職することは逃げでも甘えでもなく、立派な退職理由です。
そこで今回は、不安障害での退職について、退職サポーターとして活動している私が、不安障害を理由とした退職方法や傷病手当金・失業保険に関する話題などをご紹介していきます。
これを知れば、不安障害になってからのことが分かるので、安心して治療に専念できますよ。
不安障害で退職は逃げ?甘え?

不安障害という名前はここ20年ほどでポピュラーになってきたため、一定の年齢以上の人にとっては聞きなじみが乏しいのが実情です。
そのため、理解をされにくく、不安障害で退職することは逃げ、甘えと指摘する人もいます。
しかしながら、不安障害で退職すること自体は全く問題はありません。
不安障害で退職しても問題はない
そもそもどんな退職理由であれ退職すること自体は認められています。
ですので、不安障害で退職したからといって何ら問題はありません。
不安障害を悪化させるとより重い精神疾患を発症する可能性もあるため、早い段階での治療が求められます。
不安障害の治療に専念したいからと辞めることは立派な退職理由と言えるでしょう。
不安障害で退職する方法は?

実際に不安障害で退職する方法として以下の段階を踏むことが求められます。
- 医師による診断を受けておく
- 2週間前までに会社へ退職の意向を申し出る
- 引き継ぎ書を作成しておく
よりスムーズに退職を目指すために必要なプロセスをご紹介します。
医師による診断を受けておく
まず最初に行うべきことは、医師による診断を受けておくことです。
後ほどご紹介する傷病手当金の受け取りなどで、医師の診断書が必要になっていきます。
医師による診断を受け、どんな不安障害になっているかを確定させることで、スムーズな退職につなげていくことが可能です。
また本人は何らかの不安障害と思っていても、実際にはより重い精神疾患である可能性もあるので、医師の診断が求められます。
2週間前までに会社へ退職の意向を申し出る
2つ目は2週間前までに会社へ退職の意向を申し出ることです。
民法では退職の申し出から2週間後に退職ができると定められているので、2週間前までに申し出るようにしましょう。
その2週間で余裕のある範囲で引継ぎなどを行い、有給休暇が残っていれば少しでも消化しておくのが理想的です。
引き継ぎ書を作成しておく
3つ目は引き継ぎ書を作成しておくことです。
不安障害になるとちょっとしたことで体調を崩しやすく、対人恐怖症などの状況になればよりストレスになりえます。
そこで引き継ぎ書を作成しておくことで、後任の方がやりやすい状況を作り出せます。
追加すべきことがあればメールなどで伝えれば大丈夫です。
不安障害で退職することを上司に伝える方法は?

不安障害で退職することを上司に伝えるには、3つのケースが想定されます。
- できれば直接伝えよう
- 難しければメールや電話で伝えよう
- 退職届を郵送しても問題ない
これら3つのケースについてご紹介していきます。
できれば直接伝えよう
退職する際には、直属の上司に直接伝えるのが理想的であり、余裕がある方はできる限り直接伝えることがおすすめです。
退職することを伝える際における本来のマナーであり、一番確実な方法です。
ただし、不安障害になると強いストレスで症状を悪化させる場合もあるので、無理に直接伝える必要はありません。
難しければメールや電話で伝えよう
直接伝えることが難しい場合には、メールや電話で伝えるのがおすすめです。
特におすすめなのがメールで、メールであれば退職理由や病状などを端的に伝えられます。
また若い世代を中心に電話に対する恐怖心を持つ人が多く、不安障害の際には電話で伝えることの不安がストレスになることもあり得ます。
メールで伝えられる場合にはできる限りメールで伝えた方がいいですが、電話で伝えられる人は電話がいいでしょう。
退職届を郵送しても問題ない
不安障害になると余裕が生まれにくく、人と会うのも怖くなることがあります。
その場合は退職届を郵送しても全く問題はなく、退職の申し出を会社側に伝えられます。
場合によっては内容証明郵便で退職届を郵送し、退職の申し出の証拠を残しておくこともいいでしょう。
不安障害で退職した場合、傷病手当金を申請しよう

不安障害で退職する場合には、事前に傷病手当金の申請を行うことがおすすめです。
特に不安障害で一旦休職する場合などは傷病手当金を申請することで最低限の生活が保障されやすくなります。
傷病手当金をもらえる条件
傷病手当金がもらえる条件は以下の通りです。
- 仕事以外の病気やケガで療養中である
- 療養するために働くことができない
- 4日以上仕事を休んでいる
- 休んでいる間は給与の支払いがない
もしも仕事を理由とした病気やケガだった場合、労働災害保険の対象となり、傷病手当金の対象外となります。
また仕事を休み始めてから連続3日間が待期期間となり、4日目以降が支給対象となります。
そのため、休職後一旦職場復帰をするような行為は再び待期期間が生じるため、注意が必要です。
これらの条件を満たした場合に傷病手当金を手にすることができます。
不安障害で退職した場合、失業保険はもらえる?

不安障害で退職する際には失業保険をもらうことは可能です。
ただし、傷病手当金を受け取っている場合には失業保険をもらうことはできず、傷病手当金の受給が終了してから受け取ることになります。
その理由は失業保険の受給条件と関係しています。
失業保険の受給条件
失業保険の受給条件には以下の通りです。
- 退職日以前2年間で12か月以上の雇用保険の加入実績がある(自己都合退職の場合)
- 退職日以前1年間で6か月以上の雇用保険の加入実績がある(会社都合退職や特定理由離職者の場合)
- 失業状態にある場合
失業状態は、心身ともに健康であり、積極的に求職活動を行っている状態を指します。
傷病手当金は労働ができない状態であることが要件の1つになっているので、失業保険と傷病手当金の併給はできません。
ですので、不安障害で退職する場合、傷病手当金を受け取っていない状態であれば失業保険を受け取れます。
傷病手当金を受け取っている場合には、失業保険の受給延長の手続きを行った上でしっかりと受け取り、受け取り終わってから手続きを始めることで失業保険を受け取れるようになります。

不安障害で退職した場合、傷病手当金と失業保険どちらを先に申請するべき?

不安障害で退職する場合、傷病手当金から申請することがおすすめです。
まず重要なことは不安障害の治療であり、収入源が保障された状態でしっかりと治療して完治を目指すのが傷病手当金の大きなポイントとなります。
その間は失業保険の受給延長ができるので、傷病手当金をフルに受け取ってからでも失業保険の受け取りは可能です。
心身ともに健康な状態でなければ失業保険は受け取れないので、不安障害で退職した場合にはまず心身ともに健康な状態を目指すためにも傷病手当金を活用することが求められます。
まとめ
今回は不安障害で退職するケースについてご紹介してきましたが、最後に今回ご紹介した情報を振り返ります。
- 不安障害で退職しても全く問題はない
- 不安障害で退職する際にはまず医師の診断を受けておく
- 不安障害で退職する際には、余裕があれば直接伝えるもしくはメールなどで伝える
- 不安障害で退職したら先に傷病手当金を申請し、治療が済んでから失業保険を受け取る
不安障害は適切な治療をしないと症状を悪化させ、うつ病などにつながる恐れがあります。
不安障害の段階であれば適切な治療によって早期の職場復帰・社会復帰が可能となり、キャリアの空白期間を短くすることも可能です。
不安障害と診断されたら、休職が可能であれば傷病手当金を申請して休職し、退職する場合も傷病手当金を申請して治療に専念しましょう。