ADHDで仕事を辞めたい。退職前に知っておくべき転職のポイントと支援

近年大人になってからADHDと診断されるケースが増えています。

ADHDの特性が仕事に悪影響を与え、仕事を辞めたいと感じる方もいるのではないでしょうか。

転職を目指す際には、転職支援サービスや公的制度の活用を行っていくのもおすすめです。

本記事では、ADHDの方が仕事を辞めたいと感じた際にとるべき行動、注意点などをまとめました。

ADHDとは?特性と仕事で感じる困難

ADHDは、注意欠陥・多動性障害と呼ばれており、不注意や多動性、衝動性といった特性があります。

注意力が続きにくいために忘れ物が多い、細かなことを見過ごす、落ち着きがない、唐突な行動が多いなどの特徴があるのがADHDです。

そのため、ミスをしやすく自己肯定感が下がりやすいほか、周囲とのコミュニケーションが難しくなることもあります。

ADHDだからといって必ずしもマイナスにはなりませんが、職種・業種・職場環境によっては悪影響につながることも考えられます。

ADHDの人が退職する流れ

ADHDの人は周囲とのコミュニケーションに苦労することがあり、人間関係などで仕事がしにくくなることがあります。

その場合に退職する決断をする方も少なくありません。

本項目では、退職に至るまでの流れについてまとめました。

ADHDなのか診断してもらう

「自分はADHDなのかも…」と思った方はまずADHDなのかを診断してもらうことがおすすめです。

ADHDを理由に退職する場合、医師の診断書が証拠となり、スムーズな退職につなげられます。

一方で、ADHDだからといって退職する必要はなく、医師から対策を提案されることもあるため、不注意などでミスが多い方はまずは診断を受けることが大切です。

上司に相談

医師との相談を重ねて、退職を検討し始めた場合には、まず上司に相談を行います。

上司への相談の時点では、退職しようかどうか悩んでいることを正直に伝え、方向性を確認していきます。

ADHDであることを前提に、仕事量の調整などの対策を検討し、調整が難しそうであれば退職を視野に入れるような形となるでしょう。

退職の手続きをする

調整を重ねても、人間関係など状況が改善しない場合には退職を決断し、手続きを進めていきます。

  1. 上司へ退職の報告をする
  2. 退職届の提出
  3. 引き継ぎ作業
  4. 必要書類の受け取り
  5. 貸与物の返却

上記の順番で手続きを進めていくことで、スムーズな退職につなげられます。

上司への報告と退職届の提出を行ってから、同僚などに退職する旨を伝える形が理想的です。

有給の消化等

退職に向けて引き継ぎをスムーズに行っていく中で、有給休暇を申し出て消化するタイミングを見ていきます。

現状残っている有給休暇の日数分をすべて消化するために、早い段階で退職届を出して準備を進めていくのが理想的です。

できる限り消化してから退職日を迎えることで、身体的・精神的疲労を少しでもなくすことができます。

ADHDの人の転職ポイント・注意点

ADHDの人が転職を目指す中で注意したいポイントが主に5つ存在します。

  • 衝動的な転職を避ける
  • 自己分析を徹底する
  • 情報収集を怠らない
  • 面接対策を万全にする
  • 支援制度を活用する

本項目では、ADHDの人が転職活動をする際に気を付けておきたいポイントを解説していきます。

衝動的な転職を避ける

ADHDの特性に衝動的な行動が挙げられており、衝動的な退職の決断のほか、衝動的に転職先を決めることなどはできるだけ避けましょう。

仮に勢いで転職先を決めても、入社後に後悔をする可能性が高く、再度同じような形で退職につながることも考えられます。

どのような会社で働きたいかを考えて、できる限り計画的に転職活動を進めていきましょう

自己分析を徹底する

転職活動を成功させるには、自己分析の徹底が欠かせません。

ADHDの特性としてマイナスの面がある一方、プラスの面もあり、大きな武器となり得ます。

自己分析の中で長所と短所を見極めて、転職活動につなげていきましょう

情報収集を怠らない

転職活動をうまくいかせるには、情報収集を怠らないことも大切です。

自分の条件にある求人を探していき、長く働けそうな企業を少しでも見つけていくことが大切です。

障害者雇用なども視野に入れた転職活動をしていくためにも、情報収集の徹底は欠かせません。

面接対策を万全にする

転職活動を成功させるには、面接対策を万全にしておくことも重要と言えます。

採用面接はぶっつけ本番ではうまくいくものではなく、何度も対策を重ねていく必要があります。

万全を期した形で面接に臨むことで、緊張することなく臨みやすくなるでしょう。

支援制度を活用する

ADHDの人は支援制度を活用していくことも視野に入れましょう。

支援制度は多岐にわたっており、障害などを抱えている方でも就労しやすい制度が充実しています。

支援制度については後程詳しく解説いたします。

ADHDをサポートする転職支援サービスと公的制度

ADHDをサポートする転職支援サービスや公的制度で主なものを以下にまとめました。

  • 就労移行支援事業
  • 障害者雇用枠
  • ADHDに特化した転職エージェントを利用

本項目では、代表的な支援サービスや公的制度について解説します。

就労移行支援事業

就労移行支援事業は、就職に向けた訓練を重ねながら就職を目指す事業です。

元々障害者手帳を持つ人だけが利用できた制度でしたが、現在は診断書さえあれば利用できます。

トレーニングは幅広く用意されており、その人が求めているスキルを磨いていき、就労に向けた準備を進められます。

障害者雇用枠

障害者雇用枠は、障害を抱える人を対象にした雇用枠です。

障害者雇用枠で就職すれば、ADHDを公表する形で就職できるため、さまざまな配慮を得ながら働くことが可能です。

職種や収入など、一般枠と比べれば制限もありますが、働きやすさという点で大きなメリットがあります。

ADHDに特化した転職エージェントを利用

転職する際に転職エージェントを利用する方も多いのではないでしょうか。

転職エージェントの中にはADHDに特化した転職エージェントがあり、こちらの利用がおすすめです。

ADHDの人が利用することを想定し、サポート体制も充実しています。

キャリアアドバイザーからの指摘なども的確に行われるので、安心です。

ADHDの方が退職した際に受け取れる手当は?

ADHDの方が会社を退職する際には、さまざまな手当てが受け取れる場合があります。

ADHDが原因で、治療を行っている状態で退職をした場合などに、特別な手当を受け取れる可能性がある手当が中心です。

本項目では、それぞれの手当について解説します。

傷病手当金

傷病手当金は、病気やケガを理由に休職を余儀なくされた場合に受け取れる手当です。

ADHDやそれに起因する精神疾患の治療などで休職し、その期間中に退職した場合、継続して受け取り続けることができます。

ですので、精神疾患などの治療をしている場合には、安定するまで傷病手当金を受け取り続けることが可能です。

失業保険

失業保険は、雇用保険の加入期間に応じて受け取れる手当です。

一定期間加入していれば、最低でも90日分の失業保険を受け取れます。

ADHDとは別に精神疾患もあり、それが理由で退職した場合には特定理由離職者として、給付制限がない形で受け取ることもできます。

まとめ

本記事では、ADHDの人が仕事を辞める際にどうすればいいかについて解説してきました。

最後に今回ご紹介した内容を振り返ります。

  • ADHDの特性を理解して自己分析などを行い、転職活動に備える
  • ADHDを理由に退職する場合も、退職する流れは通常と変わらない
  • ADHDの人をサポートする支援制度・公的制度の活用が重要

ADHDになる人は増えており、むしろ大人になって診断を受けてから安心したという方も少なくありません。

ADHDは1つの個性であり、特性を理解した形で仕事に臨むことが求められます。

そのためにも、自分の特性を理解して入念な準備を行って転職活動を行いましょう。