今月の15日で退職しようかと考えたとき、社会保険料が二重にかかるのではないかと不安に感じる方は少なくありません。
月の途中で退職すると、厚生年金保険や健康保険の扱いが月末退職と変わり、国民健康保険や国民年金への切り替えが必要になります。
本記事では、15日付け退職で社会保険料が『二重負担』のように見える仕組みと、月末退職との具体的な違いを整理して解説します。
あわせて15日付け退職のメリット・デメリットや、退職後に必要な手続きの流れも紹介します。
退職日を決める前に、ぜひ参考にしてください。

15日で辞めたら社会保険料が二重にかかるって本当なの?

退職日を間違えたら保険料で損しそうで、今から不安になります
本記事では上記の疑問やお悩みなどにお応えします。
- 15日付け退職が「二重負担」と言われる理由の仕組み
- 月末退職と15日付け退職での保険料の違い
- 給与から保険料が2か月分控除されるケースの条件
- 国民健康保険・国民年金への切り替え手続きの流れ
- 扶養や賞与への影響を踏まえた退職日の判断ポイント
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15日付け退職とは?月末退職との違いをまず整理
15日付け退職とは、月の途中である15日を退職日とする働き方のことです。月末に退職する場合と比べて、社会保険料が発生する月や給与から控除される金額が変わる点が大きな違いです。
健康保険・厚生年金保険の資格喪失日は、退職日の翌日と定められています。15日付けで退職した場合、資格喪失日は16日です。
一方、月末である31日に退職した場合は、資格喪失日は翌月1日になります。このたった1日のずれが、退職月の保険料の扱いや手取り額に影響します。
例えば同じ月に退職する場合でも、15日付けか月末付けかによって、退職月の給与明細に記載される保険料の金額が変わってくることがあります。
次の章では、なぜ15日付け退職が『社会保険料の二重負担』と言われることがあるのか、その仕組みを詳しく見ていきます。

15日付け退職で社会保険料が「二重負担」と言われる仕組み
結論から言うと、厚生年金保険料と国民年金保険料が同じ月に二重に課される制度にはなっていません。負担が重なって見えるのには、いくつかの理由があります。
資格喪失日と保険料が発生する月の原則
社会保険料は日割りではなく、被保険者資格を取得した月から、資格を喪失した日の属する月の前月まで発生する仕組みになっています。
15日付け退職の場合、資格喪失日は16日で退職日と同じ月です。そのため、退職月分の厚生年金保険料・健康保険料は発生しません。
この点だけを見ると、15日付け退職は保険料の負担が軽くなるようにも見えます。次のH3で、なぜそれでも『二重負担』という言葉が使われるのかを見ていきます。
給与天引きが「前月分」であることが二重に見える理由
健康保険料の給与天引きは、法令上当月の給与から控除できるのは前月分の保険料と定められています。
月の途中で退職した場合は、前月分の保険料のみを退職月の給与から控除します。一方、月末に退職した場合は、前月分と退職月分の2か月分をまとめて退職月の給与から控除できるとされています。
具体的には、3月31日付けで退職すると、3月の給与からは2月分と3月分の保険料がまとめて控除されることがあります。一方、3月15日付けで退職すると、3月の給与から控除されるのは2月分のみです。
この『2か月分がまとめて引かれる』タイミングが、月末退職者にとって手取りが大きく減る要因になり、『二重に取られた』という印象につながりやすいと考えられます。
同月に厚生年金と国民年金の保険料が重ならない理由
健康保険法では、資格を喪失した月の保険料は算定しないと定められています。
15日付け退職の場合、退職翌日の16日に厚生年金保険の資格を喪失すると同時に、国民年金第1号被保険者の資格を取得します。そのため、退職月からは国民年金保険料の対象になります。
厚生年金保険料が発生しない月に国民年金保険料が発生する形になるため、同じ月に両方の保険料が重なって発生することはありません。
- 給与天引きが前月分を当月に控除する仕組みのため、月末退職では退職月の給与から2か月分がまとめて引かれることがある
- 国民健康保険・国民年金の納付書が届くタイミングが、社会保険料の給与天引きと重なって見えることがある
- 厚生年金保険料と国民年金保険料が、同じ月に二重に発生する制度にはなっていない

15日付け退職と月末退職、保険料はどう変わる?
15日付け退職と月末退職では、退職月の厚生年金保険料・健康保険料が発生するかどうかが変わります。それぞれのケースを整理します。
15日付け退職の場合
15日に退職すると、資格喪失日は翌16日で退職日と同じ月です。そのため、退職月分の厚生年金保険料・健康保険料は発生しません。
一方で、16日から国民年金第1号被保険者の資格を取得するため、退職月から国民年金保険料の対象になります。国民年金保険料は自分で納付する必要があります。
また、退職月に支給される賞与については、月末退職の場合を除いて社会保険料の控除対象になりません。
月末退職の場合
月末である31日に退職すると、資格喪失日は翌月1日になります。この場合は退職月分の厚生年金保険料・健康保険料が発生します。
給与からの控除も変わり、前月分と退職月分の2か月分が最終給与からまとめて控除されることがあります。
国民年金への切り替えは翌月1日からになるため、退職月については引き続き厚生年金保険の対象です。退職月に賞与が支給される場合は、月末退職であれば保険料控除の対象になります。


15日付け退職のメリット
15日付け退職には、退職月の給与手取りが一時的に増えやすいといった利点があります。
退職月の給与から社会保険料が控除されないことによる手取り増
前述のとおり、15日付け退職では退職月分の厚生年金保険料・健康保険料が発生しません。そのため、退職月の給与からは前月分のみが控除され、通常月より天引きが少なくなる場合があります。
ただし、雇用保険料や所得税・住民税などは別に控除されるため、手取り額の増え方は個々の給与条件によって異なります。
転職先の入社日に合わせやすい
転職先の入社日が月の途中に設定されている場合、15日付け退職であれば空白期間を短くしやすいという面があります。
有給休暇が残っている場合は、退職日までに消化のスケジュールを調整できるかどうかもあわせて確認しておくとよいでしょう。
ただし、社会保険の切り替えタイミングは転職先の入社日と資格取得日によって変わるため、事前に転職先の担当部署へ確認しておくと安心です。
15日付け退職のデメリット・注意点
一方で、15日付け退職には切り替え手続きの手間や保険料の自己負担など、気を付けておきたい点も複数あります。
国民健康保険・国民年金への切り替えが必要になる
転職先が決まっていない場合、退職日の翌日から14日以内に、国民年金第1号被保険者への切り替えを住所地の市区町村窓口で行う必要があるとされています。
国民健康保険についても、加入や脱退の手続きは14日以内に市町村の窓口で行う必要があるとされています。届出には離職票やマイナンバーカードなどが必要になる場合があるため、事前に窓口へ確認しておくと安心です。
保険料が全額自己負担になる
会社に在籍している間は、社会保険料を会社と折半で負担しています。退職後に国民健康保険・国民年金へ切り替えると、労使折半がなくなり、保険料は全額自己負担になります。
国民年金保険料は1か月あたり17,920円(令和8年度)とされ、納付期限は納付対象月の翌月末日です。国民健康保険料は世帯単位で算定され、金額や算定方法は市町村ごとに異なります。
賞与や各種手当の対象から外れるリスク
賞与から社会保険料を控除できるのは、月末退職の場合を除いて対象にならないとされています。
会社によっては、賞与の支給日に在籍していることを支給条件としている場合もあるため、退職日を決める前に勤務先の賞与規定を確認しておくと安心です。
扶養に入る場合は退職日の決め方に注意
退職後に配偶者の扶養に入ることを検討している場合は、年収要件などの条件を踏まえて退職日を決める必要があります。
扶養の認定基準は加入している健康保険組合によって異なる場合があるため、事前に配偶者の勤務先や加入先の健康保険組合に確認しておくことをおすすめします。
- 転職先が決まっているか、入社日はいつか
- 国民健康保険・国民年金への切り替え手続きができる状態か
- 配偶者の扶養に入る予定があるか
- 退職月に賞与の支給予定があるか

退職後に必要な手続きと期限
転職先が決まっていない場合、退職後は期限内に複数の手続きを済ませる必要があります。
国民健康保険への切り替え
国民健康保険への加入手続きは、14日以内に住所地の市町村窓口で行う必要があるとされています。手続きには離職票やマイナンバーカードなどが必要になる場合があります。
国民年金第1号被保険者への切り替え
退職日の翌日から14日以内に、住所地の市区役所または町村役場で国民年金第1号被保険者への切り替えを届け出ます。
基礎年金番号通知書等とマイナンバーカード等が必要です。国民年金保険料は1か月あたり17,920円(令和8年度)で、納付期限は納付対象月の翌月末日です。
健康保険任意継続という選択肢
国民健康保険以外に、それまで加入していた健康保険を任意継続する方法もあります。退職日の翌日から20日以内に、協会けんぽの都道府県支部(健保組合加入者は健保組合)へ申請します。
申請すると、退職日の翌日から2年間、引き続き健康保険に加入できます。ただし保険料は全額自己負担になります。

ケース別に見る15日付け退職の損得判断
15日付け退職が向いているかどうかは、転職先の有無や家族の状況によって変わります。
転職先が決まっている場合
転職先の入社日が決まっている場合は、社会保険の空白期間を短くしやすい傾向があります。転職先の入社日に合わせて、社会保険の資格取得日を確認しておくと安心です。
入社日によっては、国民健康保険や国民年金への切り替え手続きが不要になることもあるため、転職先の担当部署に確認しておきましょう。
転職先が未定の場合
転職先が未定のまま15日付けで退職する場合、国民健康保険・国民年金への切り替え手続きや、保険料の全額自己負担への備えが必要です。
あわせて、失業保険(基本手当)の受給手続きも早めに検討することをおすすめします。手続きの順序や必要書類は状況によって異なる場合があります。
配偶者の扶養に入る予定がある場合
配偶者の扶養に入る予定がある場合は、年収要件や扶養認定のタイミングを踏まえて退職日を検討する必要があります。
退職日によって扶養に入れる時期が変わる場合があるため、早めに配偶者の勤務先や健康保険組合に相談しておくと安心です。
よくある質問
- 15日付け退職と月末退職、どちらが得ですか?
- 一概にどちらが得とは言えず、退職後すぐに転職するかどうかや、扶養に入る予定の有無によって変わります。
15日付け退職は退職月の厚生年金保険料・健康保険料が発生しない一方、国民健康保険や国民年金への切り替えが必要になる場合があります。月末退職は退職月まで会社の社会保険に加入できますが、退職月の給与から前月分と退職月分の保険料がまとめて控除されることがあります。
自分の状況に当てはめてどちらが合っているかを確認することをおすすめします。
- 15日付け退職だと本当に社会保険料が二重にかかりますか?
- 制度上、厚生年金保険料と国民年金保険料が同じ月に二重に課されるわけではありません。
『二重負担』のように感じられるのは、給与天引きが前月分を当月に控除する仕組みであることや、退職後に届く国民健康保険・国民年金の納付書のタイミングが重なって見えることが主な理由とされています。
- 国民健康保険と国民年金の手続きはいつまでにすればいいですか?
- 国民年金第1号被保険者への切り替えは、退職日の翌日から14日以内に住所地の市区町村窓口で手続きするとされています。
国民健康保険についても、加入や脱退の手続きは14日以内に市町村の窓口で行う必要があるとされています。期限を過ぎても手続き自体は可能ですが、早めに済ませておくと安心です。
- 健康保険の任意継続と国民健康保険はどちらを選べばいいですか?
- 任意継続被保険者制度を利用する場合は、退職日の翌日から20日以内に申請すると、退職日の翌日から2年間、引き続き健康保険に加入できます。
ただし任意継続・国民健康保険のいずれも保険料は全額自己負担になります。保険料の見込み額は加入している健康保険組合や住んでいる市区町村によって異なるため、それぞれの窓口で確認したうえで比較検討する必要があります。
- 退職月に賞与が出る予定がある場合、15日付け退職は不利になりますか?
- 賞与から社会保険料を控除できるのは、月末退職の場合を除いて対象にならないとされています。
そのため15日付けなど月の途中で退職する場合、退職月に支給される賞与からは社会保険料が控除されない扱いになります。あわせて、賞与の支給日に在籍していることを支給条件としている会社もあるため、勤務先の賞与規定を事前に確認しておくと安心です。
まとめ
15日付け退職では、退職月分の厚生年金保険料・健康保険料が発生しない一方、退職月から国民年金保険料の対象になります。
厚生年金保険料と国民年金保険料が同じ月に二重に課される制度にはなっていません。負担が重く見えるのは、給与天引きのタイミングや納付書が届く時期が重なって見えることが主な理由です。
最後に、今回解説した内容を振り返ります。
- 15日付け退職は退職月分の厚生年金保険料・健康保険料が発生しない
- 月末退職は退職月分まで保険料が発生し、給与から2か月分がまとめて控除される場合がある
- 退職後は国民健康保険・国民年金への切り替えや任意継続の検討が必要
- 保険料はいずれも全額自己負担になる
退職日によって保険料の発生タイミングや自己負担額は変わります。転職先の有無や家族の状況を踏まえて、余裕を持って退職日を検討することをおすすめします。

退職日によって社会保険料の負担感や手取りの変化は人それぞれです。自分の場合はどうなるか、LINEの無料診断で失業保険や給付金の対象かどうかの目安を確認してみるのも一つの方法です。


