昨今、会社でのパワハラが問題視されており、ネット上でパワハラの存在を暴露して騒動になるケースも増えてきました。
万が一パワハラを受けた場合、ハローワークに相談を行うことで自己都合退職ではなく会社都合退職で辞められるメリットが生じます。
またハローワーク以外にもパワハラの相談が行える場所があり、ネット上で暴露しないで済む方法はたくさんあるのです。
この記事ではハローワークで行うパワハラ相談を中心に、会社都合退職に変えてもらう流れなどをご紹介します。
ぜひ最後までご覧ください。
ハローワークにパワハラの相談するメリットは?
ハローワークでパワハラ相談を行うメリットには、自分の意思で会社を辞めても会社都合退職の形で処理してもらえる点が挙げられます。
なぜ会社都合退職に切り替えられるのか、その理由や自己都合退職と会社都合退職の違いについてご紹介します。
場合によっては自己都合退職から会社都合退職に変更できる
ハローワークにパワハラ相談を行うことで、自己都合退職ではなく会社都合退職に変更できる場合があります。
失業保険の手続きの際、退職した会社は離職証明書を発行しますが、会社側がパワハラの事実を認めていなければ自己都合退職であると記載されているでしょう。
このまま手続きを行えば、パワハラを受けたのに労働者に不利な自己都合退職の扱いで進んでしまいます。
そこで、事前にハローワークにパワハラ相談を行うことでたとえ自己都合退職と離職証明書に記載されていても、ハローワークの判断で会社都合退職に変更できる場合があります。
自己都合退職と会社都合退職の違い
自己都合退職と会社都合退職の決定的な違いは、給付制限と給付日数の違いです。
自己都合退職の場合、7日間の待期期間と原則2か月間の給付制限を経て失業保険の給付が開始されます。
もしも会社都合退職退職であれば7日間の待期期間の後に、すぐ失業保険の給付が始まる形になり、およそ2か月の違いが。
給付日数に関しても自己都合退職であれば最大150日ほどの給付日数しかありませんが、会社都合退職であれば最大330日まで延ばせます。
失業保険全般の相談も受け付けています
ハローワークでパワハラ相談をして退職理由を変更する流れ
ハローワークでパワハラ相談を行い、会社都合退職に変更してもらう流れは以下の通りです。
- 退職理由を整理する
- パワハラ被害の証拠を集める
- 従業員2人以上の証言
- パワハラの録音データ
- ケガがある場合は写真
- 日記などの記録
- 申請が通らなくても再度申請が可能
ここからは変更までの流れをご紹介します。
退職理由を整理する
まずハローワークに相談を行う際、なぜ退職に至ったのか、その経緯をまとめることから始まります。
ハローワークから離職理由説明書などの書類を渡され、パワハラの具体的な内容を書き、それをハローワークが審査。
できる限り詳細に書くことでパワハラで会社を辞めるに至った経緯が伝わりやすくなります。
パワハラ被害の証拠を集める
パワハラの内容をまとめたら、次はパワハラ被害を立証できる証拠を集めていきます。
パワハラの事実は被害者側に立証責任があり、客観的にパワハラがあったと判断するには、確実な証拠がなければなりません。
逆に証拠がないと、虚偽の申告で会社都合退職にしようとしているのではないかとハローワーク側に疑われるため、証拠は重要です。
従業員2人以上の証言
パワハラ被害の証拠でポイントになるのが、従業員2人以上の証言を得ること。
2人以上の証言を得ることで、パワハラ被害が確かに存在したと判断しやすくなります。
まだその会社で働いている人にお願いするのは難しいという場合は、退職している元従業員の証言でも問題ありません。
パワハラの録音データ
実際にパワハラを受けた時の録音データがあれば、より信憑性が増します。
不当な命令を受けたり、過度な叱責、人格を否定する発言があったりした時に備え、ICレコーダーなどを用意し、録音をしておきましょう。
録音データがあることで、言った言わないの水掛け論を回避できます。
ケガがある場合は写真
上司などから殴られた場合など、殴られてケガをしている様子を写真に収めておくこともパワハラ被害の証拠となります。
写真のほか、診断書まであれば、ケガをした事実を客観的に証明することが可能です。
パワハラの際に暴力を受けたら、速やかに病院に駆け込み、写真を撮影した上で診断書まで用意しておくことをおすすめします。
日記などの記録
パワハラの証拠として日記などの記録も活用できます。
日記はパワハラを受けた時だけ書くのではなく、日々のことを書いていきながらパワハラを受けたらそのことも書いていく形がいいでしょう。
またスマホにあるメモ帳も活用していくことで、証拠としての価値が出てきます。
申請が通らなくても再度申請が可能
ハローワークに対し、パワハラ相談を行っても最初はパワハラの事実を認めてくれないことがあります。
証拠が不十分であることがほとんどで、最初に用意した証拠ではパワハラがあったと断定できないのです。
一方で申請が通らない場合も、最初の判断が下された日の翌日から3か月以内に、改めて証拠をまとめてから再申請をすることも可能。
再申請で再び証拠を見てもらい、晴れてパワハラの事実が認められ、失業保険が早期にもらえる形になります。
ハローワーク以外のパワハラ相談の窓口
ハローワーク以外にもパワハラ相談が行える窓口はいくつか存在します。
- 総合労働相談コーナー
- 労働相談センター
- 労働条件相談ほっとライン
- みんなの人権110番
- 法テラス
ハローワーク以外のパワハラ相談の窓口についてご紹介します。
総合労働相談コーナー
総合労働相談コーナーは、各都道府県の労働局にある相談窓口です。
パワハラに限らず、労働に関することならどんな相談にも対応しており、対面もしくは電話で相談が受けられます。
相談自体は無料で、会社側に法律違反の疑いがあれば、労働基準監督署などが取り次いでくれることも。
予約の必要はなく、秘密も守られるので安心して相談することができます。
労働相談センター
労働相談センターは各自治体が用意している労働相談窓口です。
労働局にある総合労働相談コーナーと似ていますが、夜まで対応している自治体や弁護士との特別労働相談を実施している自治体などもあります。
一方、総合労働相談コーナーのように労働基準監督署などとつながっておらず、調査や指導は行われないため、あくまでも相談とアドバイス、情報提供に限られます。
労働条件相談ほっとライン
労働条件相談ほっとラインは厚生労働省が民間の企業に委託し、労働基準監督署などが閉まっている土日祝日などに相談ができる窓口です。
パワハラのほか、セクハラやマタハラなどにも対応しています。
またフリーダイヤルとなっているため、安心して電話で相談が行えます。
日本語のほか、英語や中国語など様々な言語に対応しているのも特徴的です。
みんなの人権110番
みんなの人権110番は、法務局で行っている相談電話の取り組みです。
最寄りの法務局につながり、法務局の職員や人権擁護委員が対応し、場合によっては窓口での面談も行えます。
電話の後、職員などが調査を行い、仮に人権侵害が認められれば何らかの救済措置が取られることも。
後日、調査や救済措置の対応の様子が聞けるほか、アフターケアまで行ってもらえるのも特徴的です。
法テラス
法テラスは国が設置した法的トラブルを解決するための案内所で、パワハラなど労働関係のトラブルも対応します。
何度でも、匿名で利用することができ、適切なアドバイスがもらえます。
またパワハラに関して法律相談を受けたい場合、経済的に厳しくても無料で法律相談が受けられるほか、弁護士費用などの立て替えも法テラスが行うのが特徴。
すぐさまパワハラの状況を何とかしたい方にとっておすすめです。
失業保険全般の相談も受け付けています
まとめ
今回はハローワークでのパワハラ相談に関する情報を中心にご紹介してきました。
改めて今回ご紹介した内容を振り返ります。
- ハローワークでパワハラ相談を行うことで会社都合退職に変更できる場合がある
- 自己都合退職と会社都合退職では2か月の給付制限の有無や給付日数の違いが大きい
- 会社都合退職に変更するにはパワハラ被害の証拠が欠かせない
- ハローワーク以外にもパワハラ相談の窓口はいくつもある
会社でパワハラを受けた場合、その時点で今回ご紹介した相談窓口に相談することをおすすめします。
どんな証拠が必要なのかを事前に聞くことで、会社都合退職への変更がスムーズに行くからです。
パワハラを耐える必要は一切なく、これはおかしい!と思ったらすぐにアクションを起こしましょう。