自己都合退職の失業保険を徹底解説!いつから?金額は?すぐもらえる条件も紹介

「自己都合退職だと失業保険はいつからもらえるの?」と疑問に持った方も多いのではないでしょうか。

また、「自己都合退職って失業保険はいくらもらえるの?」と金額などに関心を抱く方もいるはずです。

結論から言いますと、自己都合退職の場合、会社都合退職と比べてもらえる期間は短く、給付制限もあります

そこで今回は、自己都合退職の失業保険について、退職サポーターとして年間数千人の退職支援を手掛ける私が、自己都合退職の失業保険全般、特に失業保険の条件や金額のことなどをわかりやすく解説します。

これを知れば、自己都合退職で辞めることになっても、失業保険に関する知識がある状態で辞められるので、辞めてからの対応がしやすくなりますよ。

自己都合退職の場合、失業保険をもらえる?条件は?

結論から言いますと、自己都合退職の場合でも失業保険はもらえます

自己都合退職の場合に失業保険がもらえる条件は以下の通りです。

自己都合退職の場合に失業保険がもらえる条件
  • 失業状態にある
  • 退職日以前2年間のうちに、雇用保険の加入期間が通算12か月以上

まず働く意思があり、心身ともに健康で積極的に仕事を探している「失業状態」であることが重要です。

その上で、退職日以前2年間のうち、雇用保険の加入期間が通算12か月以上であることが求められます。

この2つの条件を満たすことで失業保険を受給できます。

自己都合退職の場合、失業保険はいつからもらえる?

自己都合退職の場合には、失業保険を実際に受け取るのに時間がかかります

待期期間として7日間あるほか、待期期間後に給付制限の期間が設けられているためです。

給付制限の期間はおおむね2か月ですが、5年間のうちに3回も自己都合退職を繰り返すと給付制限の期間が3か月に延びます。

また懲戒解雇などで離職したケースは「重責解雇」となり、最初から給付制限の期間が3か月となるので注意です。

このため、実際に失業保険をもらえるのは、最低でも3か月はかかり、場合によっては4か月以上かかってしまいます。

その間は無給なので、事前に貯金を作っておくなどの対策が求められるでしょう。

自己都合退職の場合、失業保険でもらえる金額はいくら?

自己都合退職、会社都合退職に関係なく、失業保険は「基本手当日額×給付日数」で支給されます。

基本手当日額は「賃金日額×給付率」で決まります。

給付率は退職時の年齢や賃金日額で変化し、45~80%の範囲で設定され、賃金が少なければ少ないほど給付率が高くなる仕組みです。

基本手当日額は物価上昇などの影響もあり、年単位で変更が行われているので確認が必要です。

またもらえる金額は給付日数にも左右されます。

自己都合退職の場合、雇用期間加入10年未満なら90日、10年以上20年未満なら120日、20年以上なら150日となります。

全年齢共通なので、若い世代のほとんどは自己都合退職の場合だと90日間もらい続けることが可能です。

自己都合退職と会社都合退職の違いは?

ここからは自己都合退職と会社都合退職の違いについてご紹介します。

辞め方によって失業保険をもらい始めるタイミングももらえる金額にも大きな違いがあります。

失業保険をもらい始めるタイミングの違い

自己都合退職の場合は2か月ないし3か月の給付制限の期間があり、最低でも3か月半はかかります。

しかし、会社都合退職の場合はこの給付制限がありません

そのため、待期期間の7日を経て4週間後に訪れる失業認定を受け、そこから1週間程度で失業保険がもらえます。

会社都合退職であれば1か月半で失業保険をもらい始めることが可能です。

もらい始めるタイミングだけを見ても、自己都合退職と会社都合退職で大きな違いがあります。

失業保険をもらえる金額(期間)の違い

自己都合退職と会社都合退職の違いは、もらえる金額・期間の違いにも出ています。

自己都合退職は全年齢でまとめられていますが、会社都合退職の場合は年齢別で5段階に分けられちており、違いは明らかです。

しかも、雇用保険の加入期間の分類も5段階あり、1年未満・1年以上5年未満・5年以上10年未満・10年以上20年未満・20年以上に分けられています。

例えば勤続9年で辞めた場合、自己都合退職であればどの年代の方も90日分の失業保険しか受け取れません。

ところが、会社都合退職ならば30日未満でも120日、多くの世代は180日、45歳以上60歳未満に至っては240日もらえます。

つまり、自己都合退職と会社都合退職で、最大150日分の違い、最小でも30日分の違いがあるのです。

1日6,000円の基本手当日額だった方は、最小18万円、最大90万円の差となってしまいます。

自己都合退職で失業保険をもらうまでの流れ

自己都合退職をしてから失業保険までの流れをご紹介していきます。

  1. 必要な書類を準備する
  2. ハローワークで手続きをする
  3. 雇用保険説明会へ参加する
  4. 7日間の待期期間を過ごす
  5. 指定された初回の認定日にハローワークへ行く
  6. 2回目以降の認定日までに毎回求職活動を2回行いハローワークへ行く
  7. 2ヶ月間の給付制限後、失業保険が振り込まれる

①必要な書類を準備する

まずは必要な書類を準備しますが、必要書類は以下の通りです。

  • 離職票
  • マイナンバーカードや住民票の写しなど
  • 免許証などの本人確認書類
  • 写真2枚
  • 通帳またはキャッシュカード

また自己都合退職ながら、体調を崩して辞めた場合には診断書を持参することで特定理由離職者にしてもらえる場合があります。

②ハローワークで手続きをする

上記の書類を持ってハローワークで手続きを行います。

離職票で自己都合退職と記載されている場合でも、異議を主張し証拠を提示することでハローワークが特定理由離職者に変えてくれることがあります。

ですので、自己都合退職の処理を会社側がしても心配はいりません。

③雇用保険説明会へ参加する

ハローワークで失業保険の申請を行い、受給資格が決定すると雇用保険説明会に参加します。

雇用保険説明会の初回は参加必須であり、「雇用保険受給資格者証」や「失業認定申告書」が渡されます。

雇用保険説明会に参加することで失業認定に必要な1回分の求職活動実績がカウントされるため、あとは初回認定日までに1回分の求職活動をすれば大丈夫です。

④7日間の待期期間を過ごす

初回認定日までに7日間の待期期間があります。

この待期期間中は給料を得るような活動はできないので注意が必要です。

また会社都合退職であっても7日間の待期期間は必須となります。

⑤指定された初回の認定日にハローワークへ行く

雇用保険説明会に参加したら初回の認定日が伝えられるので、初回の認定日までに求職活動をあと1回行えば失業状態と認定されます。

所定の書類に求職活動を記載し、書類の提出を行えば失業の認定を受け、失業保険が振り込まれる形です。

うっかり忘れてしまうと次の認定日まで待たなければならないので、絶対に行きましょう。

初回認定日に求職活動してない!雇用保険説明会に参加するだけでOKです

⑥2回目以降の認定日までに毎回求職活動を2回行いハローワークへ行く

失業認定は4週ごとに行われるので、4週間の間に2回分求職活動実績を重ねていきます。

求職活動実績は求人の応募、セミナーの参加、ハローワークでの相談など様々な形でカウントされます。

また求人サイトを通じた応募も活動実績となるので、効率よく求職活動実績を重ねていくことも可能です。

失業保険をもらうために求職活動実績を作る方法は?実は就職相談だけでもOK! 失業保険をもらうために求職活動実績を作る方法は?実は就職相談だけでもOK!【裏ワザあり】

⑦2ヶ月間の給付制限後、失業保険が振り込まれる

自己都合退職の場合は、2か月間の給付制限がありますが、その間も求職活動を行わないといけません。

2か月間の給付制限が終わってからようやく失業保険がもらえるようになります。

再就職手当をもらうために給付制限の間にめぼしい転職先を見つけておくという手も可能です。

ハローワークでの失業保険の手続きの条件は?必要書類や金額を詳しく解説

自己都合退職でも失業保険をすぐにもらえる条件は?

自己都合退職の場合は基本的に2か月間の給付制限がありますが、すぐに失業保険を受け取りたいという方もいるでしょう。

自己都合退職でもすぐに失業保険を受け取りたい方におすすめの方法をご紹介します。

特定理由離職者に該当すると自己都合でもすぐにもらえる

自己都合退職であっても、給付制限なしに失業保険を受け取るには特定理由離職者と認定される必要があります。

特定理由離職者とは、結果的に自己都合退職となったものの、働き続けることが困難になって辞めた離職者を指します。

会社から解雇されたわけではないものの、働き続けることが困難になって退職した人は特定理由離職者に該当することになるのです。

特定理由離職者に該当する条件

特定理由離職者に該当する条件ですが、以下の通りです。

  • 障害や病気、ケガなどで働くことが困難になった
  • 妊娠や出産などで離職した
  • 両親の死亡や疾病などの理由で退職を余儀なくされた
  • 配偶者や扶養家族と別居生活を続けることが困難になって離職した
  • 結婚や育児、交通機関の廃止などを理由に通勤不可能もしくは困難になった
  • 会社の希望退職者制度を利用して離職した
  • 有期雇用契約が満了となり、契約更新が行われずに離職した

疾病などを理由に退職した場合には医師の診断書を持参するなど、特定理由離職者に該当する証拠を提出することになります。

提出された証拠書類を踏まえて、実際に特定理由離職者に該当するかどうかをハローワークが判断します。

そこで該当すれば、給付制限なしで失業保険が受け取れるので、証拠は残しておきましょう。

タイトル画像 自己都合退職の場合でも失業保険をすぐにもらう方法を解説します 【最新】失業保険をすぐもらう最強裏ワザ!自己都合退職を会社都合に変える方法!【職業訓練を受けながらもらう方法アリ】

まとめ

今回は自己都合退職における失業保険の話題を中心にご紹介してきましたが、最後に今回紹介した内容を振り返ります。

  • 自己都合退職でも失業保険はもらえる
  • 自己都合退職では2か月ないし3か月の給付制限の後にもらえる
  • 会社都合退職の方がかなり多くの失業保険がもらえる
  • 給付制限なしでもらうには、特定理由離職者に該当する必要がある

多くの人は自己都合退職であり、手続きを進めていくことになりますが、給付制限の間は無給となります。

特定理由離職者に該当すれば給付制限なしで受け取れるなど恩恵もあるので、体調不良などで辞めた場合には診断書を事前に用意することをおすすめします。

そして、失業認定を得るためにも失業認定日を忘れず、すぐに再就職先を見つけるつもりで求職活動を行っていきましょう。