うつ病でも失業保険は300日もらえる?受給条件や傷病手当金との比較などを解説

うつ病になって辞めることになったけど、失業保険はもらえるの?」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。

また、「うつ病で辞めた場合、普通に辞める時と比べて何か違いはある?」と疑問に感じている方もいるはずです。

結論から言いますと、うつ病でも失業保険はしっかりともらえるほか、理由によっては給付制限がない状態で受け取ることが可能です。

そこで今回は、うつ病で退職した場合の失業保険について、退職サポートのサービスを多く手がけている私が、うつ病を理由に失業保険がもらえるケース・もらえないケースなどを解説します。

これを知れば、万が一うつ病になって退職する場合に、どのような対策を立てればいいかが分かりますよ。

この記事の内容はYouTubeでも解説しています!
この記事の内容はYouTubeでも解説しています!
これから退職を検討している方へ
  • 退職前から相談OK
  • 社労士が退職〜受給開始までの流れを整理
  • LINEで無料の受給診断ができます!
相談料無料
対応地域全国
受給可能額最大200万円

\“もらえる額”を把握して損を防ごう/

うつ病で就職困難者であれば300日失業保険がもらえる

結論から言いますと、うつ病で就職困難者と判断されれば、300日分の失業保険がもらえるケースがあります。

就職困難者が受け取れる失業保険の期間は以下の通りです。

年齢・被保険者期間1年未満1年以上5年未満5年以上10年未満10年以上20年未満20年以上
45歳未満150日300日300日300日300日
45歳以上65歳未満150日360日360日360日360日

被保険者期間が1年以上あれば、45歳未満で300日、45歳以上65歳未満で360日の失業保険が受け取れます。

45歳未満の場合、会社都合退職であっても300日分を受け取ることはできません。

また、45歳以上65歳未満に該当する方も、会社都合退職では最大330日分のため、就職困難者となれば、かなり手厚いことが言えます。

仮に1年以上5年未満の被保険者期間しかない30歳未満の人であれば、会社都合退職でも自己都合退職でも90日分しか受け取れないところ、3倍以上の給付期間となります。

うつ病で退職しても失業保険の扱いとは?

うつ病で退職した場合も、条件が合えば失業保険はもらえます。

  • 特定理由離職者
  • 就職困難者
  • 自己都合退職者

本項目では、うつ病で退職した場合の失業保険の扱いについてまとめました。

特定理由離職者

特定理由離職者とは、正当な理由によって自己都合で退職した人を指します。

例えば、体調不良や妊娠出産、家族の介護、通勤困難、契約期間満了などが該当し、その中にはうつ病などの精神疾患も含まれます。

特定理由離職者となれば、自己都合での退職であったとしても、会社都合退職と同等の扱いになるのが特徴です。

給付制限の免除のほか、給付日数が90~330日程度と増えること、退職前1年で雇用保険の加入期間が6か月以上あれば失業保険を受け取れることがメリットです。

就職困難者

就職困難者とは、何らかの障害を抱える人や保護観察中の人など、就職が困難とされる人を指します。

障害者として、身体障害者や知的障害者などがあり、この中には精神障害者も含まれ、うつ病も対象となっています。

就職困難者に該当すれば、会社都合退職よりも長い給付日数が確保され、45歳未満なら最大300日分、45歳以上65歳未満なら360日分を受け取れるのです。

給付制限もなく、大事をとりながら転職に向けた活動が行えます。

自己都合退職者

自己都合退職者は、自らの意思で会社を辞めた人を指します。

自己都合退職の場合、1ヶ月の給付制限があり、無収入の期間が生じてしまうのがネックとなっています。

実際に失業保険を受け取れるのは、2ヶ月も先となり、その間の収入をどうするかを考えなければなりません。

給付日数の少なさなどもあり、うつ病で辞めた場合にわざわざ自己都合退職で処理するメリットは少ないでしょう。

うつ病なら自己都合退職でもすぐに失業保険をもらえる?

うつ病を理由に退職する場合、自己都合退職もしくは会社都合退職という形になりますが、自己都合退職の場合、すぐには失業保険がもらえない場合があります。

本来自己都合退職の場合、給付制限が2か月あり、給付制限が終わるのを待たなければなりません。

しかし、自己都合退職の場合でも失業保険がすぐもらえることがあります。それは特定理由離職者になること。

ここからは失業保険がすぐもらえるケースについて解説します。

会社都合退職なら失業保険をすぐもらえる

うつ病の発症の理由が会社で長時間労働をさせられた場合や上司からのパワハラだった場合、会社側に責任があることから、会社都合退職になります。

会社都合退職となると「特定受給資格者」となるため、一般的な自己都合退職に科せられる給付制限期間がありません。

そのため、7日間の待期期間を過ぎれば失業保険がもらえます。

また会社都合退職であれば、失業保険がもらえる期間が延びるなど自己都合退職で辞める場合よりもプラスの面が多いのです。

特定理由離職者なら失業保険をすぐもらえる

一方、自己都合退職を余儀なくされても、特定理由離職者になることで給付制限がなくなります。

正当な理由があって自己都合退職になった場合、ハローワークが認めることで特定理由離職者の扱いを受けます。

実際にうつ病で辞めざるを得なかった場合、医師の診断書などをハローワークに持参して特定理由離職者の手続きを行いましょう。

この場合でも会社都合退職同様に、給付制限がなくなります。

うつ病でも求職活動は必要

うつ病で退職し、失業保険を受給する場合でも、原則として求職活動は必要となります。

失業保険を受け取る際には、「就職する意思」と「すぐに働ける状態」であることが求められるため、定期的な求職活動が必須です。

就職困難者に該当する精神障害者の場合、症状が安定してすぐに働ける状態にあることが条件となっており、求職活動をしないと受け取り続けることはできません。

働ける状態ではない場合、失業保険の受給期間を延長する手続きなどを行いましょう。

うつ病で退職して失業保険が受給できるケース

うつ病で退職した場合に失業保険を受給できるケースを以下にまとめました。

  • 特定理由離職者として認定された場合
  • 求職活動が可能な場合
  • 雇用保険の加入期間が最低6か月以上ある場合
  • 退職後すぐに傷病手当金を受け取らず、失業保険を優先する場合

自己都合退職で辞めたものの、原因がうつ病だった場合には、ハローワークで事前に説明を行い、医師の診断書などを用意すれば特定理由離職者として認定される可能性があります。

特定理由離職者であれば、雇用保険の加入期間は退職前1年間で最低6か月あればクリアするため、自己都合退職よりもハードルは下がります。

加えて、求職活動ができる状態であれば、失業保険は受給できます。

傷病手当金を受け取っていると失業保険を受け取れません。

ただし、傷病手当金を受け取らず、失業保険を受け取ると決断した場合には、失業保険の受給が可能です。

うつ病で退職して失業保険が受給できないケース

失業保険を受け取れないケースとして代表的なものを以下にまとめました。

  • 働く意思がない、または働ける状態ではない場合
  • 雇用保険の加入期間が不足している場合
  • 求職活動をストップしてしまった場合

失業保険は、働く意思と働ける状態にあることが大前提のため、うつ病の症状的に働ける状態になければ、失業保険を受け取れません。

体調の変化などもあって、求職活動をストップして、一定の実績を確保できなくなった場合も失業認定がなされず、給付を受けられなくなります。

また、雇用保険の加入期間が短い場合にも、失業保険の対象外となるため、要注意です。

自己都合退職の場合には、退職前2年間で加入期間が1年、特定理由離職者などは退職前1年間で加入期間が6か月をそれぞれ超えないといけません。

うつ病の回復と求職活動

失業保険を受け取るためには、まずはうつ病の回復が第一であり、働ける状態に戻すことが求められます。

求職活動は働ける状態になってから行うのが理想的であり、新しい職場で再発したり、悪化したりするリスクを減らせます。

本項目では、うつ病の回復と求職活動に関する情報を解説します。

うつ病経験者が働きやすい職場の見つけ方

うつ病経験者にとって働きやすい職場は、うつ病の再発や悪化が起こりにくい職場と言えます。

この場合、自分の症状や自分の特性に合った職場を選ぶことが大切です。

短時間勤務や在宅勤務など柔軟な働き方が行える職場が理想的であり、自分のペースで行える仕事もおすすめです。

また、ストレスになる要素が少なく、職場内でのコミュニケーションも濃密にならないような環境だと人間関係で苦労する心配をなくせます。

完全な回復が難しそうな場合でも、障害者雇用枠を活用することで、働き方に関してさまざまな配慮をしてもらった上で働けるようになります。

求職支援制度を利用する

うつ病から回復して働ける状態になったとしても、すぐ就職することに不安を覚える方もいるはずです。

まずはハローワークでの相談を活用するほか、地域障害者職業センターの活用もおすすめです。

地域障害者職業センターは自治体に設置されており、障害者職業カウンセラーが配置されているため、幅広い相談、アドバイスを受けられます。

求職支援制度を利用し、職業訓練や就労支援プログラム、カウンセリングなどを経て、徐々に職場復帰の準備を進めていくことが可能です。

また、就労移行支援事業所では、うつ病患者がスムーズに社会復帰・職場復帰ができるよう、ビジネスマナーの習得や職場体験などにチャレンジしてもらい、必要なスキルを身につけることができます。

幅広い求職支援制度を活用することで、無理のないペースでの再就職が可能になります。

再就職後の注意点

再就職後の注意点は、うつ病の再発や症状の悪化についてです。

うつ病が治ったからと、今までの遅れを取り戻そうとして気合が入り過ぎてしまい、オーバーワークになってしまってうつ病を再発するケースもあります。

そのため、無理をせず、適切な休憩をとりながら働くことはもちろん、困ったときには上司や同僚に相談することがポイントです。

また、自分自身で症状について判断をするのではなく、定期的な通院や服薬を続けていき、医師の指示を守りましょう

生活もあるため、いきなりフルタイムで働き始めるケースもありますが、最初のうちは、パートや契約社員から始めていき、徐々に働く時間や仕事の幅を広げていくのもおすすめです。

うつ病で退職した際に利用できる失業保険以外の支援制度

うつ病で退職した場合、失業保険も十分手厚い一方で、積極的に活用したい支援制度が存在します。

  • 傷病手当金
  • 障害年金
  • 生活保護
  • 労災保険

本項目では、失業保険以外にも活用できる支援制度についてまとめました。

傷病手当金

傷病手当金は、健康保険に加入している被保険者が病気やケガで働けなくなり、会社を休まざるを得なかった時に支給されるものです。

傷病手当金は基本的に健康保険に加入する会社員が対象となっており、自営業やフリーランスなどの国民健康保険加入者は対象外となります。

傷病手当金の支給条件は以下の通りです。

  • 業務外の病気やケガである
  • 仕事に就けない
  • 連続して3日間以上休み、4日目以降も就労不能である
  • 会社から給与の支払いがない

傷病手当金の1日の支給額は、「直近1年間の標準報酬月額の平均の30分の1」の3分の2にあたる額となっており、これに支給日数をかけたものが支給総額となります。

おおよそのイメージは毎月もらっている給与の3分の2程度と言えます。

傷病手当金は、支給開始から通算1年6か月間受け取れるのが特徴です。

退職前から傷病手当金を受け取っていた場合、退職後もそのまま受け取り続けることができます。

障害年金

障害年金は、国民年金や厚生年金に加入している時に障害を負ってしまい、日常生活や労働に制限がある場合に支給されます。

うつ病などの精神疾患も障害年金の対象となっており、1~3級まで用意されています。

障害基礎年金の受給要件は以下の通りです。

  • 国民年金加入期間である
  • 障害認定日に障害等級表に定める1級または2級に該当
  • 被保険者期間が保険料免除期間を合わせて3分の2以上

障害基礎年金の場合、1級で約104万円、2級で約83万円を受け取れる一方、障害基礎年金の3級は対象外となり、受け取れません。

障害厚生年金は1~3級まで受け取れるほか、障害基礎年金もセットで受け取れるのが特徴です。

障害年金は就労中でも一定の条件下で受給可能であり、基本的に亡くなるまで受け取り続けることができます。

また、等級が変化することもあり、その際には増額・減額などが行われます。

生活保護

生活保護は、病気や障害、失業などを理由に生活が苦しくなり、自力で最低限度の生活を維持できない人を対象にしたセーフティネットです。

収入や資産が一定以下で、親族などからの援助も期待できない場合に利用できます。

支給される金額は、住んでいる地域や世帯人数によって異なり、生活費・住宅費・医療費などが必要に応じて支給されます。

東京23区にお住まいであれば、単身世帯でおよそ13万円程度が支給されるほか、障害年金2級以上であれば、本来の生活保護費に「障害者加算」がプラスされる仕組みです。

他にも医療費の自己負担がないため、生活保護を受け取っている最中にしっかりと療養を行い、社会復帰を目指すことができます。

労災保険

労災保険は、傷病手当金と同様、病気やケガになって働けなくなった場合に利用できる制度です。

傷病手当金との決定的な違いは、病気やケガの原因が業務中もしくは通勤途中にあるかどうかです。

うつ病で働けなくなった場合も、仕事が原因であれば、労災保険の対象となります。

精神障害で労災認定をする際の要件を以下にまとめました。

  • 精神障害を発病している
  • 発病から遡って6か月間において、業務を理由とした強い心理的負荷が認められる
  • 業務以外での事象を理由とした心理的負荷などが認められない

長時間労働を理由にうつ病になった場合なども、労働基準監督署などが労働時間の調査などを行って労災保険の活用ができるかどうかを判断していきます。

労災認定を受ければ、療養給付と休業給付などが受け取れます。

療養給付は、治療や入院、通院などにかかった費用の実費がすべて労災保険から支払われます。

休業給付は、平均賃金の80%が補償されるため、傷病手当金よりも手厚さがあるのが特徴です。

傷病手当金の場合は支給開始から通算1年6か月という制限がありますが、労災保険の休業補償では制限はなく、症状があればいつまでも受け取れるようになっています。

よくある質問

失業保険とうつ病に関する内容を解説してきました。

最後に失業保険とうつ病に関連する「よくある質問」をまとめています。

うつ病で失業保険をもらったら再就職先にバレる?
結論から申し上げますと、バレることはありません。

普通に退職した人も失業保険をもらっており、どんな理由で失業保険をもらっているかは再就職先に知られるはずがないからです。

ただし、以前長期の休職で傷病手当金を受け取っていた場合は、傷病手当金が非課税のため、課税所得がかなり抑えられます。

源泉徴収票を提出する際、所得がやたらと少なかった場合に休職していたのでは?と思われる可能性が生じるのです。

とはいえ、あくまでも休職の事実がバレる可能性があるだけでうつ病がバレるわけではありません。
うつ病で退職する場合、失業保険と傷病手当金どっちが得?
結論から申し上げますと、傷病手当金の方がお得です。

失業保険の給付額は以下の計算式で算出できます。

離職前6か月の給与総額÷180=賃金日額
賃金日額×45~80%=基本手当日額

例えば、賃金日額が1万円で、30歳以上45歳未満の場合、基本手当日額の計算式に当てはめると6,102円となります。

毎月18万円程度、失業保険として支給されます。

次は傷病手当金です。

傷病手当金の給付額は以下の計算式で算出できます。
12か月の各標準報酬月額の平均÷30×3分の2=1日の支給額

例えば、平均が30万円だった場合、30万円÷30×3分の2なので、6,666円となります。

ですので、毎月だいたい20万円が傷病手当金として支給されます。

以上のことからも、傷病手当金の方がお得になることがわかります。
退職前から受給している傷病手当金は退職後ももらえる?
結論から申し上げますと、条件をクリアすれば退職後も傷病手当金がもらえます。

条件は以下にまとめました。

・健康保険の被保険者の資格を失った日の前日まで1年以上被保険者だった
・資格を失う際に傷病手当金の支給を受けていたもしくは受けられる状況だった

そもそも傷病手当金はケガや病気で休職する際に、本人や家族の生活を守るために支給されるものです。

退職前からもらっていた人はもちろん、本来受け取る権利があった人も退職後にその権利を行使しても問題ありません。

ちなみに、傷病手当金が支給されるのは、支給開始日から通算1年6か月までとなります。

傷病手当金を通算1年6か月になるまで受け取ってから、失業保険の申請を行うことも可能です。

まとめ

今回はうつ病で会社を辞めた際に失業保険をもらうケースなどを解説しました。

今回ご紹介したことを振り返ります。

  • うつ病で退職した場合も条件が合えば失業保険はもらえる
  • 働く意欲などがないと失業保険はもらえない
  • 会社都合退職や特定理由離職者ならば給付制限がない
  • 重いうつ病であれば就職困難者となり、最大150日・300日・360日分の失業手当がもらえる
  • 傷病手当金は通算1年6か月までもらえ、退職後も受け取れる
  • 傷病手当金と失業保険なら傷病手当金の方がお得になりやすい

うつ病になり、会社を辞めることになると家計をどうしていくかという不安が襲い掛かり、療養どころではなくなります。

しかし、傷病手当金や失業保険によって最低限の保障が行われる分、当面の間は安心して治療が行えるのです。

1人での手続きが難しい方は知り合いの方などに手伝ってもらい、しっかりと受け取れるようにしておきましょう。