近年、大人になってからADHDと診断される人が増えています。
集中力や段取りの難しさから、「仕事を辞めたい」と悩む方もいるのではないでしょうか。
ADHDの方が転職を目指す際、転職支援サービスや公的制度の活用を行っていくのがおすすめです。
また退職する際には衝動的には動かず、前もって入念に準備を重ねることも重要です。
本記事では、ADHDの方が仕事を辞めたいと感じた際にとるべき行動、注意点などをまとめました。
この記事でわかること
- ADHDの特性・仕事で感じる困難
- ADHDの人が転職する際のポイント・注意点
- ADHDの人が利用できる転職支援サービス・公的制度
- ADHDの人が退職時に受け取れる手当
ADHDとは?特性と仕事で感じる困難
ADHDは、注意欠陥・多動性障害と呼ばれており、種類は大きく分けて3つあります。
- 不注意優勢型→集中力欠如・忘れ物が多い・注意力散漫など
- 多動・衝動優勢型→落ち着きがない・衝動的な行動が多いなど
- 混合型→不注意・多動・衝動いずれの症状がある
上記の症状があり、仕事やプライベートに支障がある場合にはADHDの可能性があります。
ADHDの人はミスをしやすく自己肯定感が下がりやすいのが特徴です。
また、周囲とのコミュニケーションが難しくなることもあります。
ADHDだからといって必ずしもマイナスにはなりません。
一方で職種・業種・職場環境によっては悪影響につながることも考えられます。

ADHDの人が退職する流れ
ADHDの影響で、職場での人間関係などがうまくいかず、仕事が続けにくいと感じる方は少なくありません。
無理を重ねて体調を壊す前に、退職までの正しい流れや準備方法を知っておくことが大切です。
本項目では、退職に至るまでの流れについてまとめました。
ADHDなのか診断してもらう
「自分はADHDなのかも…」と思った方はまずADHDなのかを診断してもらうことがおすすめです。
ADHDを理由に退職する場合、医師の診断書が証拠となり、スムーズな退職につなげられます。
一方で、ADHDだからといって退職する必要はありません。
医師から対策を提案されることもあるため、不注意などでミスが多い方はまずは診断を受けることが大切です。
上司に相談
医師や家族との相談を重ねて、退職を検討し始めた場合、まず上司に相談を行います。
相談の際にはADHDであることを伝え、退職しようかどうか悩んでいることを正直に伝えるのも1つの手です。
会社によっては、ADHDであることを前提に、仕事量の調整などの対策を検討するケースがあります。
もしも、調整が難しそうであれば退職を視野に入れて準備を進めましょう。
退職の手続きをする
対策などを立てたものの、それでもうまくいかない場合には退職の手続きに入ります。
退職までの理想的な流れを以下にまとめました。
- 上司へ退職の報告をする
- 退職届の提出
- 引き継ぎ作業
- 必要書類の受け取り
- 貸与物の返却
上司への報告と退職届の提出を行ってから、同僚などに退職する旨を伝える形が理想的です。
有給の消化等
引き継ぎ作業を終えてから余っている有給休暇の消化などを行います。
現状残っている有給休暇の日数分をすべて消化するために、早い段階で退職届を出して準備を進めていくのが理想的です。
退職に向けて引き継ぎをスムーズに行うことが最優先なので、状況を見て判断しましょう。
できる限り消化してから退職日を迎えることで、身体的・精神的疲労を少しでもなくすことができます。
ADHDの人の転職ポイント・注意点
ADHDの特性が仕事に影響し、転職を考える方も増えています。
ただADHDの特性を理解せずに転職すると、再び同じ悩みを抱える可能性があります。
- 衝動的な転職を避ける
- 自己分析を徹底する
- 情報収集を怠らない
- 面接対策を万全にする
- 支援制度を活用する
本項目では、ADHDの人が転職活動をする際に気を付けておきたいポイントを解説していきます。
衝動的な転職を避ける
ADHDの特性に衝動的な行動が挙げられています。
衝動性によって、衝動的な退職のほか、衝動的に転職先を決めるケースが考えられます。
仮に勢いで転職先を決めても、入社後に後悔をする可能性が高く、再度同じような形で退職につながることも考えられます。
衝動的に退職や転職先を決めることは避けましょう。
どのような会社で働きたいかを考えて、できる限り計画的に転職活動を進めることが第一です。
自己分析を徹底する
転職活動を成功させるには、自己分析の徹底が欠かせません。
ADHDの特性としてマイナスの面がある一方、プラスの面もあり、大きな武器となり得ます。
自己分析の中で長所と短所を見極めて、転職活動につなげていきましょう。
情報収集を怠らない
転職活動を成功させるには、情報収集を怠らないことも大切です。
自分の条件にマッチした求人を探していき、長く働けそうな企業を多く見つけておくことが大切です。
障害者雇用なども視野に入れた転職活動をしていくためにも、情報収集の徹底は欠かせません。
面接対策を万全にする
転職活動を成功させるには、面接対策を万全にしておくことも大切です。
採用面接はぶっつけ本番だとなかなかうまくいきません。
面接をよりよいものにするため、幾重にも対策を重ねていく必要があります。
万全を期した形で面接に臨むことで、緊張することなく臨みやすくなるでしょう。
支援制度を活用する
ADHDの人は支援制度を活用していくことも視野に入れましょう。
支援制度は多岐にわたっており、障害などを抱えている方でも就労しやすい制度が充実しています。
支援制度については後程詳しく解説いたします。

ADHDをサポートする転職支援サービスと公的制度
「ADHDだけど転職はうまくいくだろうか」と心配している方もいるはずです。
支援サービスや公的制度を活用すれば、適性に合った職場探しや就職後のサポートを受けられます。
- 就労移行支援事業
- 障害者雇用枠
- ADHDに特化した転職エージェントを利用
本項目では、代表的な支援サービスや公的制度について解説します。
就労移行支援事業
就労移行支援事業は、就職に向けた訓練を重ねながら就職を目指す事業です。
元々障害者手帳を持つ人だけが利用できた制度でしたが、現在は診断書さえあれば利用できます。
トレーニングは幅広く用意されているので、その人が求めるスキルを磨いて、就労に向けた準備を進められます。
障害者雇用枠
障害者雇用枠は、障害を抱える人を対象にした雇用枠です。
障害者雇用枠で就職すれば、ADHDを公表する形で就職できます。
周囲の人からさまざまな配慮を得られるため、ストレスを減らして働けます。
職種や収入など、一般枠と比べれば制限があるものの、働きやすさという大きなメリットがあります。
ADHDに特化した転職エージェントを利用
転職エージェントの中にはADHDに特化した転職エージェントがあり、こちらの利用がおすすめです。
ADHDの特性を理解したキャリアアドバイザーとの面談で、理想的な職場が見つかりやすくなります。
キャリアアドバイザーからの指摘なども的確に行われるので、安心です。
ADHDの方が退職した際に受け取れる手当は?
退職を考える場合、どの手当が受け取れるか気になる方も多いでしょう。
ADHDが原因で、治療を行っている状態で退職をした場合など、特別な手当を受け取れる可能性がある手当が中心です。
本項目では、それぞれの手当について解説します。
傷病手当金
傷病手当金は、病気やケガを理由に休職を余儀なくされた場合に受け取れる手当です。
ADHDやそれに起因する精神疾患の治療などで休職、その期間中に退職した場合、継続して受け取れます。
精神疾患などの治療をしている場合には、安定するまで傷病手当金を受け取り続けることが可能です。
失業保険
失業保険は、雇用保険の加入期間に応じて受け取れる手当です。
一定期間加入していれば、最低でも90日分の失業保険を受け取れます。
ADHDとは別に精神疾患もあり、精神疾患が理由で退職した場合には特定理由離職者として、給付制限なしで受け取ることもできます。
以下の記事では、退職した際にもらえる給付金についてさらに詳しく解説しています。
ぜひ参考にしてください。
まとめ
本記事では、ADHDの人が仕事を辞める際にどうすればいいかについて解説してきました。
最後に今回ご紹介した内容を振り返ります。
- ADHDの特性を理解して自己分析などを行い、転職活動に備える
- ADHDを理由に退職する場合も、退職する流れは通常と変わらない
- ADHDの人をサポートする支援制度・公的制度の活用が重要
ADHDになる人は増えており、むしろ大人になって診断を受けてから安心したという方も少なくありません。
ADHDは1つの個性であり、特性を理解した形で仕事に臨むことが求められます。
そのためにも、自分の特性を理解して入念な準備を行って転職活動を行いましょう。



