退職引き止め違法について解説!違法になる事例や対処法も要チェック

本来労働者には退職の自由が認められており、例えば「何となく辞めたい」という理由でも辞めることは可能です。

しかし、様々な理由をつけて退職を認めようとしない企業が少なくありません。

結論から言いますと、退職を引き止める行為は違法です。

本記事では退職引き止めの話題を中心に、実際にある違法の事例や引き止めに遭遇した場合の対処法などを解説していきます。

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退職を引き止める在職強要とは?

退職した従業員を、会社側が無理やり引き止める行為を「在職強要」と言います。

在職強要とはどういう行為なのか、改めて解説します。

在職強要について

在職強要は文字通り、在職を強要する行為です。

従業員が退職の申し出をしたにも関わらず、退職を認めずに今の仕事を続けるように仕向ける行為が在職強要となります。

例えば、会社側が「就業規則で3か月前に退職を申し出ないと退職は認めない」と従業員に通告し、退職をさせないようにしたとします。

しかし、民法では退職の申し出を行った2週間後に退職することができることを定めているほか、就業規則よりも民法が優先されるのです。

そのため、「就業規則で決まっているから退職はできない」と伝えて退職を認めないのは在職強要と判断され、違法行為と言えます。

退職引き止め違法事例

実際にある退職引き止め、在職強要の違法事例は以下の通りです。

  • 退職届を受理しない
  • 有給休暇の消化を認めない
  • 損害賠償請求の話をしてくる
  • 懲戒解雇をすると言われる
  • 給与の支払いを放棄される
  • 人手不足を訴える

ここからはそれぞれの在職強要のケースについてご紹介します。

退職届を受理しない

退職の申し出から2週間後に退職が認められるという民法のルールがあります。

そのため、退職届を受け取らないことで、「退職の申し出はなかった」、「退職の話は知らない」と会社側がシラを切るケースが存在するのです。

実際には退職届がなくても退職そのものはできますが、退職届なしに強引に辞めるとのちにトラブルに発展する可能性があるため、注意が必要です。

有給休暇の消化を認めない

退職前に有給休暇の消化を行うことは認められており、本来拒むことができません。

しかし、業務の引き継ぎなどを理由に、退職前に有給休暇の消化をすることを拒もうとするケースがあります。

会社側が有給休暇の消化を拒めるのは「時季変更権」が行使できる場面ですが、「時季変更権」は別の時期に有給休暇を消化してもらう前提が欠かせません。

退職前の消化なので、別の時期に消化することは難しいため、「時季変更権」の行使は難しく、消化を認めない行為は違法行為と言えます。

損害賠償請求の話をしてくる

退職したら損害賠償を請求すると脅し、退職させないようにするケースが見られます。

しかし、労働基準法第16条において、労働契約の不履行で違約金などが生じることを禁止しています。

つまり、「退職したら損害賠償を請求する」行為は違法行為です。

一方で過去に従業員が会社に対して故意に損害を与えるなどの行為をしていれば、その行為に対する損害賠償は可能となります。

要するに「労働契約の不履行」に関する部分での損害賠償はできないということです。

懲戒解雇をすると言われる

退職すると言い出した従業員に、懲戒解雇にしてやると脅しをかけるケースもあります。

しかし、懲戒解雇には様々な要件があり、懲戒解雇にする合理的な理由などがなければ認められません。

リストラなど普通解雇と呼ばれるケースでも正当な理由がなければ認められず、恣意的な運用ができないようになっています。

少なくとも「退職の申し出」に対して懲戒解雇にする行為は合理的な理由があるとは言い難く、解雇権の濫用として、罰則の対象になります。

給与の支払いを放棄される

退職を申し出た従業員に対し、「給与を支払わない」と給与の支払いを放棄されるケースがあります。

この行為も法律違反となり、会社側にペナルティが与えられる行為です。

労働基準法第24条では、賃金は全額払わなければならないというルールが定められています。

いわば、給料の未払いは法律違反であり、しかも、退職の申し出を理由に給与の支払いを拒むのは明らかな法律違反です。

人手不足を訴える

人手が足りない、後任がいないなどの理由で、退職をもう少し待ってほしいと頼まれるケースがあります。

良心に訴えかける形で在職強要を行い、それでも退職の意思を貫けば、会社にダメージを与える人間というレッテルを、会社側は貼ろうとしがちです。

しかし、人手が足りない、後任がいないなどは会社側に落ち度があり、決して従業員側が被るべき責任ではありません。

ですので、退職の申し出をしてもそちらが優先されます。

退職を引き止められた場合の対処法

退職しないように引き止められた場合には様々な対処法が可能です。

以下が在職強要があった際に行える対処法となります。

  • 退職届を提出する
  • 退職代行や弁護士に相談する
  • 労働基準監督署に相談する

ここからは退職を引き止められた場合の対処法について解説していきます。

退職届を提出する

退職届を提出することで、会社側に退職届が渡された時点でその効力が生じます。

つまり、会社側に退職届が渡ってから2週間後に退職することが可能です。

会社側はそれが分かっているので、退職届を受け取らないようにして、退職の申し出があったことを知らなかったと出張しようとします。

この時に従業員側が行える方法が内容証明郵便で退職届を送付する方法です。

内容証明郵便は郵便物の中身を証明するもので、退職届が会社側に送付された事実を証明してくれます。

会社が内容証明郵便を受け取った時点で退職届が送付されたことになり、効力が生じるので2週間後に退職することができます。

退職代行や弁護士に相談する

在職強要があった場合におすすめなのが退職代行や弁護士の活用です。

会社側は様々な理由をつけて退職しないように求めてくるため、不安になってしまう人が多いでしょう。

しかし、退職代行や弁護士を活用すれば、法的な解決などを目指すことができます。

また当事者間で退職に関する話し合いをしても、感情的な対立をしやすく、話が先に進まない恐れがあります。

そのため、弁護士など第三者を介することで冷静な話し合いが行えるほか、スムーズな退職につながりやすくなるでしょう。

また退職とは別に未払いの残業代などがある場合には、証拠を集めた上で交渉に挑むことが必要となります。

その際に弁護士などが指示を出して証拠集めを行うことになるでしょう。

労働基準監督署に相談する

在職強要があった場合には、労働基準監督署に相談することが一番確実です。

労働基準監督署は労働基準法を遵守しているかどうかをチェックし、企業への指導が行えます。

残業代未払いのケースがあった際には労働基準監督署がその事実をつかみ、残業代を支払うように指導し、結果として残業代が支払われることもあります。

在職強要が明らかとなれば、その事実を労働基準監督署に伝えることで、退職を認めるように指導することになるでしょう。

そもそも労働者に退職の自由が認められているため、指導を受けた以上は認めざるを得なくなります。

まとめ

今回は退職の引き止めは違法であるという話題を中心に解説してきましたが、改めてこれまで紹介した内容を振り返ります。

  • 会社側が退職を引き止める行為は在職強要として法律違反となる
  • 退職届を受理しない、有給休暇の消化を認めないなどの行為も違法行為
  • 退職届を受け取ってくれない場合には内容証明郵便の活用を
  • 退職を引き止められた場合には退職代行や弁護士、労働基準監督署に相談するのがおすすめ

在職強要は不当な行為であり、強要罪などに該当する可能性があります。

のちに慰謝料請求を行えるような行為でもあるため、在職強要があった際にはその事実を証明するために証拠を集めておくことをおすすめします。

一方で、スムーズに退職を行いたい場合には最初のうちから退職代行や弁護士を活用するのもおすすめです。

最初から嫌がらせで在職強要をしてくるケースも多く、直接対峙するのは精神的にダメージを負うだけです。

そのため、在職強要があった時点で速やかに弁護士などに相談を行い、その後の対応を相談し、淡々と退職に向けて準備を進めていくことが求められます。