
派遣社員として転職する場合に、再就職手当をもらえるの?

派遣社員として再就職手当をもらうには、どんな点を押さえておけばいいのかがわからない…
再就職手当をもらってからすぐ退職すると返還しないといけないのかについて知りたい!
と思っていたり悩んでいたりしませんか?
派遣社員として転職を予定している方の中には、再就職手当をもらえるのかがよくわからないと感じているケースもあるでしょう。
結論、条件を満たせば、派遣社員の方も転職後に再就職手当をもらえます。
派遣社員の方が再就職手当をもらううえで特にポイントとなるのは、契約更新の見込みがあることです。
今回は、派遣社員の方が再就職手当をもらうための条件や申請方法、もらえないケースなどに関して、退職サポートのプロである私が解説します。
最後まで読めば、派遣社員として転職するとき、再就職手当をもらう方法や流れについて理解できるでしょう。
そもそも再就職手当とは?

再就職手当は、失業保険の支給残日数を一定以上残している人物が、早期に再就職を決めた際に支払われる手当です。
会社を辞めた際、次の就職先が決まるまで最低限の生活を送ってもらうためのセーフティーネットとして失業保険があり、条件に応じて最低90日分の失業手当が支給されます。
このため、90日分を受け取ってから就職先を決めようとする人が出てきますが、早めに就職をすれば、本来受け取れるはずだった失業手当を再就職手当として受け取れるのが大きな特徴です。
再就職手当の存在が早めの再就職を促すだけでなく、再就職率のアップにもつながります。
再就職手当は「就職促進手当」のカテゴリーの中の1つであることからも、再就職手当が就職促進のための1つの方策であることが明らかです。

再就職手当は派遣社員でももらえるのか

「再就職したけど派遣社員だから再就職手当はもらえないかも」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか?
安心してください、条件によっては派遣社員でも再就職手当を受給できます。
再就職手当とは、失業中で雇用保険の有資格者が再就職した際、受け取れる一時金です。
なので、派遣社員だからもらえないということはありません。
そもそも、再就職手当は再就職を後押しするために存在する手当です。
失業保険を受給していると、「満額もらってから再就職した方が得」と思う人もいるでしょう。
しかし、ブランク期間が長くなると希望する条件の職場に再就職が難しくなります。
そのため、早く再就職できた人には、再就職手当という形で失業保険より多い金額を給付することで、雇用を促進しているのです。
ここでは、派遣社員が再就職手当をもらえる条件などを詳しく解説していきます。
派遣社員でも再就職手当は受給できる
繰り返しになりますが、派遣社員でも再就職手当は受給できます。
再就職手当は、正社員でも派遣社員でも関係なく、雇用保険に加入しているすべての人が受給の対象です。
なので、再就職先が派遣社員でも雇用保険に加入している場合は、再就職手当をもらうことができます。
ただし、他にも再就職手当の受給条件があるので、全てクリアしているか確認が必要です。
条件の前に、再就職手当の申請方法を確認しておきます。
引用:「再就職手当をもらい損ねた場合の対処法まとめ!申請方法と注意点」
- ハローワークで受給資格者のしおりを受け取る
- 同封されている採用証明書を再就職先に持っていく
- 再就職先で採用証明書に必要事項を記入してもらう
- 再びハローワークへ行き、採用証明書と他の必要書類を提出する
- 書類が問題なければ、再就職手当の支給申請書がもらえる
- 再就職手当の支給申請書を提出する
再就職手当をもらうためには、とにかくハローワークへ行くことがスタート地点です。
まずはハローワークへ行って、仕事が見つかったことを窓口で伝えてください。
それでは、再就職手当をもらうための条件を確認していきましょう。
受給の条件
ここでは再就職手当の受給条件を解説します。
正社員でも派遣社員でも関係なく、受給条件は同じで、下記の通りです。
参考:厚生労働省
- 7日間の待機期間満了後に、就職したこと
- 就職日の前日までの失業の認定を受け、支給残日数が1/3以上あること
- 前の職場に再就職したことでないこと
- 自己都合退職の場合、最初の1か月はハローワークまたは所定の職業紹介所の紹介で就職すること
- 1年を超えて勤務することが確実であること
- 雇用保険の被保険者になっていること
- 過去3年以内に、再就職手当等を受給していないこと
- 受給資格決定前から内定していた就職でないこと
これらの条件から、派遣社員として再就職した人が特に注意するべきこと「1年を超えて勤務することが確実であること」という点です。
1年を超える雇用見込まれている場合は派遣社員でも問題ありません。
派遣の契約が3ヶ月更新の場合はどうなる?
その一方で、派遣社員の場合は契約期間が1年に満たないこともありますよね。
もしも派遣の契約が3か月更新だった場合、再就職手当は受け取れないのではないかと不安に感じる方もいるはずです。

3ヶ月ごとの更新だから1年を越える安定した雇用にはならない…
そんな場合もまだ諦めないでください。
「雇用契約書兼就職条件明示書」という書類に「更新の見込みあり」と記載されているか確認してみましょう。
「更新の見込みあり」という記載があれば、1年を超えて勤務することが確実とみなされるので、再就職手当をもらうことができます。
ですので、仮に3か月更新だったとしても心配はなく、もし再就職手当を逃したくない方は、雇用契約書兼就職条件明示書を必ず確認してください。
もちろん他の条件をクリアしていることも必要です。
また、スケジュール関係の条件にも注意しましょう。
- 「7日間の待機期間満了後に就職したこと」
- 「自己都合退職の場合、最初の1か月はハローワークまたは所定の職業紹介所の紹介で就職すること」
- 「受給資格決定前から内定していた就職でないこと」
この失業から再就職までのスケジュール関係の3点について見落とす方が多いので、失業日と再就職日のタイミングをよく確認しておいてください。
すべての条件をクリアしていることが確認できたら、ハローワークへ行って、再就職手当の申請をしましょう。
また、自分が再就職手当の受給条件をクリアしているかわからない場合でも、ハローワークで相談すれば教えてもらえますよ。
派遣社員が再就職手当を申請する方法

ここからご紹介するのは派遣社員が再就職手当を申請する方法についてです。
- 必要な書類
- 申請の流れ
- 申請期限
それぞれの情報をまとめましたのでご紹介します。
必要な書類
派遣社員が再就職手当で申請を行う書類ですが、主に5種類の書類を提出します。
- 再就職手当支給申請書
- 雇用保険受給資格者証
- 採用証明書
- 失業認定申告書
- 勤務実績の証明書類
これらの書類は実際に再就職をして、1年以上の勤務が確実であるかどうかを証明していくために用いられます。
勤務実績の証明書類では再就職先で現在使っているタイムカードなど、働いていることを証明できる書類が必要です。
申請の流れ
派遣社員が再就職手当の申請を行う際の流れもご紹介します。
- 再就職先に採用証明書を書いてもらう
- 再就職手当支給申請書をハローワークでもらって、再就職先に記入してもらう
- 再就職手当支給申請書や雇用保険受給資格証などをハローワークに出して審査を受ける
- 審査が通れば就業促進手当支給決定通知書が届き、再就職手当が振り込まれる
再就職手当申請書は採用証明書などを提出することでハローワークから受け取れるため、再就職先には2回ほど書類の記入を手伝ってもらうことになります。
申請手続きを行ってからだいたい1か月後にハローワークが再就職先に電話をかけて在籍状況を確認し、問題ないと判断されれば就業促進手当支給決定通知書が届きます。
再就職手当が指定の口座に振り込まれるのは就業促進手当支給決定通知書が届いてからだいたい1週間ほどです。
申請期限に注意しよう
再就職手当を申請する際に注意をしたいのが申請期限です。
原則としては再就職が決まってから1か月以内が申請期限とされていますが、実際には再就職から2年以内まで申請が行えるようになっています。
そのため、1か月が過ぎたから諦めたという人もいますが、実際には2年以内まで行えます。
ただし、かなり時間が経過してから採用証明書などを職場にお願いして書いてもらうのは疑問を持たれる可能性もあるので、できれば1か月以内に申請を済ませましょう。
派遣の場合は採用証明書をどこでもらえる?

再就職手当を受け取る際には採用証明書の存在が欠かせないことが明らかとなっています。
では、派遣社員の場合、採用証明書はどこでもらえるのかと疑問に思った方もいるかもしれません。
人材派遣サービスの大手であるパソナの場合は、派遣社員に与えられたマイページから採用証明書の申請を行います。
その後、再就職手当支給申請を受け取ったら、再びマイページで申請し必要書類を送り、記入すべきところを書いてもらってからハローワークに提出するという流れです。
パソナの場合、採用証明書はだいたい1週間ほどで発送されることになっています。
その他の人材派遣サービスの場合も申込方法などに若干違いはありますが、郵送で申込を行い、1週間前後で返送される点はおおむね変わりません。
派遣社員が再就職手当をもらえないケース

ここでは、派遣社員が再就職手当をもらえないケースについて解説します。
先ほどの再就職手当の受給条件をすべてクリアしていない場合は、もちろんもらえません。
また、自分では条件をクリアしていると勘違いしてしまうポイントがあるので注意してください。
派遣社員の方が注意するべき点は次のようなケースです。
- 同じ派遣会社で再就職先だけが変わった場合
- 単発派遣や短期派遣の場合
詳しく解説していきます。
同じ派遣会社で、派遣先だけが変わった場合
このケースは再就職手当をもらうことができません。
「以前の職場への再就職で無いこと」という条件をクリアしていないためです。
派遣先が変わっているので、以前の職場への再就職ではないと思ってしまうでしょう。
しかし、雇用主は派遣会社です。
そのため、以前の職場への再就職ということになり、再就職手当の受給条件をクリアできないのです。
単発派遣や短期派遣の場合
再就職した仕事が、単発や短期派遣の場合も再就職手当をもらうことができません。
「1年を超えて勤務することが確実であること」という条件をクリアしていないためです。
先ほども解説しましたが、契約期間が3ヶ月ほどの中長期派遣の場合はもらえる可能性があります。
しかし、単発や短期派遣の場合は、1年を超えて勤務することが確実とはみなされません。
もし派遣社員として再就職手当をもらいたい場合は、中長期の契約期間がある仕事を探してみましょう。
再就職手当をもらって派遣をやめてしまった場合どうなる?


再就職手当をもらった後1年以内に仕事を辞めたら、もらった手当を返さないといけない?
再就職手当をもらってすぐ辞めてしまったら心配になりますよね?
再就職手当をもらってから派遣を辞めても、受給した手当の返還を求められるようなペナルティは特にありません。
再就職手当をもらうためには、1年間の安定した雇用が条件に入っていますが、仕事が肌に合わない場合や、体調不良などの理由で退職することもあるでしょう。
再就職手当が振り込まれた後でも、1年以内に仕事を辞めても問題ないので無理はしないでください。
ただし、注意してほしいのが、再就職手当が振り込まれる前に退職すると、再就職手当をもらえないということです。
再就職手当の申請から約1ヶ月後、ハローワークから新しい職場に、出勤してきているか確認が入ります。
この時すでに退職していると、再就職手当受給の審査に通過できません。
再就職手当を確実にもらいたいなら、手当が振り込まれるまで退職せずに出勤しておきましょう。
まとめ
今回は「派遣社員でも再就職手当をもらえるか」について解説しました。
派遣社員でも再就職手当受給の条件をクリアしていれば、もらうことができます。
ポイントをまとめたので、再度確認しておきましょう。
- 派遣社員でも再就職手当はもらえるが、条件がある
- 契約期間が1年未満の場合は注意が必要
- 1年に満たない場合でも雇用契約書兼就職条件明示書に「更新の見込みあり」と書かれていればOK
- 短期派遣や単発派遣の場合はもらえない
- 直近で登録していた派遣会社に登録して派遣先が変わった場合はもらえない
- 再就職手当をもらって1年以内に辞めてもペナルティはない
以上のように、再就職手当は条件をクリアしていれば、派遣社員でももらうことができます。
自分が再就職手当の受給条件を満たしているかわからない場合は、ハローワークに相談してみてください。
この記事を参考に再就就職手当をもらって、新生活を気持ちよくスタートできれば幸いです。