失業保険をもらいながら起業準備はできる?受給条件・開業届・再就職手当まで徹底解説

退職後に就職ではなく起業を検討する人も少なくありません。

中には、「失業保険をもらいながら起業準備は行えるのか」と疑問を持つ方もいるはずです。

結論から言いますと、条件さえ満たせば起業準備中であっても失業保険を受け取ることは可能です。

ただし受け取れなくなるケースもあるため、事前に把握しておくことが求められます。

本記事では、失業保険をもらいながら起業準備はできるのかを中心に、受け取れるケース、受け取れないケースなどを解説していきます。

この記事でわかること

  • 起業準備をしながら失業保険を受け取れる条件
  • 起業準備中に失業保険を受け取れなくなるケース
  • 再就職手当も選択肢の1つ
  • 開業届を出す適切なタイミング

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失業保険の基本とは?起業準備前に知っておくべき前提

起業準備を始める前に、失業保険の基本を理解しておくことは欠かせません

受給条件などを押さえることで、準備期間中の収入を確保しつつ、安全に起業に踏み出せます。

最初に失業保険とはどういうものなのか、失業保険について解説していきます。

失業保険とは?

失業保険は、退職することで一定期間失業手当を受け取り続けられます。

失業保険の原資となっているのは、会社員やパート・アルバイトの時に加入していた雇用保険です。

雇用保険の加入期間に応じて給付日数などが決まります。

加入期間にしっかりと支払っていた以上、失業保険を受け取るのは当然の権利です。

職探しをする中で失業保険を受け取るのが一般的です。

また失業保険の給付日数が多く余って就職した場合、再就職手当を受け取れます。

再就職手当は余った失業保険を一括に受け取れるような仕組みになっています。

再就職手当は、失業保険の給付日数を丸々消化する必要はなく、頃合いを見て就職できればもらえるので魅力的な制度です。

失業保険の受給資格

一方で、失業保険には受給資格が存在します。

失業保険の受給資格
  • 失業状態にある
  • 雇用保険の被保険者期間が退職日以前2年間で12か月以上ある
  • 特定受給資格者などであれば、雇用保険の被保険者期間は退職日以前1年間で6か月以上
  • 就職したい意思がある

この場合の「失業状態」とは、心身ともに健康であることや再就職に向けた活動を行っていることなどが挙げられます。

4週間に1回訪れる失業認定日にハローワークを訪れて、失業状態と認めてもらわなければなりません。

失業状態と認定してもらって初めて失業保険が受け取れます。

一方で認定の段階で何らかのウソをついた場合、不正があったと判断され、さまざまな罰則があります。

ルールに則って失業保険をもらうようにしていきましょう。

失業保険をもらいながら起業準備は可能?制度の概要と前提条件

失業保険をもらいながら起業準備を行うのは本当に可能なのか、気になる方もいるのではないでしょうか。

条件さえ満たせば、起業準備をしながら失業保険を受け取れます。

ここからは失業保険をもらいながら起業準備が可能かどうかを解説します。

求職活動が条件

失業保険をもらいながら起業準備をすることは可能です。

その際の条件となるのが、求職活動です。

失業保険を受け取るには「失業状態」であることが重要です。

失業状態は、求職活動を行うことで就職の意思がありながらも就職に至っていないと判断できます。

「起業を目指しつつも場合によっては就職も視野に入れる」という形にすれば、普通に受け取ることは可能です。

起業準備中の求職活動の実績づくりとハローワークとの付き合い方

起業準備中であっても、失業保険を受け取り続けるには「求職活動の実績」が必要です。

起業したいのに、求職活動ってどうやって証明するの?」と思うかもしれません。

実は求職活動が認められる活動はいくつかあります。

  • ハローワークでの職業相談(起業に関する相談も含む)
  • 起業支援セミナーや職業訓練への参加
  • 自治体や商工会議所などの創業相談窓口の利用
  • キャリアカウンセリングや面談の受講 など

実績として認められるかは、「記録が残っているか」が重要なポイントです。

ハローワークでの相談時には、必ず受付票や相談記録を残してもらいましょう。

また、セミナーや面談では、参加証明書や日程の案内メールなどを保管しておくと安心です。

求職活動報告時に「この活動が、今後の就業や起業にどうつながるのか」を説明できると、認められやすくなります。

求職の意思があることをしっかり伝えながら、計画的に実績を積み上げていくことが大切です。

起業準備しながら失業保険を受給するための3つの条件

「起業を考えているけど、失業保険を受け取りながら準備できるか不安」という方もいるはずです。

起業準備をしながら失業保険を受け取るには主に3つの条件が欠かせません。

  • 失業保険の受給条件をクリアする
  • ハローワークへ通う
  • 求職活動をする

ここからは3つの条件について解説していきます。

失業保険の受給条件をクリアする

失業保険を受け取る場合にクリアすべきなのが、失業保険の受給条件です。

自己都合退職の場合、「退職日以前2年間において雇用保険の被保険者期間が12か月以上」であることが必須です。

会社都合退職や特定理由離職者などの場合は「退職日以前1年間において雇用保険の被保険者期間が6か月以上」が条件です。

原則として、1年以上働き続けてきた人であれば、誰でも失業保険の受給条件を満たします。

一方で、心身いずれかに問題を抱えて就労できない場合には失業保険を受け取れません。

ハローワークへ通う

失業保険を受け取るには、必ずハローワークへ通わなければなりません。

失業してすぐに離職票を持参してハローワークに向かい、失業保険の受給に向けた手続きを行います。

失業保険を受け取るまでに何回か足を運ぶ必要があり、1回も足を運ばずに失業保険を受け取ることはできません

4週に1回訪れる認定日では必ずハローワークに行って、書類の提出が必要になるからです。

決められた条件を毎回こなすことで失業保険を一定の日数まで受け取り続けられます。

求職活動をする

失業状態であることをハローワークに認めてもらうには、求職活動も必須です。

4週に1度の認定日までに、求職活動は最低でも2回は行う必要があります。

そのため、何かしらの形で求職活動の実績を作らなければなりません。

起業準備を行っている場合には、ハローワークで相談を行うほか、セミナーへの参加を行って実績を稼ぎましょう。

求人に応募するのも実績にカウントされるものの、場合によっては就職が決まってしまいます。

起業を視野に入れたい場合には、就職が決まらない形で実績を重ねていくことが求められます。

起業準備中に失業保険を受け取れなくなるケース

本当に失業保険を受け取れるの?と疑問を覚える方もいるはずです。

起業準備中に失業保険を受け取れる一方、状況によっては受け取れなくなることがあります

  • 退職直後に開業届を提出
  • 求職活動をせず起業準備をする
  • 副業を続けている

ここからは失業保険が受け取れなくなる状況について解説していきます。

退職直後に開業届を提出

退職直後に開業届を提出すると失業保険を受け取れなくなります。

開業届を出すことは就職したことと同じ意味になるためです。

提出した時点で失業保険の対象から外れてしまうので要注意です。

起業を想定している以上、すぐに開業届を出すことは決して間違いではありません。

ただ失業保険を受け取りつつ起業準備をしたい方は、受け取り終わってからで大丈夫です。

起業準備と求職活動を行いながら失業保険を受け取り、その後開業届を出す形が理想的です。

具体的にいつ開業届を出すべきか、おすすめのタイミングについては記事の後半で解説しています。

求職活動をせず起業準備をする

起業することを大前提にしている場合、求職活動を一切しないで起業準備に励む人もいるはずです。

この場合は求職活動実績がないため、失業保険を受け取れません

求職活動は求人への応募以外にも、セミナーへの参加やハローワークでの相談などでも実績として加算できます。

特に初回は説明会への参加で実績にカウントされるため、あと1回だけハローワークに足を運んで相談を受ければクリアです。

起業準備をしながら失業保険を受け取りたい場合には、相談を兼ねてハローワークに行くことをおすすめします。

副業を続けている

退職する前から副業を行って、お小遣いなどを稼いでいるという人が少なくありません。

注意したいのは、待期期間中に副業をそのまま続けてしまうことです。

待期期間は失業していることを証明する期間なので、アルバイトなどお金を稼ぐ行為は何もしてはいけません。

待期期間にアルバイトなどをしていると、待期期間を消化していないと判断され、失業保険の給付が後ろ倒しになります。

待期期間中に副業をストップすれば問題はありません。

待期期間中は起業準備に時間をあてるなどして、有効活用していきましょう。

早めに起業したい場合は「再就職手当」

1日でも早く起業したいけど失業保険も受け取りたい方も多いでしょう。

就職ではなく、起業に切り替えたい人にとって、意識しておきたいのが「再就職手当」です。

再就職手当とはどのようなものか、受給条件などを交えて解説します。

再就職手当とは

再就職手当は、失業保険を受け取れる権利を持つ人が早めに就職を行った際に受け取れる手当です。

90日分の手当を受け取れるはずが、わずか10日の給付で再就職を決めた場合、残り80日分がムダになります。

そのため、早期の再就職よりも給付日数ギリギリでの再就職の方が得と考える人が出てきます。

再就職手当は早期の再就職でも、本来受け取れるはずだった失業手当を最大限受け取れるようにしています。

また非課税になっているので、再就職先の給料とセットでお得に受け取れます。

再就職手当の受給条件

再就職手当は以下の条件を満たすことで受け取ることができます。

再就職手当の支給要件
  • 待期期間7日間の後に就職もしくは起業する
  • 就職もしくは起業前日まで失業認定を受けた状態で、基本手当の支給残日数が所定の3分の1以上残っている
  • 離職前の事業主に再就職していない
  • 給付制限があるものの、求職申込から待期期間満了後1ヶ月において、ハローワークなどの紹介で就職した
  • 1年を超えて勤務することが確実
  • 原則として雇用保険の被保険者になっている
  • 過去3年における就職で、再就職手当などを受け取っていない
  • 求職申込の前から採用が内定していた企業などに雇用されるわけではない

所定の給付日数が90日だった場合は、基本手当の残日数が30日以上あれば、支給の対象となります。

ちなみに、再就職手当の金額も以下にまとめました。

再就職手当の金額
  • 所定給付日数の3分の1以上の日数を残した場合→支給率60%
  • 所定給付日数の3分の2以上の日数を残した場合→支給率70%

失業保険で本来受け取れる金額の60%ないし70%を受け取れます。

例えば、所定給付日数90日で、残り80日分を残して再就職をした場合は支給率70%となるので、56日分の失業手当が受け取れる計算です。

早ければ早いほど多くの失業手当が受け取れるため、決して早期の再就職が損にはならないのです。

個人事業主・フリーランスでも再就職手当はもらえる? 個人事業主・業務委託も対象!再就職手当をもらう条件と必要書類とは?

個人事業主で再就職手当のタイミング

起業を果たし、個人事業主になって再就職手当を受け取るには、まず失業認定を受けることが第一です。

その上で、個人事業主になるために開業届や開業を証する書類を提出することが求められます。

あとは、先ほども紹介した再就職手当を得るための要件を満たしていれば、再就職手当を受給できます。

実際に再就職手当を受け取れるのは、申請してからおよそ1か月程度です。

個人事業主として色々とお金がかかるタイミングで、一定の金額がまとめて入ってくるので、起業間もない状況を支えてくれるはずです。

開業届の提出はいつ?失業保険と再就職手当への影響

状況開業届の提出タイミング理由
失業保険を受け取りたい場合出さない出すと「就職した」とみなされ受給終了の可能性あり
再就職手当をもらいたい場合要件を満たした後に提出再就職手当は「就職した=開業」タイミングで申請されるため
失業保険も再就職手当も不要な場合いつでもOK特に制限なし(ただし提出日=開業日になる)

失業保険をもらいながら起業準備を進めるうえで、もっとも注意が必要なのが「開業届の提出タイミング」です。

出す時期によっては、失業保険の受給停止や再就職手当の不支給につながるおそれがあります。

失業保険を継続してもらいたい場合

まだ再就職手当の要件を満たしておらず、失業保険を継続して受給したいなら、開業届は出さずに起業準備だけを進めるのが原則です。

開業届を出すと「就職した」とみなされ、その時点で失業状態が終了=保険の給付が止まる可能性があるからです。

再就職手当をもらいたい場合

開業届は「再就職手当の要件をすべて満たしたタイミング」で提出するのが最も安全です。

個人事業主としての起業も「就職」とみなされるため、以下のような条件を満たせば再就職手当の対象になります。

  • 所定給付日数の3分の1以上が残っている
  • 7日間の待期期間および給付制限期間(自己都合退職時の3ヶ月など)を経ている
  • 起業後も1年以上継続して事業を行う意思・見込みがある
  • ハローワークへの事前報告と申請手続きを行っている

このタイミングで開業届を提出し、再就職手当の申請をすれば、数十万円単位の手当を受け取れる可能性があります。

まとめると、「まだ失業保険をもらいたいなら開業届は出さない」「再就職手当を狙うなら、要件を満たした時に出す」というのが基本方針です。

提出前には必ずハローワークに相談し、自分の状況に合わせたアドバイスをもらうようにしましょう。

よくある質問|失業保険と起業準備に関する疑問を解決

起業する予定でも「求職活動している」と言っていいんですか?
はい。起業準備中でも「必要に応じて就職も検討している」という姿勢であれば、求職活動として認められます。

ハローワークでもそのような相談は珍しくなく、実際に支給されている例もあります。
起業準備中にアルバイトをしても失業保険はもらえますか?
条件を満たせば可能ですが、1週間に20時間を超えると「就職した」とみなされる場合があります。

収入の申告義務もあるため、事前にハローワークへ相談しておきましょう。
開業届を出したら、失業保険はすぐ止まりますか?
はい。原則として、開業届を提出した時点で「就職した」と判断され、失業保険の受給資格は終了します。

ただし、再就職手当の申請を前提とする場合は、事前に報告すればスムーズです。
起業後にうまくいかなかった場合、失業保険は再度もらえますか?
一定の条件を満たせば、「特定理由離職者」として再び失業保険を受け取れる場合があります。

詳細はケースによるため、廃業予定がある場合はハローワークでの確認が必要です。

まとめ

今回は、失業保険をもらいながら起業準備はできるのかについて解説をしてきました。

最後に今回ご紹介した内容を振り返っていきます。

  • 起業準備をしながら失業保険を受け取ることは可能
  • 起業準備をしながら失業保険を受け取るには、求職活動が絶対条件
  • 失業保険の受給条件を事前にクリアしておくことも重要
  • 退職していきなり開業届を出すと失業保険を受け取れなくなるので注意

起業すべきか就職すべきかを悩みながら退職した方もいるのではないでしょうか。

まず失業保険を受け取りながら、どちらに進んでもいいように対応していくことをおすすめします。

最初から起業を目指そうと思っても、なかなかうまくいかないことがあるためです。

受け取れるものを受け取ってからでも起業はできるので、まずは失業保険の手続きを行っていきましょう。

その上で、起業か就職かの決断をしていく形で問題ありません。