本来、雇用保険の加入は会社の義務であり、誰しもが雇用保険に加入しています。
しかし、企業によっては雇用保険の加入をしないケースがあり、失業してからその事実を知り、泣き寝入りしてしまう人も。
実は一定の条件を満たせば、雇用保険に未加入でも失業保険を受け取れます。
この記事では雇用保険に未加入だと失業保険はもらえないのかという話題を中心に、雇用保険に関する紹介や泣き寝入りをしない方法などを解説します。
ぜひ最後までご覧ください。
そもそも雇用保険とは?
そもそも雇用保険とはどういうものか、主な特徴として3つ挙げられます。
- 雇用保険加入は会社の義務
- パート・アルバイトでも加入できる
- 雇用保険は失業保険の受給条件としても必須
雇用保険の持つ特徴についてご紹介していきます。
雇用保険加入は会社の義務
雇用保険への加入は会社の義務として雇用保険法で定められています。
そのため、未加入だった場合は事業主に対し、懲役6か月以下もしくは罰金30万円というペナルティが生じる形です。
単純な未加入だけでなく、加入対象がいないという嘘の申告も罰則の対象となります。
雇用保険に未加入の企業は事業者負担として労働者以上に負担を強いられる形になりやすいことが大きく、人の入れ替わりが激しい業界などで起こりがちです。
パート・アルバイトでも加入できる
雇用保険はパート・アルバイトでも加入ができます。
雇用保険の加入条件は後ほどご紹介しますが、毎週一定時間以上働くパート・アルバイトの方であれば加入しなければなりません。
1週間のみなど短期的なバイトで、長時間働くケースであれば加入の対象にはなりませんが、途中から長く働くことになった場合なども加入義務が生じます。
雇用保険は失業保険の受給条件としても必須
雇用保険は失業保険を受け取る際の条件として必須です。
- 失業状態にある
- 退職日以前2年間において雇用保険の被保険者期間が1年以上
- 特定受給資格者・特定理由離職者の場合は雇用保険の被保険者期間が退職日以前1年間において6か月以上
自己都合退職や会社都合退職によっても異なりますが、基本的に雇用保険の加入歴が失業保険の受給条件となります。
そのため、雇用保険に未加入だと失業保険が利用できないことになるのです。
失業保険全般の相談も受け付けています
雇用保険の加入条件は?
雇用保険の加入条件は以下の通りです。
- 最低31日以上の雇用が続く見込みがある
- 1週間につき20時間以上の労働時間がある
上記の加入条件は会社員やパート・アルバイト、いわゆる正規・非正規に関係なく条件を満たせばだれでも雇用保険の加入条件を満たします。
雇用保険に加入させないよう、この条件を満たさないように企業側は働いてもらうこともできますが、その行為自体はあまり現実的とは言えません。
だからこそ、雇用保険の未加入で対応しようとする企業が出てくると言えます。
雇用保険に加入しているか確認する方法は?
雇用保険に加入しているかどうかを確認するには、2つの方法があります。
- ハローワークで確認する方法が確実
- 給料明細で確認もできる
雇用保険に加入しているかどうかを確認する方法についてご紹介します。
ハローワークで確認する方法が確実
一番確実な方法は、ハローワークで確認を行う方法です。
ハローワークでは被保険者資格があるかどうかを確かめられるので、実際にハローワークに足を運び、被保険者資格があるかを確認します。
仮に雇用保険に入っていないと判明すれば、今からでも加入してもらうこともできるほか、後ほどご紹介する方法で未加入期間があっても問題ない形に戻すことができます。
少しでも不安に思ったらハローワークに出向きましょう。
給料明細で確認もできる
雇用保険は労働者も一部負担しており、給料明細での確認が行えます。
給料明細で雇用保険料の記載がなかった場合、雇用保険に未加入である可能性が考えられるため、そこで不安に感じハローワークに行く方もいるはずです。
しかし、給料明細から差し引いているのに、会社側が未加入のままにして、金だけをせしめるという悪質なケースもあります。
そのため、給料明細だけでなくハローワークでの確認がおすすめです。
失業保険全般の相談も受け付けています
雇用保険未加入なら失業保険はもらえない?対処法を4ステップで解説
雇用保険に未加入だと失業保険がもらえないため、万が一の対処法を4つのステップで解説します。
- 雇用保険の加入条件を満たしているか確認する
- 過去を含めた加入条件を満たしている期間の雇用保険の加入手続きを依頼する
- 雇用保険に加入できたら、雇用保険料を支払う
- 離職票を発行してもらい、失業保険を申請する
1.雇用保険の加入条件を満たしているか確認する
まず雇用保険の加入条件を満たしているか確認を行います。
週20時間以上働いていて、31日以上の雇用見込みがあれば加入条件は満たしており、正社員であれば楽々とクリアしているでしょう。
自分は雇用保険の加入条件を満たしていると確認すれば、次のステップに進みます。
2.過去を含めた加入条件を満たしている期間の雇用保険の加入手続きを依頼する
2つ目は過去を含めた加入条件を満たしている機関に関して雇用保険の加入手続きを依頼することです。
例えば、本来であれば離職日以前2年間において12か月以上加入している場合、加入したところまで遡って加入手続きを行います。
この加入手続きが終わったら、あとはその間のお金を払うのみです。
3.雇用保険に加入できたら、雇用保険料を支払う
3つ目のステップは、雇用保険に加入で来たら雇用保険料を支払うことです。
雇用保険料は「賃金×雇用保険料率」で算出され、令和5年4月から労働者負担分は賃金の1000分の6ないし1000分の7となります。
20万円の賃金だった場合、雇用保険料は1,200円もしくは1,400円となり、この金額を支払うことで雇用保険に入っていたとみなされます。
1年分、2年分となると負担は大きいですが、失業保険を受け取れる、受け取れないで考えれば決して高い支出とは言えないでしょう。
4.離職票を発行してもらい、失業保険を申請する
4つ目は離職票を発行してもらい、失業保険を申請することです。
雇用保険料を支払ったことで雇用保険に加入していたことになるため、これでようやく失業保険の申請が行えます。
ここから先は一般的な失業保険の支給までの道のりが続く形です。
まとめ
今回は雇用保険に加入していないと失業保険はもらえずに泣き寝入りとなるのかという件についてご紹介してきました。
最後に今回の内容を振り返ります。
- 雇用保険加入は会社の義務で、一定条件を満たせばパート・アルバイトも加入できる
- 失業保険をもらうのに雇用保険の加入は必須
- 雇用保険の加入の確認は給料明細でもできるが、ハローワークでの確認が確実
- 雇用保険への加入ができたら雇用保険料を支払えば失業保険の受給条件を満たす
雇用保険への未加入が発覚しても決して泣き寝入りすることなく、ハローワークに出向いて、やるべきことを確かめ、まずはその間の雇用保険料を支払いましょう。
雇用保険料を支払えばその間の加入が認められるので、失業保険の支給につながります。
次の転職先では入社当初から雇用保険に加入しているかをハローワークに確認するのもいいでしょう。
給料明細で雇用保険料が天引きされていないと不思議に思ったら、すぐにハローワークに相談することをおすすめします。