
個人事業主やフリーランスとして働く場合に再就職手当をもらえるの?

個人事業主が再就職手当をもらうには、どんな条件を満たすべきなのかがわからない…
必要な書類や流れについて具体的に知りたい!
と思っていたり悩んでいたりしませんか?
これから個人事業主として開業を予定している方の場合、再就職手当をもらえるのかがよくわからないと感じているケースもあるでしょう。
結論、個人事業主やフリーランスとして独立する方も、条件を満たせば再就職手当をもらえます。
具体的には7つの条件が決まっており、すべての条件を満たすことがポイントです。
開業届を提出すべきタイミングも決まっていることから、あらかじめチェックしておくのが望ましいです。
今回は、個人事業主が再就職手当をもらうための条件、開業届を出すタイミング、必要な書類、流れ、金額などを退職サポートのプロである私が解説します。
最後まで読めば、再就職手当をもらううえで個人事業主が感じる疑問点を解消できるでしょう。
個人事業主は条件を満たせば再就職手当をもらえる

個人事業主でも条件を満たしていれば再就職手当をもらうことができます。
正社員としての就職だけではなく、事業を開始した場合も再就職手当の支給対象となるからです。
ここでは個人事業主が再就職手当をもらうための7つの条件を確認しましょう。
失業前に雇用保険に加入していたこと
退職前に雇用保険に加入していないと、再就職手当の支給対象になりません。
雇用保険の加入条件は次の2つです。
- 仕事を始めた日から最低31日以上働く見込みがある
- 1週間当たり20時間以上働くこと
正社員やパート・アルバイトの場合、ほとんどの人が雇用保険には加入していたでしょう。
失業保険の手続き後、7日間の待機期間後に開業すること
退職後に初回のハローワークで失業保険の手続きをした後、7日間の待機期間があります。
その7日間の待機期間が終わってから開業することが再就職手当をもらう条件のひとつです。
開業のタイミングについては後ほど詳しく解説します。
開業の準備をする前日まで失業保険の支給残日数が1/3以上あること
すでに失業保険をもらい始めている場合は、支給残日数に注意してください。
支給残日数が3分の1以下になると、再就職手当をもらえません。
支給残日数は、ハローワークで貰った雇用保険受給資格者証に記載されているので、確認してみてください。
自己都合退職の場合は、待機期間+1ヶ月後に開業すること
自己都合で会社を辞めた場合は、待機期間+1ヶ月後に開業しましょう。
7日間の待機期間が終わってすぐに開業すると、再就職手当を申請できないので、注意してください。
また、開業の準備についても待機期間+1ヶ月後に始める必要があります。
備品購入や顧客への営業活動などが開業準備です。
1年を超えて事業が継続できること
個人事業主として開業して、1年以上事業が継続することが条件に入っています。
事業が継続できるかは、正直1年が過ぎないとわからないところです。
申請段階では、1年を超えて事業を継続する意思があれば問題ありません。
ハローワークで「1年以上継続しますか?」と聞かれるので、「継続します」と答えれば大丈夫です。
過去3年間、再就職手当・常用就職支度手当を受給していないこと
直近3年間に再就職手当と常用就職支度手当をもらっていると、再就職手当をもらえません。
以前に上記の手当を受給している場合は、3年経っているか確認しましょう。
もし3年以内に受給していた場合は、次は3年が過ぎるまで再就職手当をもらうことができないです。
再就職手当が振り込まれる前に廃業しないこと
再就職手当が振り込まれるまでは、事業を継続しましょう。
申請して約1か月後にハローワークから事業を継続しているか確認の電話が入ります。
その際すでに廃業していると、再就職手当をもらえません。
もしすでに廃業しているのに、継続していると嘘をつくと不正受給となります。
不正受給には重たいペナルティがあるので絶対にやめましょう。
再就職手当をもらうために開業届を出すタイミングに注意しよう

個人事業主が再就職手当をもらうために、注意したいタイミングは次の2点です。
- 開業届を出すタイミング
- 開業の準備を始めるタイミング
開業届を出すタイミングだけではなく、開業の準備をするタイミングにも注意しましょう。
開業や開業の準備を始めるタイミングは退職理由によって異なります。
- 会社都合で退職した場合は、7日間の待機期間後
- 自己都合で退職した場合は、7日間の待機期間+1ヶ月後
待機期間は初回のハローワークで失業保険の手続きをしてから7日間です。
待機期間中に開業届を出すと、再就職手当の受給条件から外れてしまいます。
会社を辞める前から開業することを決めていても、まずは待機期間が終わるのを待ちましょう。
また、開業の準備も待機期間後に始めてください。
ここでの開業の準備とは備品の購入や事務所の賃貸契約、取引先との仕事の契約などです。
開業の準備のために購入した備品の領収書や契約書が再就職手当の申請に必要になります。
その領収書が待機期間中の日付だと、再就職手当の受給条件から外れてしまうので、注意しましょう。
自己都合退職の場合は、1ヶ月以上待たないといけませんが、再就職手当をもらうために待機が必要です。
個人事業主が再就職手当をもらうために必要な書類

次に個人事業主が再就職手当をもらうために必要な書類について解説します。
次の3つの書類を準備しましょう。
- 開業届の控え
- マイナンバーカード
- 個人事業主として1年以上働けることが証明できる書類
それぞれ確認していきます。
開業届の控え
開業届の控えは、税務署で開業届を提出すれば手に入ります。
開業届の記入は特に難しくありません。
税務署の係員の指示通りに記入すれば完成します。
必要なものは印鑑(認印可)と身分証明書だけです。
まずは税務署に行って開業届を出して、控えをもらいましょう。
マインバーカードかマイナンバーが確認できる書類
再就職手当の申請にはマイナンバーカードが必要です。
マイナンバーカードを発行していない場合は、運転免許証などの身分証明書と、マイナンバーを証明できる書類が必要になります。
マイナンバーを証明できる書類は「マイナンバー通知カード」や「住民票」などです。
マイナンバーカードを発行していない方は、事前に準備しておきましょう。
個人事業主として1年以上腹たけることが証明できる書類
この書類は、事業を開始した後も1年以上継続する意思を確認するためのものです。
次のような書類があれば問題ありません。
- 開業するにあたって購入した備品の領収書
- 事務所を借りた際の契約書
- 取引先との業務委託契約書
- 事業計画書
例えば、事業で使うために購入したパソコンやプリンターの領収書も対象となります。
開業に関する全ての書類を持っていくつもりでいてください。
注意したいのは、書類や領収書の日付が待機期間中でないかどうかです。
必ず日付を確認しておきましょう。
個人事業主が再就職手当をもらうまでの流れ

個人事業主が再就職手当をもらうまでの流れを、離職日から解説します。
- 会社から離職票が届く
- 初回のハローワークで失業保険受給の手続きをする
- 7日間の待機期間を過ごす
- 待機期間中にハローワークで失業保険の説明会に参加する
- 7日間の待機期間後に開業準備を始めて、開業届を出す
- 必要書類を持って、ハローワークで再就職手当の申請をする
- 問題なければ約1ヶ月後にハローワークから事業を続けているか確認の電話が入る 審査に通過すれば再就職手当が振り込まれる
自己都合で退職した場合は、それぞれ待機期間+1ヶ月間を待つ必要があります。
また、自己都合退職の場合は、指定された失業認定日にハローワークへ行くことも忘れないようにしましょう。
個人事業主は再就職手当をいつもらえる?

個人事業主が再就職手当をもらえるのは、申請から早くて1ヶ月、通常約2か月後です。
厳密にいうと、再就職手当の「支給決定通知書」が自宅に届いてから約1週間後に指定の口座に振り込まれます。
ただし、個人事業主の中には、再就職手当を1年後にもらったというケースもありました。
個人事業主として1年以上働けることが証明できなかったため、1年間事業を継続してから再度申請をすることになったからです。
審査については管轄のハローワーク次第となっています。
1年以上事業を継続できることを証明できる書類をしっかり集めて申請をしましょう。
審査に問題がなければ、通常は申請してから2ヶ月以内に振り込まれます。
まとめ
今回は個人事業主でも再就職手当をもらえるのか、という内容を解説しました。
ポイントは次の通りです。
- 個人事業主でも再就職手当はもらえる
- ただし、条件を満たす必要がある
- 開業と開業の準備は待機期間後に行う
- 個人事業主として1年以上働けることが証明できる書類が重要
- 事業に関する備品購入の領収書や業務委託契約書があればOK
- 通常再就職手当は2ヶ月以内に振り込まれる
個人事業主として開業後は、事業が軌道に乗るまで収入が安定しないことがあります。
また、設備投資や備品の購入で現金が必要になるでしょう。
そのためにも再就職手当を正しく申請して受給できるようにしておきたいですね。
この記事を参考に個人事業主の方が再就職手当を受給できると幸いです。
再就職手当についてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
