何らかの要因で休職を余儀なくされ、実際に休職した経験を持つ方もいるのではないでしょうか。
その中で、休職中の方、もしくは休職経験がある方は転職活動が不利になるという話を聞いて不安になった方もいるはずです。
結論から言いますと、休職中の転職活動は決して不利になるわけではないのです。
本記事では休職中ないしは休職経験者の転職活動は不利になるかを中心に、リスクや注意点などをご紹介していきます。
休職中の転職活動は不利になる？
休職中の転職活動は不利になってしまうのかと不安に感じている方もいるのではないでしょうか。
実際のところ、「休職中の転職活動＝不利」とはならないと言えます。
- 休職中に転職活動すること自体は問題ない
- 履歴書に休職中であることを記載する必要なし
ここからはその理由についてご紹介していきます。
休職中に転職活動すること自体は問題ない
結論から言いますと、休職中に転職活動をすること自体は何ら問題がありません。
もちろん、休職を認めてもらっている職場に分かるような形で転職活動を行うのは控えるべきです。
しかし、休職の原因が今の職場にある場合など、転職した方が治療につながる可能性が高い場合には転職活動もやむを得ないと言えます。
一方で精神疾患で休職している場合には転職活動の前にまずは休養に専念することがおすすめです。
ですが、休職中であることを触れなければ、相手が休職中であることを相手の企業が判断する術がないのが実情です。
ゆえに休職中の転職活動＝不利にはなりにくいでしょう。
履歴書に休職中であることを記載する必要なし
休職中に転職活動を行う際には、わざわざ休職中であることを伝える必要はありません。
ですので、履歴書に休職中であることを記載する必要もないので、休職中が応募先にバレる可能性は低いと言えます。
逆に休職中だと伝えても、なぜ職場復帰をしないのかなど、様々な疑問を持たれやすくなるでしょう。
また休職の原因や症状などがリスクにつながる可能性もあることから、休職中を前面に出す必要性は少ないです。
休職中に転職活動しても法律的に問題ない？
結論から言うと、休職中に転職活動をすることは法律的に問題ありません。
憲法第22条では、「職業選択の自由」が明記されており、働く場所を自分で選ぶ自由は誰にでも保障されています。つまり、休職中であっても「他の会社に転職したい」「求人情報を見て応募したい」と考えるのは当然の権利です。
職業選択の自由と就業規則の違い
休職中に転職活動をすることは、法律上はまったく問題ありません。
日本国憲法第22条では、「職業選択の自由」が国民に保障されています。つまり、休職中であっても、他の会社への転職を希望し、そのために情報収集や応募を行うのは個人の自由です。
転職活動そのものが、法律に違反したり処罰の対象になることはありません。
ただし、法律上は自由であっても、「会社との関係上、何をしてもいい」というわけではない点には注意が必要です。そこで重要になるのが、勤務先の就業規則です。
就業規則で制限されているパターンとは？
就業規則には「休職中は療養に専念すること」と定められているケースが多くあります。
この場合、体調が万全でない状態で転職活動をしていることが発覚すると、本来の休職目的に反していると見なされる可能性があります。
また、以下のようなルールを設けている会社もあります：
- 副業・兼業の禁止（転職活動が業務と見なされることも）
- 就業中の無断外出や他社訪問の禁止
- 社外との秘密保持義務の徹底
これらに違反した場合、会社によっては懲戒処分の対象になるリスクもゼロではありません。
特に、体調が整っていないにもかかわらず活発に転職活動している様子が社内に伝わると、「本当に療養が必要だったのか？」という不信感を持たれてしまうおそれがあります。
つまり、法的には自由でも、会社側との信頼関係を壊さないよう慎重に行動することが重要です。
休職中の転職活動でバレる・不利になるリスクとは？
休職中に転職活動を行うことにはいくつかのリスクがあります。
- 内定後に休職していたことがバレると内定取り消しの可能性がある
- 休職期間が長くなると転職に不利になる
- 転職活動が現職の会社にバレるとトラブルになるかもしれない
ここからは転職活動を行うリスクについてご紹介していきます。
内定後に休職していたことがバレると内定取り消しの可能性がある
現職や応募先企業に対し、休職していたことがバレる原因は具体的に以下のとおりです。
- 源泉徴収票や給与明細
- 住民税の納税額
- 傷病手当金の受給歴照会
- SNSの投稿や人づてのうわさ話
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
源泉徴収票や給与明細
中途で入社する場合、源泉徴収票の提出を求められることから、休職がバレる可能性があります。
前職の給料や納税前の給与額などが、源泉徴収票に記載されてあるためです。
例えば、正社員として働いていたときの総支給額が100万円である場合、経理担当者は給与が低すぎることに違和感を覚えるものです。
給与明細に関しても同様で、転職先によっては提出を求めてくるケースがあります。
原則として、休職中には給料が支払われないのが特徴で、給与明細を提出することでも休職がバレる可能性は高いです。
住民税の納税額
住民税の納税額によっても、休職がバレるケースはあります。
前年度の所得によって住民税の金額は算出されており、あまりに少なすぎると給与をもらっていなかったと判断されるためです。
住民税の納税額に関しては、経理担当者のみが知りうる内容となります。
家族経営のような小規模事業者の場合は特に、経理担当者を通して休職していたのではないかという情報が流れる可能性は高いです。
傷病手当金の受給歴照会
傷病手当金の受給タイミングによっては、休職の事実がバレるケースもあります。
傷病手当金の申請にあたり、担当者から支給条件をチェックされることになるためです。
転職前から傷病手当金をもらっており、転職後も一部のお金を受け取るケースが該当します。
傷病手当金をもらえるのは1年6ヵ月までで、退職後も適用されます。
傷病手当金とは、病気やケガなどで働けないとき、国からもらえるお金のことで、原則として給与の支払いがないことが条件の一つです。
SNSの投稿や人づてのうわさ話
SNSの投稿やうわさ話などを通し、休職していたことがバレるケースもあります。
休職に関してSNS投稿したり、転職先を同僚に話したりしている場合、知らない間に情報が伝わるリスクがあるためです。
近年では、転職者の素性を知るために、個人のSNS投稿をチェックする起業も存在します。
退職してもよいものの、休職する場合は復職することが前提だと考えられる傾向にあります。
SNS投稿したり同僚に転職先を言ったりすることは、望ましいことではありません。
アカウントや投稿を削除するなど、早急な対応が求められます。
休職期間が長くなると転職に不利になる
休職期間が長い場合、転職に不利になる場合があります。
その理由としては休職期間が空白期間、ブランクと捉えられやすいことが大きな要因です。
また、長い休職期間で働ける状態にあるのか疑わしいと判断される可能性も十分に考えられます。
休職期間が長くなると企業側は慎重にならざるを得ないのが実情です。
転職活動が現職の会社にバレるとトラブルになるかもしれない
転職活動が今在籍している会社にバレるとトラブルに発展する可能性があります。
休んでいる理由が精神疾患などの場合、転職活動がバレると「ズル休み」のような印象を与えてしまいます。
バレてしまうと休職をこれ以上認めない、もしくは退職を求められるような状況に追い込まれやすくなるでしょう。
転職活動をする際には会社には絶対にバレないようにするのが大切です。
内定後に休職していたことを伝えるべき？
内定が出たあと、「休職していたことを伝えるべきか？」と悩む方は少なくありません。
結論から言えば、休職の事実を伝える義務は基本的にはありません。
しかし、状況によっては伝えておいたほうが良いケースもあります。
伝えた方が良いケース
基本的に、休職していた事実を内定先に必ず伝える義務はありません。
ただし、以下のようなケースでは、自分から伝えておいた方がトラブルを避けやすくなります。
- 休職理由が精神疾患などで、今も治療中
- 復職歴がなく、ブランク期間が長い
- 過去の職場とトラブルがあり、調査で発覚する可能性がある
- 入社後の業務に支障が出るかもしれない体調状態
これらのケースでは、あとからバレた場合に「なぜ最初に言ってくれなかったのか」と企業側から不信感を持たれてしまう可能性があります。
一方で、「体調は回復済みで問題なく働ける状態」であれば、無理に伝える必要はありません。
伝えない場合の注意点
前述のように、法的には申告義務はありませんが、全く触れずに入社後に体調不良がぶり返した場合、「事前に説明すべきだったのでは？」と信頼を損なう可能性があります。
また、以下のような形で間接的に休職歴がバレる可能性もあるため注意が必要です。
- 源泉徴収票や給与明細で勤務実績が薄いと気づかれる
- 住民税の課税額が少なく、休職期間を推測される
- 元同僚・SNSから情報が伝わる
「聞かれなかったから言わなかった」という態度ではなく、「聞かれたら誠実に答える」「体調は万全と伝えられる状態を作っておく」ことが大切です。
伝えるならどのタイミング？どう伝える？
伝えるべきと判断した場合、最も適切なのは内定承諾前後〜入社前のタイミングです。
- 書面でなく、口頭（電話・面談）で伝えるのがおすすめ
- 「現在は体調が万全で、業務に支障はないこと」をセットで伝える
- 必要に応じて、主治医の診断書や意見書を提示できる準備をしておく
「前職では一時的に体調を崩し、◯ヶ月ほど休職をしておりましたが、現在は主治医からの復職許可も出ており、問題なく勤務可能な状態です。念のため、ご報告させていただきました。」
このように、“回復済みであること”を主軸に据えてポジティブに伝えることで、企業側にも安心感を与えることができます。
休職経験があっても不利にならないための注意点3選
仮に休職経験があったとしても、転職活動において不利にならないように注意することが主に3つあります。
- 休職中はなるべく転職活動を控える
- 休職中は心身の健康状態を良くすることに集中する
- 休職後の転職活動では問題なく働けることをアピールする
ここからは休職経験があっても不利にならないように気を付けるべき注意点を解説していきます。
休職中はなるべく転職活動を控える
休職中の転職活動そのものは行っても何ら問題はありませんが、なるべく控えるのがおすすめです。
仮にバレた時のリスクが大きいことや、まだ体調面が整っていない状態での転職活動はそれなりの負担が生じるためです。
社会復帰が可能という主治医からの太鼓判があれば別ですが、そうでない場合は治療に専念し続けるのがいいでしょう。
そして、休職している会社に転職活動がバレないように動くことが求められます。
休職中は心身の健康状態を良くすることに集中する
転職活動では採用不採用などに注目しないといけなくなるため、自然と疲弊してしまいます。
疲弊してしまえばなかなか健康状態を良くするのは大変であり、心身のバランスがなかなかとりにくくなります。
転職活動に耐えられるメンタルにするためにも、まずは心身の健康状態を万全な状態にしていくことが求められます。
とにかく焦らず、治療に専念することを第一に考えましょう。
休職後の転職活動では問題なく働けることをアピールする
休職後の転職活動では、体調が回復したことをアピールし、問題なく働けることを伝えていくことが大切です。
休職後は何かと心配され、再発などの心配をする企業も存在するでしょう。
医師からもお墨付きが出るなど、社会復帰に向けて障壁がないことを伝えていくことで相手も安心しやすくなります。
心身のバランスを取り戻し元気になったことを面接などを通じてアピールしていくことが求められます。
精神疾患で休職していた場合の注意点
うつ病や適応障害など、精神的な理由で休職していた場合、「転職活動で不利になるのでは…？」と不安を感じる方も多いはずです。
実際、採用側が最も気にするのは再発の可能性と業務に支障があるかどうかです。
ここでは、精神疾患による休職歴がある場合に転職活動で気をつけるべきポイントと、安心感を持ってもらう伝え方を解説します。
採用担当が不安に思うポイント
精神的な休職に対して企業側が不安を感じる理由は、以下のような点です：
- 再発のリスクがあるのでは？
- ストレス耐性が低いのでは？
- 働く環境に順応できないかも？
- 入社後すぐまた休職されるかも？
つまり「この人は安定して働けるのか？」が最大の懸念です。
ただし、これはあくまで“説明不足”によって生まれる印象なので、しっかりと「現在は問題なく働ける状態である」ことを伝えられれば、十分に挽回できます。
面接での伝え方とポジティブな言い換え例
面接で休職理由を聞かれた場合は、正直かつ前向きに説明するのが基本です。
ネガティブな表現は避け、以下のように原因→対応→改善の順で伝えると好印象です。
「前職で心身のバランスを崩し、一定期間休職しておりました。現在は治療が完了し、医師からも勤務に支障がないと判断されております。今回の経験を通じて、自分のストレスの傾向や働き方の見直しにもつながりました。」
NG例（避けたい言い方）
「前の会社がブラックだったので」
「職場の人間関係が最悪で…」
「なんとなく気分が落ち込んで…」
あくまで冷静に、そして前向きに。
回復している”＋“再発防止に努めていることが伝わるかが鍵です。
診断書を出すべき？伝え方の基準は？
基本的に、診断書の提出は求められない限り自分から出す必要はありません。
ただし以下のような場合は、あらかじめ準備しておくと安心です。
- 書類選考後や面接で健康状態について質問されたとき
- 採用内定が出たあと、企業側に安心してもらいたいとき
- 「診断書」ではなく「復職可の意見書」など、前向きな書面が理想
- 主治医に「日常生活に支障はない」「就業可能」の一文を入れてもらうと安心感が出る
提出のタイミングは、「言われたら出す」「内定前後に念のため提出する」のどちらでもOK。
重要なのは、すでに安定していることが伝わればOKという点です。
休職後に後悔しない転職をするための考え方と準備
休職中もしくは休職経験がある方が納得のいく転職をするためにはいくつかのポイントがあります。
- 退職や休職の理由を聞かれた場合の答えを考える
- 休職をきっかけに自分に合った仕事を見つけるには？
- 心身ともに健康に働ける仕事を探す
- 一度退職して心身を休めるのも選択の1つ
納得のいく転職をするためのポイントを解説していきます。
退職や休職の理由を聞かれた場合の答えを考える
そもそもなぜ転職をするのかという理由を考えていきましょう。
前職だとストレスがかかりすぎる、新しい仕事をしたいなど色々な理由が出てくるはずです。
その上で将来的なビジョンを見つめ直して、それに向かって動いていけば、自然と転職が成功するはずです。
休職をきっかけに自分に合った仕事を見つけるには？
転職活動をするときは、目標や将来なりたい姿などを明確にしておくのがポイントとなります。
目標を明確にしておくと、効率的に転職活動を進められ、納得のいく転職先を見つけやすくなるためです。
目標設定のポイントは以下のとおりです。
- 勤務形態は？
- どこで働きたい？
- 自分が好きで得意なことは何？
- 将来どれくらいの収入を得られるようになりたい？
- 10年後や20年後はどうなっていたい？
短期的な視点ではなく長期的に考えると、目先の利益にとらわれなくなり、適切な判断を下しやすくなるでしょう。
収入よりもスキルアップや経験などを重視すると、結果として将来の収入アップや、自由な働き方などに繋がる可能性はあります。
20代や30代など、比較的若い年代での転職においては特に、自分の「好き」や「得意」を伸ばせる仕事を選ぶのがポイントです。
心身ともに健康に働ける仕事を探す
適応障害などストレスが原因で体調を崩してしまうケースは十分にあり得ることです。
できるだけストレスがかからず、心身ともに健康に働ける仕事を探していくのがおすすめです。
前職ではなぜストレスが強くかかったのかという部分も含めて、健康に働ける仕事を探していきましょう。
一度退職して心身を休めるのも選択の1つ
一旦退職を行って、完全に心身を休めて復活を目指すのも選択の1つと言えます。
少しでも心身のバランスに不安があれば、思い切って働くことがしにくくなる可能性があります。
その不安をなくすには退職して完全な回復を目指していくことがおすすめです。
休職中でも退職できる？伝え方・退職理由・もらえるお金をわかりやすく解説 休職中で退職したいけどお金の不安がある場合は退職サポートサービスがおすすめ
休職中で、今後退職を検討しているものの、どうしてもお金の不安があるという方も多いのではないでしょうか。
そんな時に活用したいのが退職サポートサービスです。
退職サポーターズが展開する退職サポートサービスでは、社会保険金制度の活用に向けたサポートを提供しています。
まとまったお金がなくて退職に不安がある方も安心して退職でき、治療に専念できます。
休職に関するよくある質問
- 休職中でもハローワークに行ってもいいの？
- 行くこと自体は問題ありません。ただし傷病手当金の受給中は「就労可能」とみなされないよう注意が必要です。職員に相談しつつ情報収集を目的に訪れるのがおすすめです。
- 傷病手当金をもらいながら転職活動しても大丈夫？
- 原則として、就労可能な状態で転職活動をしていると、傷病手当金の受給資格に疑義が生じる可能性があります。主治医の判断を優先し、「就労可能」と診断されてから活動するのが安全です。
- 面接で休職理由を聞かれたら、正直に言わないといけない？
- 必ずしも病名や詳細まで伝える必要はありません。「体調を崩して休職していましたが、現在は問題なく勤務可能です」と、前向きに回復をアピールするのがポイントです。
- 履歴書や職務経歴書に休職中であることは書くべき？
- 基本的には記載不要です。職歴の空白が気になる場合は「私的な都合により一定期間休職」といった表現で補足する程度でOKです。
まとめ
今回は休職中や休職経験者の転職活動の話題を中心にご紹介してきました。
最後に今回ご紹介した内容を振り返ります。
- 休職中の転職活動そのものは不利にならない
- 休職中であることを転職活動の履歴書に記載する必要はない
- 休職中の事実が内定後にバレると内定取り消しになる可能性も
- 休職中の転職活動が現職の会社にバレるとトラブルになるかもしれない
- 休職中はできるだけ転職活動を控え、治療に専念する
休職中は治療に専念し、完全復活の状態から復職もしくは転職活動をしていくのが理想的です。
それにより、休職中の転職活動も控えられるため、退職後に本格的に動き出しても問題ありません。
休職後に本格的に復帰すれば、転職先でも安心して働きだせます。
休職中はしっかりと休むほか、退職したいと思ったら退職サポートサービスを活用して社会保険金制度の活用を目指していきましょう。
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