転職や退職を行う際に、人望がある・貴重な戦力であるなどの理由から引き止められるケースがあります。
速やかに転職や退職をしなければならない時に、引き止められることは時に迷惑に感じることもあるでしょう。
転職・退職交渉で引き止められてもいいよう、早めに交渉を行うことがおすすめです。
本記事では転職・退職交渉で引き止められた場合の対処法を中心にご紹介していきます。
転職希望者を会社が引き止める理由は?
別の会社への転職を希望する人について会社側が引き止める理由には、大きく分けて3つあります。
- 人手不足など会社にデメリットがあるから
- マネジメント力不足など上司の評価が下がるデメリットがあるから
- 退職希望者の将来を心配しているケースもある
ここからは会社側が引き止める理由について解説していきます。
人手不足など会社にデメリットがあるから
会社側が引き止める要因として考えられるのは、会社として辞められると損失が出る可能性があるためです。
例えば、営業成績トップである、人材が不足している、管理職として優秀など色々な理由が考えられます。
この場合、退職されてしまうと会社にとってはデメリットしかありません。
考え直してほしいなどの理由から引き止められてしまう可能性があります。
マネジメント力不足など上司の評価が下がるデメリットがあるから
近年は上司も会社に評価され、部下の退職が自身の評価に影響を及ぼすことがあります。
例えば、マネジメント力が不足しているなどの理由で評価が下がってしまうことがあるのです。
そのため、できる限り部下に辞めてほしくないと考える上司がおり、その上司から引き止められることが考えられます。
この場合の引き止めは感情的なものが多いため、対応を間違えないようにする必要があるでしょう。
退職希望者の将来を心配しているケースもある
上司などが退職希望者の身を案じて、早まったことはしない方がいいと説得するつもりで引き止めてくることがあります。
良かれと思って将来を心配しているケースが多く、無下に断ろうとすると円満退職とは程遠い状況になることもあるでしょう。
あくまでも「良かれと思って」という気持ちが相手にあるので、その気持ちはしっかりと受け取りつつ、自分の思いを伝えることが求められます。
引き止めに合わない退職準備の方法
できる限り引き止めに合わないよう、退職準備を進めていくことが求められます。
- 繁忙期を避けて退職日をスケジュールする
- なるべく早めに退職交渉をする
- 引き止められにくい退職・転職理由を準備しておく
ここからは引き止めに合わない退職準備の方法についてご紹介します。
繁忙期を避けて退職日をスケジュールする
繁忙期の場合、「今は人手が足りないから退職は勘弁してほしい」と言われる可能性があります。
それでも強引に辞めようとすれば、損害が出たなどと理由を付けられ損害賠償を求められる可能性もあるでしょう。
それを避けるために、繁忙期を避けて退職日のスケジューリングを行うことが必要です。
繁忙期などもっともな理由をつけて引き止めに合わないための対策と言えます。
なるべく早めに退職交渉をする
何らかの理由をつけて引き止めにあう可能性は十分に考えられます。
もしもギリギリのスケジュールを組んでいた場合に引き止めの影響を受けて、その後のスケジュールに支障をきたす恐れがあるでしょう。
ですので、なるべく早めに退職交渉を行い、支障をきたさないようにしていくのがおすすめです。
仮に引き止められても誠心誠意対応できるので、結果的に円満退職につなげられます。
引き止められにくい退職・転職理由を準備しておく
ギリギリのスケジュールで退職などを行う場合は、最初から引き止められないように退職・転職理由を考えるのがいいでしょう。
正直に転職することを伝える手もあれば、健康不安や家族の介護など色々な理由を伝えるのも手です。
引き止めるのも難しいような理由を伝えれば、無理に引き止めを行うことはしないでしょう。
引き止めにあった際の対処法をケース別に紹介
引き止めにあうケースは人それぞれで、ケースによって対処法も異なります。
ここでは5つのケースにまとめました。
- 昇給や昇進を打診された場合の対処法
- 辞められると周りが困ると良心に訴えかけられた場合の対処法
- 転職しても続かないと不安を煽られた場合の対処法
- もう少し考えるべきと先延ばしにされた場合の対処法
- 強引な引き止めにあった場合の対処法
ここからは5つのケースの対処法についてご紹介します。
昇給や昇進を打診された場合の対処法
昇級や昇進など待遇改善を行うので辞めないでほしいと引き止められることがあります。
こうした会社側の引き止めを「カウンターオファー」と言います。
このカウンターオファーで一瞬辞めるのを躊躇する人もいるでしょう。
しかし、よくよく考えればなぜ退職の申し出をする前に打診をしてこなかったのかという話です。
こういったケースでは口約束に終わる可能性が高く、仮に退職を思いとどまったとしてもその約束が実行されるかどうかはわかりません。
転職理由が待遇以外にある場合は退職の決断を保ち続けましょう。
仮に待遇が理由だった場合、昇給の具体的な金額や昇進時のポジションなど具体的な内容を書面に残すことが大切です。
一方で、待遇が本当に改善された場合も、周囲がその事実を知った場合に白い目で見られる可能性も考えられます。
結果的に職場に居づらくなる可能性もあるため、その点に注意して判断しましょう。
辞められると周りが困ると良心に訴えかけられた場合の対処法
良心に訴えかけてくるような形で引き止めを行ってくるケースがあります。
例えば、「今辞められてしまうと人手不足で大変なことになる」、「社内が大変な状況なのによく辞められますね」など色々な言葉で引き止めようとすることも考えられます。
しかし、キャリアアップなどを理由に転職する場合に、それらのことは全く自分には関係ないことです。
人手不足の問題はあくまでも会社の問題であり、社内が大変な状況なのも管理職などの責任と言えます。
もちろん今までの感謝は伝えるのが大切ですが、転職とは別です。
人望がある方の場合では複数人が引き止めを行おうとし、中には泣いて退職しないように懇願してくる方もいるかもしれません。
しかし、多くの人が引き止めを行うとしても心を鬼にして毅然とした態度を取り続けましょう。
一時的に退職をやめても、引き止められたことへの成功体験を与えてしまうため、同じ手で何度も引き止めようとしてくるかもしれません。
退職を決断したら一歩も引かず、強い意思を示し続けることが求められます。
転職しても続かないと不安を煽られた場合の対処法
半ばキレ気味に、「転職しても続かない」などと捨て台詞を吐いて引き止めようとする人がいます。
いわばキャリアアップの可能性を否定するような発言であり、仮に居続けたとしても可能性を否定され続ける可能性もあります。
また翻意した場合に、同じ手を使って様々な交渉を行おうとする可能性もあるでしょう。
引き止めに反発し、捨て台詞を発奮材料として転職先で頑張っていけるようにしていくのがおすすめです。
もう少し考えるべきと先延ばしにされた場合の対処法
会社の上司が「早まったことは考えずもう少し考えるべきだ」と退職の判断を先延ばしにしようとしてくるケースもあります。
この場合は、なぜもう少し考える必要があるのかと具体的な理由を聞いてみるのがおすすめです。
ただ単に時間稼ぎをしているのか、相手に親心や愛情があって言っているのか、その真意を知ることができます。
時期を先延ばししようとするケースの中には、「退職希望者の後任が決まるまで」や「四半期決算が終わるまで」などあくまでも会社都合のケースもあります。
明らかに会社都合で退職の先延ばしを求められた場合、毅然とした態度で退職の段取りをつけても問題ありません。
強引な引き止めにあった場合の対処法
退職を認めないなど、半ば強引に引き止めをしようとしてくるケースもあります。
懲戒解雇にさせる、離職票を出さないなどもはや脅しのように引き止めを迫るケースもあり、注意が必要です。
人格を全否定する発言や損害賠償を求める発言、明らかな脅しととれる発言などで退職を阻止しようとするケースもあります。
こうした状況を「在職強要」と呼び、以前から問題視されています。
基本的に労働者には退職の自由が認められており、民法のルールでは、退職の申し出を行ってから2週間で退職が可能になります。
ラチが明かない場合には、内容証明郵便で退職届を会社に送付するなどして強引に退職を目指すのがいいでしょう。
ブラック企業を退職するための7つのステップ!引き止めの対処法も合わせて解説退職の際の引き止めに関するよくある質問
退職の際には様々な引き止めのケースが存在しますが、その中でもよくある質問をまとめました。
- 損害賠償を請求すると脅されたらどうすればいい?
- しつこい引き止めにあった場合どうすればいい?
- 引き止められて辞めるか迷った場合どう決めればいい?
ここからはよくある質問についての解説を行っていきます。
損害賠償を請求すると脅されたらどうすればいい?
在職強要の中には、何かしらの理由をつけて損害賠償請求を求めようとする迫り方を見せるケースがあります。
損害賠償請求は明らかに労働者側に落ち度があって、結果的に会社側に損害を与えた場合などが該当します。
裁判にはお金も手間もかかるため、実際に裁判が行われるケースは少ないのが実情です。
仮に損害賠償請求を行うと言われた場合には、弁護士への法律相談や退職代行サービスの活用など視野に入れていくのが1つの手となります。
実際には引き止めの手段で損害賠償請求をチラつかせるケースもあり、毅然とした態度が求められます。
しつこい引き止めにあった場合どうすればいい?
どれだけ断っても、しつこく引き止めを行うケースがあります。
この場合、キャリアアップのために転職は必要なことであるということを力強く周囲に伝えることが大事です。
そして、しつこい引き止めを想定し就業規則が定める退職の期日よりも前に伝えておくのも1つの方法です。
仮にしつこい引き止めを受けても時間的な余裕があるので、しっかりと対応することが可能になります。
そして、タイムリミットを設け、これ以上折れてくれないという段階で退職代行サービスなどに切り替えて退職の段取りをつけていくのも必要でしょう。
引き止められて辞めるか迷った場合どう決めればいい?
待遇面の改善や尊敬する上司が泣きながら引き止めてくるなど、様々なことから辞めるのを躊躇するケースがあります。
転職先でうまくいくかわからないという不安や今の職場で思った以上に必要とされている状況などを天秤にかけることで迷いが生じるのです。
しかし、退職しようとしている事実は完全にバレてしまい、居心地が悪い状況になる可能性は十分にあります。
しかも、待遇改善を理由に退職を取りやめて結果的に昇給・昇進が決まった場合、ゴネ得であると同僚に思われる可能性もあるでしょう。
何より転職先での成長の可能性を自ら捨て、そのことへの後悔が出てくることも考えられます。
なぜ退職をしたいと思ったのか、今一度洗い出し、明確な理由であれば強い意思を持って転職を決断するのがおすすめです。
まとめ
今回は転職・退職交渉における引き止めの話題を中心にご紹介してきましたが、最後に今回ご紹介した内容を振り返っていきます。
- 引き止められるのは会社にとってのデメリットが大きいから
- 引き止めにあわないためには時間に余裕を持たせて退職準備を始める
- 強引な引き止めでは退職代行サービスなどの活用を検討していく
- 引き止められて迷った場合は、なぜ退職を検討したのかという理由を洗い出していく
転職・退職の決断には、自分のやりたいことをやりたい、もっと上を目指したいなど前向きな理由から決断するケースも少なくありません。
引き止めの多くは会社のことを考えてのものであり、転職・退職を検討する人を思っての引き止めではないでしょう。
強引に引き止めを求めてきた場合には、退職代行サービスなどの手段を講じて第三者に委ねるのも1つの手です。
円満退職を目指すのであれば、かなり余裕を持たせて転職に向けた計画を立てるのがいいでしょう。
あとは後悔のないよう、できる限りの準備と決断で判断することをおすすめします。