失業保険は、失職者が経済的な負担を軽減しながら再就職できるように、所定の金額を一定期間給付する公的サービスです。
そんな失業保険は、1年の有効期限内に申請手続きをしないと、受給資格が失われてしまいます。
「失業保険の手続き期限が過ぎたらどうなる?」「失業保険の申請方法はどうやるの?」と悩んでいませんか?
結論から言いますと、失業保険の要である失業手当は、手続きの期限が過ぎると受給資格を失い救済処置が一切ありません。
だたし、再就職手当や教育訓練給付金などの失業保険に関しては、手続き期限を過ぎてから2年以内に申請すれば、受給資格が復活します。
今回は、失業保険の基本情報や期限、手続き方法について、失業保険の給付金サポートをしている私がご紹介していきます。
この記事を読むことで、失業保険の申請期限や期限が過ぎてしまった場合の対処法がわかりますよ。
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失業保険の手続き期限とは?
失業保険には1年間の有効期限があり、この間に申請手続きを行わないと、原則として失業手当の受給資格が失われてしまいます。
また、有効期限のカウントが「離職日の翌日から始まる」という点にも注意が必要です。
仮に離職してからハローワークへの登録まで数か月かかり、結果として受給期間の一部が有効期限をオーバーした場合、超過日数分の失業手当を受け取ることは原則できません。
一方、失業手当の支給が始まるまでは意外と時間がかかります。大まかなプロセスは以下の通りです。
一連の手続きに要する期間は、会社都合退職の人でおよそ1か月ほど。自己都合退職の場合、さらに2か月の給付制限期間が設けられるため、実質的な手続き期限は約9か月と考えておくべきでしょう。
ただし、手続き期限は延長できる場合もあります。
例えば病気や出産などの事情により、ただちに求職活動を始めるのが困難と認められる人に関しては、失業保険の有効期限を最長3年間延長することが可能です。
ただ申請期間に関しては、「失職日の31日後から起算して1か月以内」とかなり短め。
また延長申請を行うには、診断書や出生届の写しなどを通じ、「求職活動を行えない状態」が30日以上続いていることを証明しなければいけません。
その他、手続き期限を延長できるケースとしては、60〜64歳で退職する場合が挙げられます。
この場合、2か月以内に申請を行えば、失業保険の有効期限を最長1年間延ばすことが可能です。
長年勤めた会社を定年で辞める場合、失業手当の受給期間が相当長くなるので、すぐに再就職を目指す予定がない人は必ず有効期限を延長しておきましょう。
ただし65歳を迎えると、期限内であっても受給資格がなくなるので注意してください。
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失業保険の手続き期限を過ぎたらどうなる?
先述の通り、失業保険の手続き期限を過ぎると、原則として受給資格が失われます。
ただし失業保険といっても様々な種類があり、中には1年間の期限と別に、2年間の時効期間が設けられているものも少なくありません。
以下、申請期限後に2年間の時効期間が設けられている失業保険の一例です。(いずれも上限あり)
再就職手当:契約期間1年以上の安定した職に就いた場合に支給
就業促進定着手当:再就職後半年分の賃金日額が、離職前の水準を下回っている場合に支給
常用就職支度手当:障がいや前科などを持つ人向けの再就職手当。受給条件が比較的緩い
教育訓練給付金:厚労省指定の資格講座などを修了した際に、受講料の一部を補填
育児休業給付金:育児休業中、休業前の賃金日額の一定割合を2か月ごと支給
介護休業給付金:介護休業終了後、休業日数分の賃金の一定割合を一括で支給
これらの失業保険に関しては、手続き期限を過ぎてから2年以内に申請すれば、受給資格が復活します。
一方、失業保険の要である失業手当については、期限切れに対する救済処置が一切ありません。
なお、病気などを理由に失業手当の有効期限を延長する場合は、その理由が生じた日から2か月以内に手続きを行う必要があります。
失業手当の申請期限
失業手当を満額受け取りたい場合、失職後いつまでに受給申請を行う必要があるのか。
その実質的な申請期限は、勤務期間や退職時の年代によって異なります。具体的には下表の通りです。
勤務期間 | 給付日数 | 実質申請期限 |
---|---|---|
5年未満 | 90日 | 退職後275日以内 |
5年以上10年未満 | 120日 | 退職後245日以内 |
10年以上20年未満 | 180日 | 退職後185日以内 |
勤務期間 | 給付日数 | 実質申請期限 |
---|---|---|
5年未満 | 90日 | 退職後275日以内 |
5年以上10年未満 | 180日 | 退職後185日以内 |
10年以上20年未満 | 210日 | 退職後155日以内 |
20年以上 | 240日 | 退職後125日以内 |
勤務期間 | 給付日数 | 実質申請期限 |
---|---|---|
1年未満 | 90日 | 退職後275日以内 |
1年以上5年未満 | 180日 | 退職後185日以内 |
5年以上10年未満 | 240日 | 退職後125日以内 |
10年以上20年未満 | 270日 | 退職後95日以内 |
20年以上 | 330日 | 退職後35日以内 |
勤務期間 | 給付日数 | 実質申請期限 |
---|---|---|
1年未満 | 90日 | 退職後275日以内 |
1年以上5年未満 | 150日 | 退職後215日以内 |
5年以上10年未満 | 180日 | 退職後185日以内 |
10年以上20年未満 | 210日 | 退職後155日以内 |
20年以上 | 240日 | 退職後125日以内 |
勤続年数が一桁の場合、申請期限までの猶予は4〜9か月とかなり長めです。
この場合、ハローワークで求職手続きを行うのは、ある程度の期間休息を取ってからでも何ら問題ないでしょう。
一方で勤続年数が20年を超える場合、実質的な申請期限は最短35日にまで縮まります。
40〜50代の人は特に期限が短くなりやすいので、失職した際は一日も早くハローワークを訪問してください。
なお自己都合退職の場合、給付期間が最大でも150日にとどまるため、申請期限について特段の心配はいりません。
再就職手当の申請期限と時効期間
再就職手当とは、契約期間1年以上の条件で雇用され、なおかつ失業手当の残支給日数が総日数の3分の1以上残っている場合に支給される手当です。
再就職をした時点で失業手当の方は受給資格がなくなるので、金銭的に損をしないためにも、再就職手当は必ず利用しておきましょう。
そして気になる申請期限については、再就職日より原則1か月以内と定められています。
ただし先述の通り、再就職手当には2年の時効期間が設けられており、その間に申請すれば所定の支給額を満額受け取ることが可能です。
一方、申請期限をオーバーするデメリットとしては、支給手続きを後回しにされやすい点が挙げられます。
ハローワークが日々受理する申請の数を考えれば、提出期限内の書類が優先的に処理されることは想像に難くないでしょう。
再就職手当は失業手当と同じく、申請してから支給されるまでに最短でも1か月以上かかります。
失職によって揺らいだ生活基盤を早急に立て直すためにも、再就職手当の申請は就職後速やかに済ませるよう心がけてください。
再就職手当はいつもらえる?一括で150万円貰える受給条件【満額でいくらもらえるのか計算方法も解説します】失業保険の申請手続きまとめ
さて、ここからは失業保険の手続きについて解説していきます。
実際の離職からの流れに沿ってわかりやすく解説しますので、これから失業保険を受給される方はぜひ参考にしてください。
失業保険(失業手当・失業給付金)とは
失業保険とは離職された方や教育訓練を受ける方が離職中の生活を心配せず仕事に専念し、1日も早く再就職をしてもらうための制度です。
手続きは本人が行う必要があります。
対象となるのは離職日前日からさかのぼった2年間で、雇用保険の加入期間が通算して、自己都合退職なら12か月、会社都合の退職であれば6か月ある方です。
この加入していた雇用保険から支給される「求職者給付」が失業手当、失業給付金にあたります。
支給される基本手当日額は年齢層ごとに決められた上限はありますが離職直前の6勝間に支払われた賃金÷180の80%~45%の金額、支給される日数は離職時の年齢、離職理由、雇用保険に加入し雇用されていた期間、障害の有無(申し出が必要)により判断される仕組みです。
受給期間は原則1年間ですが支給日数が330日の方は+30日、360日の方は+60日となっています。
失業保険のメリット・デメリット
<メリット>
・収入が完全にない状態は避けられるので金銭面の心配が減る
・不安が軽減されることにより焦る気持ちを抑え就職活動ができる
・再就職した際に再就職手当を受けられる可能性がある
・子育てなどですぐ就職できない方も受けられる
<デメリット>
・雇用保険の加入期間がリセットされるため、今後の退職時の受給認定に影響が出る
・60歳以上(老齢厚生年金受給の方)の場合は年金の減額や一時停止がされる場合もある
・4週に1回の決められた認定日にハローワーク等へ行く必要がある
・アルバイトでも日数によっては就職したと認めれらてしまう場合がある
・就職が決まった際には就職日前日に来所が必要
何がメリット・デメリットになるかは人それぞれですので、この後まとめている内容を読んで参考にしていただければと思います。
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失業保険の受給条件
冒頭でふれた雇用保険以外の部分でいうと、
給付を受けることができる人として【失業状態にある方】とされています。
失業状態とは以下の3つをすべて満たす状態のことを指します。
①就職しようとする意志がある
②いつでも就職できる環境、健康状態である
③積極的に就職活動をしているが、現在職業についていない
就職を希望しない専業主婦(夫)の方や家業に従事されている方、収入の有無にかかわらず自営業(準備を含む)をされている方、会社の役員に就いている方や学業に専念する方などは失業状態とは認められません。
ただし、②に関しては病気やケガ、妊娠出産、ご家族の看護、定年などの離職によりしばらく休職する場合は受給期間を延長できる場合があります。
失業保険の受給の手続き方法
ではいよいよ、受給しようとなった際に必要な手続きと、その際に必要な書類などについて確認していきましょう。
受給期間が延長できる方の延長手続きについてもこの項目でご説明します。
まず、受給するためには失業手当受給認定を受ける必要があるため、居住区のハローワークにて手続きをします。
職場ではなく居住区のハローワークと決められているので、自身の居住区のハローワークを事前に調べてから行くようにしましょう。
離職から受給までの流れ
受給認定の日数等は条件により異なりますが、手続きの流れ自体は下記の流れで進み、基本的には変わりません。
積極的に就職しようとする意志が失業状態と認められる条件になっているので
ハローワーク等での求職申し込みが必要となります。
この時に必要なものは後半の<失業認定を受ける際に必要なもの>にまとめています。
受給資格者証、失業認定申告書などの書類が渡されます。
認定日で提出が必要になるので受給資格者証、失業認定申告書はなくさないようにしてください。
7日間の待機期間があります。
この期間に就労すると給付が遅れるので注意しましょう。
例:待機期間3日目に作業をした場合、翌日から再度7日間待機となる
基本手当が支給されない期間です。
待機満了の翌日から原則2か月間(過去5年以内に2回以上自己都合退職されている場合は3か月)
自己の責任により解雇された方は3か月です。
失業認定申告書を提出する日です。
就労の有無、就職相談を含む求職活動実績など、記入内容について確認があるので本人が来所します。
アルバイトなどをした場合は正直に記入しましょう。
求職活動実績なども含め虚偽の申告をすると不正受給となり、ペナルティが課せられる可能性があります。
認定を受けた日数分の手当てが指定した口座に振り込まれます。
金融機関によって異なりますが約7日後の入金です。
ですので、失業の認定(認定日)と基本手当の支払いは支給終了まで繰り返すことになります。
失業の認定(認定日)は支給終了まで4週に1度のペースで決められており、認定日と認定日の間に2回以上の求職活動実績が必要となります。
就職活動実績はハローワーク等での就職相談も含まれるので、就職相談1回、求人応募1回(ネット求人含む)でもクリアできると考えたらそこまで難しいことではありません。
ただ、日程に関してはこちらの希望で決められるものではないので、認定日当日に来所できないこともあるかと思います。
来所できない理由が下記のやむを得ない理由による場合のみ例の様に認定は可能ですので、ハローワーク等に連絡し指示を受け、証明書など必要なものを用意して後日手続きを行いましょう。
- 就職
- 面接、選考、採用試験等
- 各種国家試験、検定等資格試験の受験
- ハローワークなどの指導により各種講習などを受講する場合
- 働くことができない期間が14日以内の病気、けが
- 本人の婚姻
- 親族の看護、危篤または死亡、婚姻(親族内でも範囲が限られます)
- 子弟の入園式、入学式または卒園式、卒業式
【例】本来認定日が下記の場合()内は各認定日に確認される期間
4/10(3/13~4/9)、5/8(4/10~5/7)、6/5(5/8~6/4)
5/8の認定日に面接で行けず手続きに訪れたのが5/10となった場合は5/10に4/10~5/9の認定、6/5の認定日に5/10~6/4の認定を受けることになる
支給総日数は変わらないのでご安心ください。
受給期間が延長できる方の手続き
受給期間の延長が認められると、本来の受給期間である1年間(原則)+職業に就くことができない日数(最大3年間)
が受給期間となります。
受給期間延長を申請できる方は、離職日の翌日から1年間に以下の理由で30日以上職業に就けない期間がある方が対象です。
受給期間延長を申請できる理由
病気、けが、妊娠、出産、3歳未満の子の育児、不妊治療への専念、親族や小学校就学前の子の看護、配偶者の海外勤務に同行する場合、一定のボランティア活動
申請期限については原則「30日以上働けなくなった日の翌日以降早期に」ですが、延長後の受給期間最終日まで申請可能とされています。
この手続きでの注意点は、理由を証明する書類が必要になることです。
例えば、育児が理由であれば母子健康手帳が証明書となります。
また、延長できるのは受給期間であり給付期間ではないので、はっきり分けて覚えておきましょう。
受給期間は受給資格がある期間という意味合いであり、実際に給付を受ける日数は所定給付日数と呼ばれるものです。
所定給付日数は冒頭でもふれていますが、離職時の年齢、離職理由、雇用保険に加入し雇用されていた期間、障害の有無(申し出が必要)によって決められる仕組みになっていますので、受給期間を延長しても給付日数は変わりません。
受給延長手続きは、受給開始を遅らせる手続きというとイメージがしやすいでしょうか。
失業保険の受給に必要なもの
受給に関して必要となるものを失業認定を受ける際、受給期間延長する場合と認定日にやむを得ない理由で来所できない場合、認定日当日に分けてご説明します。
離職理由の判定をするために必要です。
もし事業主からの推奨による退職が、自己都合退職とされている場合などはハローワーク等に相談しましょう。
相談することにより、ハローワークに事実関係を調査した上で、退職理由の判定をしてもらうことができます。
①のうちいずれか1種類もしくは、②のうち異なる2種類。いずれもコピー不可。
①運転免許証、運転経歴証明書、マイナンバーカード、官公署が発行した顔写真付きの身分証明書・資格証明書
②公的医療保険の被保険者証、児童扶養手当証書など
最近のもので胸から上。サイズは縦3.0cm×横2.4cm。
今後行う手続きや認定日の本人確認の際、マイナンバーカードを提示することで写真の用意は省略できます。
一部指定できない金融機関(ネット銀行や外資系金融機関など)もあるので事前に問い合わせるか、異なる金融機関のものを2つほど持っていくと安心です。
<受給期間延長を申請する場合>
<やむを得ない理由で認定日に来所できない場合>
こちらは申請する理由によって証明となる書類が異なるので、
前もってハローワーク等に確認の上、用意して来所しましょう。
<認定日>
受給資格者証、失業認定申告書
※受給認定手続き時に写真ではなくマイナンバーカードを提示した場合はマイナンバーカード
このほかに前回の認定日で提出を求められたものがあれば持参します。
失業認定を受ける手続きに必要なものが多いので準備が大変と思いがちですが、
他の手続きに関しては特別多くはない印象です。
手続きに来所が必要なので面倒なイメージですが、要件を満たせば再就職手当も受給できるなど手間を上回るメリットがあります。
特に子育てなどで離職された方は次の就職に対しての不安が大きいと思いますが、職業相談ではそういう部分も相談できるのでいい機会になるのではないでしょうか。
職業相談に関しては受給終了後も利用できますし、一部のハローワークではZOOMを利用してのオンライン面談も利用可能です。
また、収入面以外に働くことから離れることに不安を感じている方も「アルバイト=必ず不支給」になる訳ではないので、対象となる方は手続きすることをおすすめします。
まとめ
以上、失業保険の手続き期限、および期限を過ぎてからでも申請可能な給付の一覧を紹介しました。
失職後しばらくの間、再就職活動を始めていなかった人は、すぐにでもハローワークで求職の申し込みを行いましょう。
また育児や介護などの事情で再就職活動が困難という人も、まずはハローワークで現状を説明し、失業保険の有効期限を延長できないか相談してみてください。