「内定が決まっているけど、入社日が数ヶ月先なので失業保険を受給したい」と考えている方もいるでしょう。
実は7日間の待期期間後に内定が決まった場合、入社日の前日まで失業保険を受け取れます。
ただし給付制限中に入社日を迎えてしまうと失業保険をもらえないので要注意です。
本記事では、内定と失業保険の関係や、内定日をずらすことのリスクについてまとめました。
内定取消の場合の対処法を含め、失業保険の給付金サポートをしている私がご紹介していきます。
この記事でわかること
- 内定が出ていても失業保険を受け取れる・受け取れないケース
- 内定が出ていてる状態で失業保険を申請するメリット・デメリット
- 給付制限中に入社日を迎えた場合の失業保険について
内定は出ているが次の仕事開始が数ヶ月先の場合、失業保険は貰える?
「内定は出てるけど、入社日までの数ヶ月間、失業保険はもらえるの?」と不安な方も多いのではないでしょうか。
実は、失業保険は申請のタイミングによって受給できるかどうかが変わります。
本項目では、次の仕事が決まっていた場合に、失業保険が受給できるケース・できないケースについて解説します。
次の仕事が決まっていても失業保険が受給できるケース
次の仕事が決まっていた場合であっても、以下に該当すれば、失業保険を受給できます。
- 内定から入社まで期間が空いている場合
- 雇用契約を結んでいない場合
- アルバイトやパートなど短期間の仕事が決まっている場合
入社まで期間が空いている、雇用契約を結んでいない場合は、失業保険を受け取れる可能性があります。
失業保険は入社日の前日までが対象です。
そのため、給付日数内であれば入社日の前日まで失業保険を受け取れます。
次の仕事が決まっていて失業保険が受給できないケース
一方で、以下に該当するケースは、失業保険が受給できません。
- すぐに就職できる状態の場合
- 雇用契約を結んでいる場合
内定を獲得してから失業保険の手続きを行っても、失業保険をもらえません。
失業保険をもらうには「失業状態」が条件となるためです。
原則として、内定を獲得している状態は「失業状態」ではありません。
内定=次の仕事が決まっている状態なので、内定をもらってから手続きを行っても、失業保険を受け取れる要件を満たしません。
入社までの期間が空いている場合でも、失業保険が受給できるかどうかはケースバイケースです。

失業保険とは?
失業保険は、会社を退職した人が、安心して再就職に向けた活動ができるように支給される制度です。
実際に受け取るためには、さまざまな要件を満たす必要があります。
本項目では、失業保険に関する条件などをまとめました。
受給条件
失業保険の受給条件として、「失業状態」にあることが挙げられます。
- 就職する意思がある
- 肉体的・精神的にも優れており、今すぐに就職できる状態にある
- 求職の申込を行うなど、求職実績がある
上記の条件を満たすことで、失業状態と判断され、失業保険を受け取れます。
あとは、雇用保険に加入していた期間が一定の期間以上かが問われます。
雇用保険に入っていた期間
失業保険を受け取る要件として、雇用保険に入っていた期間も重要です。
実は会社の辞め方によって、雇用保険の加入期間に関する条件が異なります。
自己都合退職・会社都合退職それぞれの条件をまとめました。
自己都合の退職の場合
自己都合退職の場合には、退職日前2年間で、雇用保険の被保険者期間が12か月以上必要です。
会社都合退職と比べると被保険者期間は比較的長めです。
また1か月の給付制限もあり、無収入の期間が生じます。
会社都合の退職の場合
会社都合退職の場合、退職日前前1年間で、雇用保険の被保険者期間が6か月以上必要です。
自己都合退職と比べると被保険者期間は短くて済み、直近1年で半年以上加入していれば大丈夫です。
会社都合退職では給付制限期間がなく、手続きが完了すればすぐに失業保険の支給が始まります。
早期の経済的支援を受けられるメリットが大きく、再就職の準備を進めるうえで、大きな安心材料です。
失業保険以外にもらえる手当
「失業保険だけでは生活が不安…」、「ほかに使える支援はないの?」と感じる方もいるのではないでしょうか。
失業保険以外にも、受け取れる手当はいくつも存在します。
- 再就職手当
- 就業促進定着手当
- 就業手当/常用就職支度手当導入文
本項目では、失業保険以外にもらえる手当についてまとめました。
再就職手当
再就職手当は、早期の再就職を促すために設けられた制度です。
失業保険の給付日数が一定以上残った状態で再就職をした人に与えられます。
再就職手当は申請してから1~2か月後にもらえることが多く、再就職先での給料とセットでもらます。
そのため、ちょっとしたボーナス的な意味合いがあり、金銭的な余裕が得られます。
再就職手当を受け取るための条件などは後程解説します。
就業促進定着手当
就業促進定着手当は、再就職手当を受け取った人が再就職先で6か月働き、賃金が離職前より低かった場合に支給される手当です。
手当を受け取るためには、以下の要件を満たさなければなりません。
- 再就職手当の受給
- 再就職先での6カ月以上の勤務
- 前職の時と比較して賃金が減少している
- 申請期限内に申請している
就業促進定着手当は、前職と再就職先の賃金の差額を補填する意味合いで支給されます。
ちなみに申請のタイミングは「再就職した日から6か月経過した日の翌日から2か月以内」です。
申請期限は短いため、忘れずに申請を行うことが求められます。
就業手当/常用就職支度手当
就業手当は、雇用期間が1年未満の、短期間の就職をした場合に、給付日数の残りの一部を受け取れる制度です。
一方、常用就職支度手当は、障害者や高齢者といった「就職困難者」を対象とした制度です。
ハローワーク等の紹介で1年以上の安定した雇用に就いた際に就職困難者が受け取れる手当です。
たとえ失業保険の支給残日数が残りわずかで、再就職手当の対象外だった場合でも支給されるのが特徴です。
申請に関しては就職した翌日から1カ月以内に行う必要があるため、迅速な手続きが求められます。

次の仕事が決まっている場合の失業保険を申請するメリット・デメリット
「次の仕事が決まっているけど、失業保険って申請してもいいの?」と感じる方もいるのではないでしょうか。
次の仕事が決まっていても失業保険の申請自体は可能です。
しかし、申請によるメリット・デメリットそれぞれ存在します。
本項目では、次の仕事が決まっている場合に失業保険を申請するメリットやデメリットをまとめました。
メリット
失業保険を申請する最大のメリットは、金銭的な余裕を確保できる点です。
入社日までの期間が空いていると、その間に働かないと無収入の状態が続きます。
失業保険を受給することで収入の空白を一定程度カバーでき、生活費の不安を軽減できます。
金銭的な余裕があることで、焦らずに再就職活動へ取り組むことができるため、より自分に合った職場を探す余裕も生まれます。
さらに、職業訓練や資格取得に向けた準備もしやすく、将来的なキャリアアップにもつながります。
失業保険は経済的支援だけでなく、前向きな転職活動を支える制度でもあります。
デメリット
デメリットとしてまず挙げられるのが、受給によって雇用保険の加入期間がリセットされてしまう点です。
次回以降の失業時に影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。
また、自己都合退職の場合には、1か月の給付制限期間が設けられています。
失業保険を受け取るのに、手続きを始めて2か月程度かかることもあります。
さらに、雇用保険の加入期間に応じて所定給付日数が決まるのも要注意ポイントです。
失業保険を受給しなければ将来的により長い給付日数を得られた可能性もあります。
給付制限の影響で実際に受け取れる額が少なくなることもあり、受給の判断は慎重に行いましょう。
失業保険の申請方法
初めて会社を退職する方は、「失業保険って、どこでどうやって申請するの?」と疑問に持つかもしれません。
失業保険を受け取るためには、所定の手続きを重ねていく必要があります。
本項目では、失業保険の申請方法についてまとめました。
求職申し込み後、7日間の待期期間満了後であれば失業保険は受給できる
内定を獲得した状態で失業保険をもらうためには、内定を貰う前に失業保険の申請が必須です。
ハローワークへ行って、失業保険の申請を行い、7日間の待期期間を過ごします。
7日間の待期期間が終わってから内定を得られれば、失業保険を受け取れます。
再就職手当の申請方法
再就職手当の申請方法については、以下にまとめました。
- 再就職先に採用証明書を記入してもらい、ハローワークに提出
- ハローワークから再就職手当支給申請書を受け取り、再就職先の記入欄など各種項目を埋める
- 雇用保険受給資格者証など必要な書類を揃えてハローワークに提出
申請に関しては、再就職をした本人や代理人が行えるほか、郵送でも申請できます。
申請は再就職日の翌日から1カ月以内が期限とされていますが、2年以内であれば申請自体は可能です。
再就職手当がもらえる条件は転職先の労働条件による
再就職手当を受け取るためには、転職先の労働条件が大きく影響します。
例えば、1年以上の継続勤務が見込まれること、前職と同じ事業主や関連会社でないことなど、多くの条件があります。
これらの要件を満たして初めて、再就職手当の支給対象として認められます。
再就職先を選ぶ際には、労働条件が条件を満たしているかを事前に確認することが求められます。
再就職先が決まっていても「離職票」が必要なケース
再就職先が決まっていても、失業保険を受給する場合は離職票が必要です。
失業保険の申請の際に離職票は欠かせない書類であり、離職票がないと受給手続きができません。
転職先から提出を求められるケースもあるため、手元に置いておきましょう。
再就職先の内定が取り消しになった場合の対処法
再就職先の内定が取り消しになった場合は、まず速やかにハローワークに連絡します。
そして、失業保険の受給再開手続きを進めていきます。
手続きの際には内定取り消し通知書などの書類が必要で、提出してから求職活動を再び始めます。
内定前に失業保険を受け取っていた場合には、残りの給付日数を上限に失業保険を受け取れます。
自己都合退職の場合、給付制限中に入社日を迎えると失業保険をもらえない
7日間の待機期間に内定を獲得しなければ失業保険をもらえると解説しました。
しかし、自己都合退職の場合は注意点があります。
このケースでの注意点は、給付制限中に入社日を迎えてしまうことです。
1か月間の給付制限期間で内定を獲得した場合、問題なく失業保険をもらえます。
しかし、1か月間の給付制限中に入社日を迎えてしまうと失業保険はもらえません。
給付制限中は内定の有無に関わらず失業保険の給付が始まらないからです。
失業保険は入社日の前日までの期間のみ給付されるため、給付制限中に入社日を迎えてしまうと、失業保険をもらえません。
ただし、条件を満たしていれば再就職手当がもらえる
1か月間の給付制限中に内定を獲得した場合、条件を満たしていれば再就職手当をもらえます。
もらえる金額は失業保険全額の60%〜70%ほどで、一括で振り込まれるのが魅力です。
早めに就職を目指し、しかも一括でもらいたい場合、失業保険ではなく、再就職手当を検討しましょう。
再就職手当の受給条件
再就職手当の受給条件は以下の通りです。
- 雇用保険に加入していること
- 7日間の待機期間後に就職したこと
- 失業保険の給付日数が1/3以上残っていること
- 離職前の会社や雇用先への再就職でないこと
- 1年を超えて勤務することが確実であること
- 過去3年以内に再就職手当・常用就職支度手当を受給していないこと
- 自己都合退職の場合、給付制限の最初の1ヶ月はハローワークまたは、職業紹介事業者の紹介による就職であること
- 失業保険の申請前から内定を得ていないこと
これら8つの条件をクリアすることで再就職手当をもらうことができます。
再就職手当についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
内定数ヶ月先の失業保険に関してよくある質問
内定が数か月先の状態で失業保険を受け取るかどうかについて、疑問に感じていることがある人も多いでしょう。
本項目では、内定数か月先の失業保険に関する質問をご紹介していきます。
- 内定日をずらして失業保険をもらうとどうなる?
- 失業保険をもらうためには、内定日よりも先に申請手続きを行っておく必要があります。
すでに内定を獲得している場合、内定日をずらして失業保険を先に申請した形にすればいいのでは?と思う方もいるでしょう。
しかし、内定日をずらして申請することは不正受給となるためおすすめできません。
失業保険を不正受給すると非常に重たいペナルティが課せられます。
もらった失業保険を全額返還することはもちろん、受け取った失業保険の2倍にあたる金額の返還が必要です。
つまり3倍の金額を返還することになり、まったくメリットがありません。
また、内定日をずらすためには、会社に依頼する必要があり、会社は内定日を偽ったとしてペナルティが課せられます。
これから入社して働く会社に迷惑をかけることになるので、お金以上に信頼を失うというペナルティがあります。
これらのことから、失業保険をもらうために内定日をずらすことはやめておきましょう。
- 再就職手当は全ての人がもらえますか?
- 再就職手当は誰しもがもらえるものではありません。
再就職手当を受け取るには、8つの支給条件があり、すべてクリアする必要があります。
自己都合退職で給付制限がある場合は、待期期間満了後1カ月間はハローワーク等の紹介で就職する必要があります。
たとえすぐに再就職先を見つけても、対象外になることもあるのです。
一方で、自己都合退職の給付制限期間が短縮されたように、再就職手当に関する条件が変化する可能性もあります。
再就職手当を受けとるためにも、申請前に最新の条件をハローワークで確認することが大切です。
- 退職を伝える際のスムーズな方法はありますか?
- 退職を伝える際、スムーズに進めていくためには、いくつかのポイントを押さえておくことが大切です。
退職の意思が固まったら、直属の上司にできるだけ早く、口頭で伝えるのが無難です。
できれば退職の意思が固まる前に直属の上司に相談を行い、就業規則に則った形で退職の段取りをつけていくと、スムーズな退職につながりやすくなります。
退職理由に関しては、あくまでも前向きな内容を伝えるようにし、上司や同僚、会社への不満は最大限控えるのが理想的です。
あとは会社の指示に従って退職届などを提出し、引き継ぎや業務整理にも誠意を持って取り組んでいくのがおすすめです。
退職にあたっては、同僚や関係者への挨拶も忘れずに行い、最後まで誠実な対応を心がけることで、良好な人間関係を保ったまま退職することができます。
近年は退職代行サービスが人気を集め、利用者も増えていますが、こうしたサービスを使わずに誠心誠意対応するだけでスムーズな退職につながりやすくなるでしょう。
まとめ
今回は内定を得て入社日が数ヶ月先の場合、失業保険をもらえるかを解説をしました。
内定を獲得しつつ失業保険をもらうためのタイミングは以下の通りです。
- 内定を獲得しつつ失業保険をもらうためのタイミング
- 失業保険の申請→7日間の待機期間→内定
この流れであれば失業保険をもらうことができます。
ただし、失業保険をもらえる期間は入社日の前日までです。
また、自己都合退職の場合は給付制限期間が設けられており、その間に入社日を迎えると失業保険をもらえません。
入社日が数ヶ月先の場合は、再就職手当を申請しましょう。
最後に、失業保険をもらうために内定日をずらすことは絶対にやめておきましょう。
不正受給となり、失業保険の3倍の金額を返還するペナルティが課せられるとともに、会社にも迷惑をかけます。
失業保険についてわからないことや不安なことがある場合は、1人で悩まず、ぜひ退職サポーターズにご相談ください。



